詐欺に遭いホームレス経験も…『カメ止め』上田慎一郎監督が「選んだ道はぜんぶ正解」と語る理由

公開: 更新: テレ朝POST

2018年8月、クリエイターを目指すミレニアル世代を対象にオープンしたオンラインサロン「CREATOR’S BASE byテレビ朝日」。

この「CREATOR’S BASE」は、クリエイターを目指す若者を対象とした会員制コミュニティサービスで、各界で活躍する若手クリエイター陣によるセミナーイベントを軸に、「好き」を仕事にする方法や才能の育て方を発信している。

「CREATOR’S BASE」第7回として開かれたイベントでは、上田慎一郎監督によるトークイベント&ワークショップが行われた。

©CREATOR’S BASE

上田監督が自身の体験をもとに語った「自分を止めるな!~選んだ道を必死で正解にする生き方~」のトークイベントの一部を公開する。

◆不正解だらけだった“暗黒時代”

上田監督の学生時代は、まさに“順風満帆”だった。

中学校に入学したあたりから自主映画を製作しはじめ、高校の文化祭ではクラスの仲間と映画を作って上映したところ評判になり、地元の新聞に取り上げられることもあった。

その後、高校の演劇部にスカウトされ入部。万年、地区予選落ちだったにも関わらず、上田監督が作・演出を手掛けた劇で近畿2位まで上り詰めた。

高校を卒業するまでには、いくつかの大学の演劇部からオファーを受けるが、すべて辞退する。

「当時は成功体験が積み重なって自信に満ち溢れていて、天才だと思っていました。国内にとどまらずハリウッドに進出しようと、1年間英語の勉強をすることにしました」(上田監督)

©CREATOR’S BASE

ここから“順風満帆”だったはずの人生が急展開を迎え、“暗黒時代”に突入する。

ハリウッドを目指して大阪の英語の専門学校に入学するも、英語が分からず嫌気がさして、2か月で中退。フリーターとなると詐欺の被害にあった。

それでも「映画監督になろう」と、なんとかヒッチハイクで上京。

自分で撮った写真を路上で販売するなどして、食いつないでいたが、マルチ商法に引っかかり200万円を借金。家も友達も失い、ついにはホームレスになった。

その後借金を返済するが、出版社から誘いを受け、自費で小説『ドーナツの穴の向こう側』を出版。思ったように売り上げは伸びず、再び200万円の借金を背負うことになった。

この時実に4年間、映画を作っていなかったが、24歳でついに映画製作を再開する。

「『映画監督になる』と言って上京をしたのに、俺は何をやっているんだろうと。もう一度映画だけに集中しようと思いました」(上田監督)

SNSで仲間を募り、自ら自主映画製作団体を発足。

最初に制作した長編映画『お米とおっぱい。』は全く日の目を浴びることはなかったが、短編映画『恋する小説家』を皮切りに映画祭に入選するように。

その後「自信がついた」という上田監督は数々の短編映画を製作。34歳の時に製作した長編映画『カメラを止めるな!』は空前の大ヒットとなった。

◆「選んだ道をぜんぶ“正解”にする」

詐欺に遭ったり、借金をしたり、ホームレスになったり…。「最初の人生は、『不正解』ばかり選んでいた」という上田監督だが、自身の壮絶な体験を通して学んだことがあった。

「選んだ道に正解か不正解はない。選んだ道をぜんぶ“正解”にする」(上田監督)

©CREATOR’S BASE

「カメラを止めるな!」のヒットを受けて、10年前に全く売れなかった小説「ドーナツの穴の向こう側」が再発売。日の目を見なかった「お米とおっぱい。」もDVD化されることになった。

「10年前に不正解だったことが、10年の時を経て正解になりました。正解か不正解かは選んだ時点で決まるのではなく、選んだ道を正解にするしかないんだなと」(上田監督)

「不正解」な道を選んでいたとしても、いつか「正解」にひっくり返ることを信じて――。社会現象にまでなったヒット作の裏には、ゆるぎない監督の信念が隠されていた。

<制作:CREATOR’S BASE>

※『クリエイターズベース』次回イベント
「旅を仕事にするって、どういうこと?」
登壇者:山脇道子・伊澤慶一
日時:2018年12月15日(土) 19:30~21:30(開場19:00)
場所::DMM本社(東京都港区六本木3丁目2−1)
詳しくは、「CREATOR’S BASE」の公式サイトまで。

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