唐沢寿明が日本版ジャック・バウアーに!「役の本質を掴んで素直にやること」『24 JAPAN』インタビュー

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唐沢寿明さんが主演を務めるドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15~※一部地域を除く)が10月9日よりスタートします。

1日の出来事をリアルタイムで描く革新的なスタイルと、スピーディーかつスリリングな展開で視聴者を圧倒し、世界的大ヒットシリーズとなった『24-TWENTY FOUR-』(2001年)のリメイク作。“米国史上初のアフリカ系アメリカ人大統領”が誕生するまでの24時間を描写したオリジナル版のシーズン1をベースに、“日本初の女性総理”が誕生するまでの24時間を描きます。

唐沢さんが演じるのは、日本版ジャック・バウアーとなる獅堂現馬(しどう・げんば)。作品への思い、超大作のリメイクに挑むことへの本音を聞きました。

獅堂現馬役を演じる唐沢寿明さん
獅堂現馬役を演じる唐沢寿明さん

――オリジナル版の大ファンとのことですが、「もし日本版があったら」と考えたことはありましたか?

考えたことはなかったので、リメイクするということ自体に、すごく驚きました。誰が決断したんだろう(笑)。

――とはいえ作品のファンとして、もし主演が他の方だったら悔しかったのでは?

悔しいとは思わないけど、皆さん同様「難しいんじゃないかな」と思っていただろうね(笑)。だからといって、特別に気合が入っているということはないけど、オリジナル版を見ている役者の中には、「日本版は難しいんじゃないか」と思ってる人はいっぱいいるんじゃないかな。

――同業者からも反響がありそうですね。リメイクということで、すでにストーリーの全体像が見えている状態ですがどのようなアプローチを?

何十回も見てるから、芝居をする中で、「あの時の、あのシーンだな」ということは頭に浮かびますね。でも、だからこそ気負わず、焦らずにやるようにしています。

――オリジナル版の魅力は、どこにありますか?

やはりストーリーでしょうね。知らず知らずのうちに引き込まれて、夜は眠れなくなるパターン。それに、何回も見ていて内容を知っているのに、また見たくなる。いまだに僕はそうですね。携帯の着信音も、CTU(テロ対策ユニット)の内線電話の着信音にしていますから。ただ、この作品のオファーが来た時、情報が解禁される前は「バレたら嫌だな」と思って、着信音を一時期変えていました(笑)。

――日本版ジャック・バウアーとなる、獅堂現馬。どんなキャラクターと捉えていますか?

僕は字幕版で見ていますけど、ジャック・バウアーって“普通の人”なんですよね。“強面の暴れん坊”みたいなイメージを持っている方が多いとは思いますが、巻き込まれて規則や規定を破らざるを得なかった、という男。僕なりのジャック・バウアーのイメージがあるので、それをやろうと思っています。

――現馬の好きなところは?

人として、家族を愛しているところです。仕事に関しては、すごくストレートで真面目にやっている人物だと思います。もしオリジナル版をもう一回見たいと思ったら、ぜひ字幕版で一度見てほしいです。そうすると、その人の本質的な部分がよりリアルに見えると思います。吹き替え版だと、どうしても誇張されてそこに引っ張られてしまうので。

――情報解禁時、今作について「キャリア史上、一番賛否両論ありそう」とコメントされていました。SNSが普及して、視聴者の意見がダイレクトに届いていると感じますか?

あまりSNSを見ないからわからないけど、視聴者の意見は、それはそれとして受け止めるしかないですよね。だから、そういう人たちも巻き込んでいけるようなものが作れたらいいですね。大変な事かもしれませんが、「日本版は日本版で、頑張ってるんじゃない?」と思ってもらえれば成功だなと思います。

――人気作のリメイクということで、背負うものも大きいように思えます。

キーファー・サザーランドさんの真似をするのではなく、自分が今回の主人公として、役の本質を掴んで、素直にやることですよね。それが、見ている方に違和感なくハマってくれれば、良い結果になると思います。

――現場の雰囲気はいかがですか?

スタッフも含め、チームワークはすごくいいです。俳優陣も、それぞれ役のイメージを自分の中で掴んでいるので、やりやすいです。

――今回はコロナ禍ということもあり、交流の仕方も変わってくるのでは?

今は、大勢で集まるのは難しいですよね。(栗山)千明ちゃんと池内(博之)くんとは、前に3人で食事に行き、ドラマについては、少しだけ話しました。現場でも池内くんにちょっかいをかけています(笑)。

――作品は緊張感のあるサスペンスですが、唐沢さんは最近何かにハラハラしましたか?

この前、ものすごいスピードのママチャリにぶつかりそうになりました。危ないよね(笑)。役者としては、20代の頃は緊張していたけど、経験と共に少なくなりましたね。緊張しても、あまり良いことってないからなぁ。でも、ずいぶん前の作品で、ワイヤーに吊られた状態で20mくらいまで引き上げられて、岩肌に叩きつけられるというシーンの撮影は、緊張感がありました(笑)。

――物理的な緊張感ですね。

そうですね(笑)。でも精神的な緊張感より、そっちのほうが楽ですよ。精神的には、涙を流すシーンの前は緊張するかな。若い頃から、泣かされる役が多くて(笑)。最初から泣く準備をしている人なんて、いないじゃない? 何か事が起きてから涙が出てくるわけだから、あえて心の準備をしないで泣くことにトライしてみる。そういうチャレンジをする時には緊張するけど、気持ちはリラックスしていないといけないから、難しい。でも、それがうまくいくと「演技って、やっぱりおもしろいな」と。うまくいかなかったら、地獄ですけど(笑)。

――私生活で役を引きずったり、芝居を振り返ったりすることはありますか?

それはないと思います。自分の中で役のイメージが決まっている場合は、撮影が終わったら「終わり!」という感じかな。振り返って、もう一回やらせてくれるならいいけど、それはできないし、終わったことは振り返らないようにしています。

――当時のジャック・バウアーには“24時間戦い続ける男”というキャッチフレーズがありました。もし獅堂現馬に、別のキャッチフレーズを付けるとしたら?

“現馬、24時間現場に出る。”でどうですか?(笑)。

――ありがとうございます(笑)。オリジナル版のシーズン1がアメリカで放送されていたのは2001年。今回の日本版ではじめて『24』を知る方もいらっしゃるかもしれません。放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

若い世代からすると、新鮮かもしれませんね。でも、根底にある“家族を守る”とか“自分の仕事を全うする”というものに、時代は関係ないと思っています。ストーリーを追って見ていれば、ハマって「次はどうなるんだろう」と気になってくる……。フィクションとして、この物語を楽しんでもらえたらと思います。

(取材:勝浦阿津希)

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