玉木宏、業界から求められる中でも感じる“危機感”「安心したことは一度もない」【連載PERSON vol.26】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.26は、木曜ドラマ『桜の塔』(テレビ朝日系、毎週木曜21:00〜)で主演を務めている玉木宏さんが登場します。

2001年公開の映画『ウォーターボーイズ』の佐藤勝正役、2003年放送の『連続テレビ小説 こころ』(NHK)の堀田匠役などで知名度を上げ、2006年に放送された『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)の千秋真一役では、世間に“のだめブーム”を巻き越した玉木さん。近年では、5月28日公開の映画『HOKUSAI』、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)に出演するなど、数々の作品で人々に感動を与えています。

玉木さんが『桜の塔』で演じる上條漣は、警視総監の座を狙う捜査共助課の理事官。ずば抜けたプロファイリング能力を誇り、冷静沈着に事件と向き合う役どころです。この一筋縄ではいかない人物については、“悪いことをしている”というイメージは持ちつつも「寂しい人間だと感じる部分もある」と言います。

本作はもちろん、ドラマ・映画によって、さまざまな顔を見せる玉木さんですが、自分自身の魅力をどう感じているのか? 話を聞きつつ紐解いていくと、彼の口から出たのは「常に危機感がある」という言葉でした。

――業界に入る前によく見ていたテレビ番組を教えてください。

ドラマ、バラエティ、音楽番組、ひとつ挙げるのが難しいくらい、たくさん見ていましたね。バラエティだと『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』や、『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』など、ビートたけしさんの番組はよく見ていました。

『たけし城』は名作だなと思っていて、「ジブラルタル海峡」という(不安定な吊り橋の上を渡る)ゲームがあったんですけど、その渡る人に大砲でバレーボールを当てるんです。いまは、そんなことできないと思いますが、その番組がファミコンのゲーム(『ファミリートレーナー 突撃!風雲たけし城』ほか)になったり、ブームを巻き起こしていたのですごいなと。

ドラマだと、『じゃじゃ馬ならし』や『放課後』。あとは、木村拓哉さんが出演されているドラマはたくさん見ていましたね。特に『若者のすべて』は好きでした。『あすなろ白書』もそうでしたけど、当時は、そういった青春群像劇が多かった気がします。出演されている上の世代の人たちが、ちょっと悪い感じにも映るし、カッコいいし、刺激的でした。

――特に木村さんは現在も世の中にブームを起こされる方ですよね。それでは、いま、おすすめの(好きな、よく見ている)テレビ番組を教えてください。 

子供がいるので、いまは『シナぷしゅ』という子供番組を見ています。それを毎回録画していますね。それが子供にとっても安心材料のようで(笑)。

――役者をするにあたって大切にしている軸、信念を教えてください。

やはり一人のものではなくて、共同で作るものなので、その作品やそのシーンにおいての立ち位置を意識しています。引くのか、ガツっと表に出ていくのか、それをちゃんと把握していないとコントロールできないですし、作品が台無しになってしまうので、引くところは引く、出るところは出る、ということは一番大事にしたいところです。

――玉木さんは、ドラマ、映画、CMなど多くの作品に出演されており、業界はもちろん、世の中からも求められている立場です。この状況はどのように感じていらっしゃいますか?

「ありがたい」の一言ですけど、そのありがたさを形にしなければいけないので、常に危機感はあります。安心したことは一度もないと思います。

――こうして主役をやられていますが、5年後、10年後、どうなっているか分からないと。

まさにそうです。

自身が語る“玉木宏の魅力”とは?
自身が語る“玉木宏の魅力”とは?

――ご自身で思う“玉木宏の魅力”をどう分析されていますか?

“自分らしさ”というものが、いまだに分かっていないところがあって。パブリックイメージを作り上げられることで、“そうなのかな?”と思う部分もあるし、逆に“パブリックイメージとは違うぞ”という自分もいるし。だからこそ、また新たな自分を生み出せるのかもしれません。

ただ、“オファーをすれば、ちゃんとやってくれるんだ”と思われるように演じたいです。味なんて何もないと思っているので、それでいいのかなと。

――今回の漣のような役どころからコミカルな人物まで多彩に演じられていますが、そうすることで“視聴者の方を驚かせたい”気持ちもあるんですか?

そういう存在ではありたいですね。“こういう役って合うよね”というオファーの仕方もあると思うんですけど、“新しいことをさせたい”という気持ちでオファーをくださるのもすごく嬉しいです。これまでとは、まったく違ったものを提示されると、チャンスだなと思います。

――これまでの俳優人生で、ご自身が思う、“ここが一番の転機”と思うのは、どのあたりですか?

23歳でアルバイトを辞めた時です。バイトをするために上京したわけではないし、この仕事一本で生活できるようにしたいという覚悟と責任が芽生えた時期です。

――アルバイトをやめて間もない頃は「またバイト生活に戻るかもしれない」という気持ちはありましたか?

思っていたし、今でもあります。別に戻る状況になったらやれますけど、戻りたくはない。でも、(アルバイト生活は)すごく大事な時間だったと思うし、あって良かったと思います。

(取材・文・撮影:浜瀬将樹)

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