「脚本って、魔法みたい」―作家・辻村深月、脚本務めた『映画ドラえもん』完成に感慨

公開: 更新: テレ朝POST

3月1日(金)より全国東宝系にてロードショーとなる『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。その完成披露舞台挨拶が2月11日(月)に行われた。

©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK2019

登壇したのは、ドラえもん・のび太・しずか・ジャイアン・スネ夫というお馴染みのキャラクターたちと、ゲスト声優の広瀬アリスロッチ中岡創一サバンナ高橋茂雄柳楽優弥、そして、本作で脚本を務めた作家の辻村深月、監督の八鍬新之介。

会場にはドラえもんが大好きな子どもたちも多く来場し、大盛況の舞台挨拶となった。

◆辻村深月「脚本って、ドラえもんのひみつ道具みたい」

昨年2018年3月に公開された『映画ドラえもん のび太の宝島』は興収53.7億円・動員470万人を突破し、1989年に公開された『映画ドラえもん のび太の日本誕生』の動員記録420万人を29年ぶりに塗り替えるなど、シリーズ最高の大ヒットを記録した。

その勢いをもって今年公開されるシリーズ39作目『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の冒険の舞台は、そのタイトルの通り“月”だ。

今年2019年は、アポロ11号が月面着陸した1969年からちょうど50年であり、また1969年は『ドラえもん』の連載が開始した年。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』は、そんな“月”と“ドラえもん”にとってのメモリアルイヤーに公開されることになる。

©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK2019

本作で脚本を手掛けたのは、自身初めての映画脚本となる直木賞作家の辻村深月。辻村は大のドラえもんファンを公言しており、2005年の著作『凍りのくじら』では、各章のタイトルをドラえもんのひみつ道具にしたほどだ。

登壇した辻村は、会場の子どもたちに向け、「おはなしの基礎になる脚本を書かせていただきました、辻村深月です。今日は皆さん、ドラえもんたちとの月の冒険にようこそいらっしゃいました」と自己紹介。

そして、今回の舞台を“月”にした理由、そして脚本作業の苦労について次のように話した。

「今回、冒険の舞台を月にしたいと思ったのは、みんなが知っている不思議な場所にドラえもんたち5人と一緒に冒険に行きたいと思ったからです。

ドラえもんたちって、毎年毎年映画であちこちに冒険に行っているので、もう冒険に行っていないところがほとんどないんですよね。そのなかで、奇跡的に、地球といちばん近い星である月にまだ冒険に行っていないということが分かりました

月って、すごく身近な、毎日見上げて生活している場所なんですけど、行こうと思うと遠い。だけど、だいぶ観測が進んでいるので、物語の中で舞台にするにしては分かっていることも多いという場所。

だから、(ストーリーをつくるうえで)大変なこともありましたけど、八鍬監督と一緒に、ドラえもんたち5人に月の世界を思いっきり楽しんでもらいたい、そして、観てくれる皆さんにも、ドラえもんたちと一緒に月で冒険しているような気持ちになってもらえる映画をつくりたいということで、冒険の舞台を月にしました」

また辻村は、初めての映画脚本で感じたことを以下のように語った。

「脚本を書いてみたら、“脚本”ってドラえもんのひみつ道具みたいだなって思いました。『ドラえもんがこんな風に喋った』って書くと、ドラえもんがその通りに喋ってくれる。『のび太が転んだ』って書くと、のび太が転んでくれる。もう魔法みたい!って思って。

私もドラえもんが大好きだったので、書きながら大変なこともたくさんあった気がするんですけど、いまはもう楽しいことしか覚えてないです」

そんな辻村の脚本について八鍬監督は、「辻村先生はもともとミステリー作家の方なので、巧妙な伏線が張られていて、最後それを見事に回収するというところも素晴らしいなと思いました」とコメント。映画の出来に自信をみせていた。

ドラえもん史上最大のSF冒険ファンタジーとなる今作。神秘的でロマン溢れる“月”を舞台にしたドラえもんたちの新たな冒険に、期待せずにいられない。

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