松坂桃李、樹木希林さんの金言を胸に演技「肩の荷が降りた」最近はフィギュアスケートにも関心!?【連載PERSON vol.28】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.28は、金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15~※一部地域除く)で主演を務めている松坂桃李さんが登場します。

松坂さんは、『侍戦隊シンケンジャー』シンケンレッド・志葉丈瑠役で俳優デビュー。その後は、ドラマ、映画、舞台と数々の作品に出演し、「第37回 エランドール賞」新人賞、『第43回 日本アカデミー賞』最優秀主演男優賞など、数々の賞を受賞しました。今年もドラマはもちろん、映画『いのちの停車場』(5月21日公開)や、『孤狼の血 LEVEL2』(8月20日公開)、『空白』(9月23日公開)の公開が控えているなど、名実ともに日本を代表する俳優として脚光を浴び続けています。

そんな松坂さんのコミカルな演技を見られるのが『あのキス』です。第2話では、主人公の桃地のぞむ(松坂)が、恋人未満の存在だった漫画家・唯月巴(麻生久美子)だと訴える見知らぬおっさん・田中マサオ(井浦新)を、受け入れるのかが注目ポイント。彼(彼女)は本当に巴なのか? 序盤の山場となる必見の回です。

今回、松坂さんには、本作のエピソードから、ある名優から授かった言葉や刺激を受けているというスーパースターの話まで、たっぷりと語っていただきました。

――脚本の大石静さんが「この作品はジェンダーフリーな世界観を提示しています」とコメントしていらっしゃいました。松坂さんが実際に演じる中で、ジェンダーについて考えることや思考が変わることはありましたか?

もともと僕自身、固定概念はあまりなくて。この作品は、ストレートなメッセージとして伝えるのではなく、“あのときキスしておけば”と、ちょっとしたコメディ要素を含ませていますし、人によっては、“そういうふうに受け止めていただいてもいいですよ”という、ライトな伝え方をしているので、すごく好感が持てました。

――ご自身が視聴者側だとしても間口が広く、気楽に見やすいドラマだと。

そうですね。深く受け止めようと思えば、いくらでも深く受け止められる作品ですし、表面だけで楽しもうと思えば、いくらでも楽しめる要素もあると思っています。僕としては、純粋にこの作品を楽しんでもらえれば、それでいいと思っていますし、見終わったあとに、人の死をここまで柔らかく表現できていることだったり、ジェンダーフリーのことだったり、見た後の調理方法は視聴者の方に任せる感じですね。

――巴の魂が乗り移った田中(オジ巴)を演じる井浦さんとお芝居をする中で、キュンとすることやドキっとすることはありましたか?

撮影中、新さんの横にいることが多いんですけど、パッと見ると、やっぱりまつ毛が長くて……(笑)。ちょっと伏し目がちのときがすごくセクシーなんですよね。それが新たな発見です。

新さんは現場で空気を読まれるし、気遣いもすごくて、いろんなスタッフさんとコミュニケーションをとられるんですけど、その中にも、ちゃんとお芝居と向き合う時間があるんですよ。そういう “バランス力”というのは、一緒にお芝居させていただいて参考になるというか。すごいなと思う先輩の一人です。

――第2話から“オジ巴”と桃地のやりとりが本格化します。最後に、松坂さんが思う注目ポイントを教えてください。

1話と空気感がガラッと変わると思います。なぜならば、(巴がおじさんに)憑依している状態なので(笑)。僕と麻生さん、ほかのキャスト・スタッフさんで作った『あのときキスしておけば』1話のテンションとは違うものになっているのも2話の面白いところだと思います。僕の中で、1、2話を合わせて初回だと思っているので、ぜひ見逃さずに見ていただきたいです。

エンタメ界で影響を受けている人はフィギュアスケート選手!?
エンタメ界で影響を受けている人はフィギュアスケート選手!?

――続いて、パーソナルな部分もお聞きしたいです。青春時代によく見ていたドラマを教えてください。

『木更津キャッツアイ』『池袋ウエストゲートパーク』『オレンジデイズ』『Stand Up!!』『人にやさしく』、あとはいま続編が放送されていますけど『ドラゴン桜』も見ていました(笑)。当時、群像劇が多かったと思うんです。男の子と女の子が入り乱れて、悪いこともいいこともいろんな青春をするという。そういった作品は自分も好きでした。

――ご自分の境遇や環境と照らし合わせることもできますしね。

そうですね。自分の青春時代を彩ってくれた作品でした。

――アニメやバラエティもご覧になっていたんですか?

アニメだと、アニメ専門チャンネルの「アニマックス」とか「カートゥーン ネットワーク」とか、バラエティは『うたばん』や『笑う犬』シリーズ、『トリビアの泉』はすごく見ていましたね。(『トリビアの泉』のボタンを押す仕草をして)「へぇ~!」って、あれは面白かったです。

――役者をする中で、今の軸となるような先輩俳優からのアドバイスを教えてください。

本番前は緊張しがちで、初日も眠れないようなこともある中で、樹木希林さんとご一緒させてもらったことがあったんです。本番前にガチガチでいると「あのね、適当でいいのよ」って。それで肩の荷が降りたというか、緊張がほぐれたというか。それからは、平常心を失っていると思うたびに、その言葉が頭に浮かびます。

――自分が影響を受けたと思うエンタメ界の方はいらっしゃいますか?

最近、刺激を受けた人でいうと、フィギュアスケート選手のプルシェンコさん。昔の動画を見たんですけど、彼の演技が鳥肌が立つくらい素晴らしくて。僕は、フィギュアど素人なんですけど、「すごいものを見た……!」と思いました。そこからは、テレビでフィギュアスケートの大会が放送されていると、欠かさず見るようになっています。

――ファンになったんですね。

周りの方に支えてもらいながらも一人で戦っているフィギュア選手に、勝手にシンパシーを感じているんです。どれだけ頑張ったのかを見せもせず、いろんなものを背負いながらリンクに立って……。僕たちは「このジャンプすごいな」とか「4回転失敗しちゃったかー!」とか勝手に思うわけですが、選手は“(観客に)そう思われているな”って思いながらも、演奏が終わるまで表現をやめずに滑り切ってリンクを降りる。その姿を見ていると感動するんです。

(取材・文・撮影:浜瀬将樹)

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