沢尻エリカ『白い巨塔』で財前五郎の愛人役「変化するケイ子を見てほしい…」

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沢尻エリカ
沢尻エリカ

山崎豊子の不朽の名作を5夜連続で放送するテレビ朝日開局60周年記念ドラマスペシャル山崎豊子『白い巨塔』(5月22日~5月26日、5夜とも21:00~)。本作で、岡田准一さん演じる財前五郎の愛人であり、財前を陰ながら支える花森ケイ子を演じるのが、芸能生活20年を迎える女優・沢尻エリカさん。

本作は、ドイツの美しい街並みの中で大規模なロケを行うなど、壮大なスケールで描く医療界をテーマにした人間物語。「このタイミングで作品に出会えたことは大きかった」と、しみじみ語った沢尻さんに作品の見どころや、ケイ子という女性の魅力などについてお聞きしました。

――歴史ある作品で、主人公の大きな心の支えとなるケイ子という役。オファーを受けたときの心境を聞かせてください。

以前、ドラマ化された作品も見ていて、すごく好きだったので「緊張するな」という思いがありました。また前回、ケイ子という役は黒木瞳さんが演じられていたのですが、「私なんかでいいんですか」という気持ちもありましたね。

――「緊張する」とのことですが、現場はどんな雰囲気だったのでしょうか?

鶴橋(康夫)監督とは以前、作品をご一緒したことがあり、すごくアットホームな方だなという印象があったのですが、それは今回も変わりませんでした。岡田さんもとても気さくな方で、すごく楽しい現場でした。

――岡田さんは沢尻さんのことを「ジリさん」と呼んでいたようですね。

そうなんです(笑)。これまでそんな呼ばれ方をしたことなかったのでちょっと驚きましたが、親しみを込めて呼んでくださったので嬉しかったです。内容的には重い話なのですが、岡田さんが座長として現場を引っ張っていくなかで、すごくムードメーカーになって楽しい雰囲気で撮影ができました。

――鶴橋監督からはどんな演出があったのですか?

比較的自由にやらせていただける監督で、あまり「こうしてほしい」というのはなかったのですが、唯一「とにかく色っぽく」ということは言われました。自分でも普段よりは大人っぽくということは意識しました。

――鶴橋監督は、ラブシーンなどでは自ら身振り手振りを交えて演出をされるとお聞きしたことがあります。

そうなんです。岡田さんとは初対面だったのですが、撮影の最初のシーンが結構濃厚なキスシーンで……(笑)。私自身結構人見知りする方で、最初は軽めの感じでキスしたら、鶴橋監督から「もっといけー!」って(笑)。その監督のテンションで現場も和んで、そこからはあまり緊張なくできました。岡田さんも鶴橋監督の言葉に「任せてください!」っておっしゃって引っ張っていただけました。

――ケイ子は財前を精神的に支える役でしたが、どんなことを意識して臨んだのでしょうか?

大らかというか、愛情深くというか……。包み込むような大きな優しさを持った女性だなと思ったので、そのあたりは意識しました。

――ケイ子という女性についてはどんな印象をお持ちですか?

世の中のモラルなどに縛られず、自分なりの信念をしっかり持って正義を貫いているところは格好いいなと思いますし、共感もできます。自分と違う部分は、すごく愛情深いところかな……(笑)。五郎さんを支えるという意味では、聖母マリアさまみたい。私はあそこまでの愛はないかもしれません(笑)。

――岡田さん演じる財前は、普通の医師から、野心に満ち溢れ、ことを成し遂げるためにまい進していく医師へとなっていく変化がすごかったです。

本当に前半と後半で全然顔つきが違いました。変わっていくさまを間近で見ていたので、凄いなと。最後は本当に怖いくらいでした。こんなに短期間で役を作り上げられていく姿は、本当に迫力がありました。側で見ているケイ子としては、好きだから支えたいのですが、五郎さんが変化していくのを見るのは辛いんですよね。

――沢尻さんにとって、財前のような生き方はどのように映りますか?

信念を持ってなにかに向かっていく姿はかっこいいなとは思います。ただ葛藤やいろいろな争いのなかで、人が変わってしまうぐらい追い詰められるのは、なんとも悲しいですよね。

――愛人ということで、奥様とのバトルも見どころの一つですよね。

あからさまなバトルみたいなものはないのですが、奥様と対峙するシーンはあります。基本ケイ子は受け身なのですが、お互いに五郎さんを愛しているということがわかるので、すごく切ないシーンになっていると思います。

――沢尻さんも芸能生活20年を迎えますが『白い巨塔』という作品に出会えたことはどんな意味がありますか?

お話をいただいたのは2018年の夏ぐらいだったのですが、このタイミングでこんな名作で、しかも豪華なキャストの方々とご一緒できることが、本当に光栄だと思いました。

――「令和」という時代の最初の大型スペシャルドラマになります。沢尻さんにとってどんな時代にしたいですか?

新しいことにどんどんチャレンジしていきたいですね。最近料理も勉強し始めたのですが、これまで経験したことないことをやってみたいという気持ちが芽生えてきています。陶芸とかもやってみたい。若いころに比べて意欲がどんどん増してきています。

――最後に「令和版 白い巨塔」の見どころを。

若干、年齢も若くなっていますし、全体的にリフレッシュされた感じがあるかなと。過去にもドラマ化された名作なのですが、キャスト、スタッフ共に「あまり気負わず新しいものを作っていこう」という気持ちで臨んだ作品です。ケイ子的には五郎さんを支え続けているなかで、彼女自身も気持ちが変わっていきます。その変化などにも注目してほしいです。

(取材・文:磯部正和)

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