小日向文世、妻とのキスは「結婚以来つづけている」 就寝前は、20代の息子と“ある儀式”

公開: 更新: テレ朝POST

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ドラマ『HERO』(フジテレビ系)のちょっと気の弱い検察事務官、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)のパワハラ弁護士、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の詐欺師リチャード…役柄によって全く違う顔を見せ、見事に演じ分けてきた小日向文世さん。

北野武監督の『アウトレイジ』シリーズ(2010年、12年)で演じたヤクザ以上に黒いマル暴の片岡刑事役も印象強いが、主演映画は実にハートフル。

『銀のエンゼル』(2004年)では家族思いのコンビニ店長、『サイドウェイズ』(09年)ではちょっと情けない売れないシナリオライター、『犬飼さんちの犬』(11年)では犬嫌いな単身赴任の父親、『サバイバルファミリー』では口先ばかりで役に立たないダメダメお父さん…ユニークなキャラクターを味わい深い演技で体現。実生活でも映画とオーバーラップするような出来事が。

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◆犬好きなのに、愛犬がなついてくれない?

※映画『犬飼さんちの犬』
小日向さん演じる犬飼さんは大の犬嫌い。ある日、単身赴任から1年ぶりに家に帰ると、白いサモエド犬が家のなかにいた。子どもたちは父親がいない寂しさから飼うことにしたという。それを知って犬飼さんは大嫌いな犬との交流を試みることにする。やがて犬と触れ合ううちに家族の大切さに気付くことに…。

「『きなこ』というオスのトイプードルも飼っていますけど、なかなか僕になつかなくてね。僕が寝ようとすると、『ウーッ』ってうなるから、『ちょっと、何とかしてくれよ、コイツ』って。ものすごいストレスだったもん(笑)」

-劇中の犬飼さんと同じですね-

「ほんとですよ。『どっちを選ぶんだよ、俺とコイツと』って言ったら女房は笑っていました。きなこが昨日カットでいなかったんだけど、そうすると家のなかが静かなんですよ、気配が。ご飯を食べているときにすごく楽なの。

あいつがいると、もう真横にいてね。ジーッと見てるんですよ。それで反対側を向いて食べていると、すぐにまた今度はそっちに回っているんですよ。それがもうウザイの(笑)。『もう、ちょっとあっちに行けよ』って、つい言っちゃうんだけどね」

-『犬飼さんちの犬』に出演されて何か変わりました?-

「あの作品をやったときに犬の扱い方がようやくわかったんですけど、それまで頭に来ることがいっぱいあってね。女房がいないときに僕が帰ったときなんて、おやつをあげたりするとすごい喜ぶんですよ。

だから『寂しかったんだろうなぁ』っておやつをあげて、『おいしいか?』ってなでてあげようとすると、『ウーッ!』てうなるんですよ。だから『なんだ?お前はよー』って。食べてるときに手を出しちゃいけないってことを知らなかったんですよね。だからもうムカついちゃって。あと、僕の枕にお尻をつけてウンチをつけたりとかしてね(笑)」

-それは大変-

「でも、最近は僕が寝るときにベッドの真ん中にいつもいるの。だから僕がチョンチョンって端っこの方をたたくと、ちゃんと移動するんですよ。で、一緒に寝るの。必ず僕のベッドにいるんですよ、女房のベッドには行かない。

なぜかと言うと、女房は寝ながらガンガン動くから。それで僕のところにいるの(笑)」

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◆愛妻とのキス、2人の息子たちとのハグは欠かさない

-出かけるときのキスはご結婚されてからの儀式だそうですが-

「『行ってきます』のキスは続けていますよ。ただ、子供のご飯を作ったりして忙しそうなときは『いいよ、いいよ』って言っていますけどね。基本的にそうじゃないときには僕が出かけるとき、必ず女房はきなこ抱いて玄関まで下りてくるんですよ。

それで、前はきなこに鼻を近づけるとちゃんと鼻をなめてくれたんです。だからきなこがペロっとやって、それから女房とチュッとして出かけていたんですけど、今はきなこはしなくなっちゃった。横を向いちゃってね。

だからきなこに関しては諦めたけど、女房とはちゃんとしていますよ。あと息子たちとはハグ。息子たちは寝る前に必ずおやすみのハグをしにきますよ。子供のときからずっとやっているから、もう息子たちの方から来ますね」

-23歳と20歳の息子さんと今でもハグ…すてきなご家族ですね-

「そうですね。まぁ僕は家が好きだから、それが子供たちにもわかっているんでしょうね」

-ご長男の星一さんも俳優になられて今年は小日向さんと一緒にCMで親子共演もされましたね-

「たまたまね。使ってもらえましたけど、息子は息子で芝居をやっています」

-お父様と比べられるプレッシャーについては何かおっしゃっていますか-

「プレッシャーはあまり感じてないみたいだけど、僕の息子だということがわかってギョッとされたなんてことは言っていましたね。まあ、もう慣れてきたんじゃないですか」

-ご自分と同じ職業を選ぶということに関しては何かありますか-

「とっぴな仕事をしているっていう感覚は無いですね。だって、自分が面白がってやっている仕事ですから。

ただ、『一人前の俳優として食えるようになるにはお父さんも本当に時間がかかったから、それは覚悟できるのか?』とは言っていますけどね。『それができるなら焦るな』って。

『とにかくどちらかと言うと小日向家は小柄だし、いわゆるイケメンでもないんだから、ちゃんと芝居をして演技を身に付けていけば、いつかはきっと大輪じゃなくても花が咲くときがあるかもしれない。だから一生懸命芝居をやっていきなさい』って言っています。

まぁ自分が歩んできた道を参考にしか言えないですよね。もちろん映像の仕事が入ったりすると、喜々としてやっていますよ」

-舞台やドラマなどを見てアドバイスもされるんですか-

「そうですね。最近声優の山寺宏一さんと舞台をやっていたので、それは行ってきました。まぁ頑張っていますよ」

-弟さんのほうもお芝居をされているそうですね-

「やっているんですよ。大学2年ですけど、もう次の芝居も決まったって言って喜んでやっていますよ」

-奥様も元女優さんですし、ご両親のDNAを受け継いでいるという感じですね-

「やっぱりそういうことってあるんですね。そう思いました」

-演技の相談をされたりすることはあるんですか?-

「長男は僕が芝居を見に行って、『もうちょっとあそこをこうした方がいいよ』とかって言うと聞いてくれるし、次男坊の方は『今こういう感じで悩んでいるんだけど、お父さんだったらどうしたらいいと思う?』って聞いてきますね」

-お父様であり師匠…良い関係ですね-

「師匠っていうほどでもないんですが、芝居の話を3人でしたりしますからね。この間まで小さかったのに、もう3人で酒を酌み交わすこともできるし、芝居の話もできる。これは年をとるわけだなぁって思いますね。

ついこのあいだまで僕は仕事もなくて公園にいてね、子供たちと遊んでいた時期があったわけですから。それが、あっという間に子供たちが大人になって…。だから本当に人生早いなあと思って。自分が64歳だったって信じられないんですよね(笑)。1月には65歳になりますけど」

(C) 2018かぞくわりLLP

◆映画『かぞくわり』では小日向家とは真逆な家族の父親役

※映画『かぞくわり』
小説『死者の書』(折口信夫著)から着想を得て日本の家族のあり方を描く。画家になる夢に挫折し、両親(竹下景子・小日向文世)の元で無気力な生活を送っていた堂下香奈(陽月華)。ある日、香奈の妹(佃井皆美)と姪(木下彩音)が実家に戻ってきたことから生活が一変。家に居づらくなった香奈は神秘的な男性と出会い、再び絵に没頭するようになるが、やがて街全体を巻き込む騒動に発展していく…。

-奈良の景色や国宝の當麻寺などの映像も神秘的でした-

「奈良の景色が昔の日本はこういう感じだったのかなって思わせるところはありましたね。
それと中将姫という、実際にいた人が伝説では一晩で織り上げたという曼荼羅(まんだら)も出てきますからね。

普通はカメラを入れさせてもらえないようなところで撮影させてもらえたということでも、独特の奈良の雰囲気を味わえる作品でもありますね」

-奈良でのロケはいかがでした?-

「僕は家が一番好きだから、ロケなどに行くと、だいたい便秘になったり、体調が悪くなったりするんですけど、そんなにストレスがなかったんでしょうね。一番長いときで1週間ぐらい奈良に滞在していたんですけど、大丈夫でした。

休みの日が1日あったんですけど、みんなで明日香村に行ったりして、楽しい時間を過ごしていました。

地元の皆さんがとても協力的でね。ケータリングをいろいろ用意してくださったりとか、控え室を一般の方が提供してくださったり、撮影で使った家は別棟があるんですけど、それを丸々貸してくれて『好きに使っていい』っておっしゃってくれたんです。

それで冷蔵庫にはいつもデザートが入っていて。そういう意味ではほんとにおいしいものいろいろ食べさせていただきました。楽しいロケでしたね」

-奥様役は竹下景子さんでしたが、いかがでした?-

「初めて竹下さんと共演させていただきました。中村雅俊さんの付き人をしているときに竹下さんと中村さんが共演していてね。そのときにきれいな人だなと思って見ていたんですよ。

それが今回は夫婦役でね。それもちょっと変わった奥さんでしたからね。竹下さん、面白かったですよ」

-実際の小日向家とは正反対の殺伐とした家族ですね-

「そうなんですよ。うちは娘がいないのでね。ああいう娘同士のケンカって怖いなぁって思って(笑)。それで奥さんに娘ふたり、それに孫娘がいて男ひとりですからね。だからほんとにもう黙っているしかないなって感じでした。女性は強いですからね」

-1月には映画3本が公開、連続ドラマもスタート、そしてナレーション…引っ張りだこですが、お休みの日はどんな風にされていますか-

「何もしないでボーッとしています。完全にインドア派だから出掛けることは少ないですね。家族の気配を感じながら、家で本や台本を読んだり、メダカやゴムの木などの観葉植物をながめながらお酒を飲んだりしています」

-お酒は結構飲まれるんですか-

「昔は毎晩飲んでいたんですよ。だけど『ちょっと控えたほうがいい。1日飲んだら2日肝臓休みにしなさい』って言われたので、1日飲んで2日休むという感じです。前は本当に毎晩飲んでいましたからね。強くはないけど、結構な頻度でボトルはなくなっていました。

今はもう2日休むから飲むとすぐ酔いが回るっていうか。そのかわり2日間飲めなかったからきょうは飲めると思うと日本酒から始まっていろいろ飲みますね。

昨日が飲める日だったんですけど、日本酒、ウイスキー、ビール、ワイン、焼酎を飲みました。メダカを見ながらね(笑)」

うれしそうに話す優しい笑顔がすてき。2019年1月には『かぞくわり』のほか、主演の木村拓哉さん演じる潜入捜査官の元相棒を演じた『マスカレード・ホテル』(18日)、地元北海道でチーズ職人役に挑んだ『そらのレストラン』(25日)が公開。

それぞれ全く違う別人のような顔を見せる。「前に見たのと同じような感じだと思われたくないんですよ。貪欲にいろいろな役に挑戦していきたい」と話す。温厚そうな役から狂気を秘めた悪役まで演じる役柄の幅は実に広い。次に挑むのは善人か悪人か…楽しみだ。(津島令子)

ヘアメイク:河村陽子

(C) 2018かぞくわりLLP

※映画『かぞくわり』
2019年1月19日(土)より有楽町スバル座・TOHOシネマズ橿原他ロードショー。
監督:塩崎祥平 出演:陽月華 石井由多加 竹下景子 小日向文世
配給:日本出版販売

(C)2018『そらのレストラン』製作委員会

※映画『そらのレストラン』
1月25日(金)より全国ロードショー。
監督:深川栄洋 出演:大泉洋 本上まなみ 岡田将生 マキタスポーツ 高橋努 石崎ひゅーい 眞島秀和 風吹ジュン 小日向文世
配給:東京テアトル

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