西島秀俊さんが主演を務めるスペシャルドラマ『名探偵・明智小五郎』（テレビ朝日系、21:00～）が、3月30日（土）と31日（日）に2夜連続で放送される。これまで何度も映画化・ドラマ化されてはさまざまな名優が明智小五郎役を演じてきた本作を、今回は舞台を現代に移し、西島さん演じる明智が明晰な頭脳とアクションを武器に世界的ハッカー集団「ファントム20」との戦いに挑む。
そして、江戸川乱歩の原作ではおなじみの明智の助手である小林少年を演じるのは、西島さんと多くの作品で共演してきた伊藤淳史さん。本作では警視庁刑事部「サイバー捜査支援室」の小林捜査官として登場する。このほど西島さんと伊藤さんがインタビューに応じ、本作の見どころや豪華キャストとの共演などについて語ってくれた。
――本作の台本を読んだ感想と、魅力についてはどう思いましたか？
西島：明智の世界観はとても強いものなので、現代に持ってくるのは難しいのではないかと思いました。「怪人二十面相という人物が現代にいるとしたら、どういう人物になるんだろう？」と、どうやって現代版にアップデートするのかという点に興味があったのですが、現代のサイバー犯罪が軸になるということで、「なるほど」と思いました。明智とか小林というよりも、怪人二十面相を現代でどう描くのかというところにすごく惹かれました。
伊藤：すごく引き込まれましたね。おいしいところどりというか、警察・医療・サイバー……。これはワクワクするだろうというものをすべて取り込んでいて（笑）。エンターテインメントとして完成度の高い脚本だなと思いました。
――お2人は様々な作品で共演していますが、タッグを組むという意味では初めての作品ですね。
西島：コンビと言っても差し支えのないぐらいしっくり来ている関係なのですが、ついにドラマでバディを組む時が来たという感じですね。
伊藤：皆さんのイメージ通り、西島さんは素敵な方で、台本にあることないこと含めて、大概のことは許してくれるんです。他の方にはなかなかできないことですね。この作品においてはそれがすごくプラスに働いているんじゃないかな。失礼を承知でやりたい放題やらせてもらいました。それがうまいこと画に表れているといいなと思いますね。早いとこ「劇団西島」を作ってもらって、年2回くらいのペースで公演したいです（笑）。
――香川照之さん、石田ゆり子さんをはじめとする豪華なキャスト陣が出演しますが、共演はいかがでしたか？
西島：香川さんはものすごい自由な演技をされて（笑）、やりたい放題で帰っていきましたね（笑）。ゆり子さんとは結婚相手として何度か共演しているのですが、大体は不幸な役柄なんです。でも今回はものすごく幸せで、別居はしているんですけどお互いのことが非常に好きで、楽しく撮影ができました。他の皆さんは、木村（ひさし）組の常連で正直、くせ者しか出ていません（笑）。アドリブをどんどん入れてくるので、すごい作品になっていると思います（笑）。大先輩たちが疲れも見せないで、楽しんで帰っていったという印象ですね。
伊藤：豪華なキャストなのですが、わりと2、3日で撮影が終わっちゃうんです。その人たちのエネルギーと爪痕の残し方がハンパなくて（笑）。その最たるものが香川さん。ものすごい爪痕の残し方で、“こっちはずっと出ているのに、気を抜いたら全部持っていかれるぞ”と。いい意味でモチベーションというか、やる気を起こしていただきました。高嶋政伸さんとは久しぶりの共演だったのですが、アクションシーンがすごかったです。筋肉痛がヤバかったみたい（笑）。
――木村監督からはどのような演技指導があったのですか？
西島：アクションが今回ジャッキー・チェンの影響を受けたという設定なので、ジャッキーのファンはグッとくるんじゃないかな。酔拳だったり、事務所になぜかモクジントウ（※1）があってそれで稽古していたり……。あとは子供の頃によく見ていた『江戸川乱歩の美女シリーズ』（※2）のように僕が必ず変装するので、見逃さないでほしいですね。
伊藤：小林は噛んでしまうキャラなんですけど、噛まなきゃって思いながら芝居をするので変な感じになりました。これはヤバイです（笑）。噛むって偶然起こるものなのに台本に噛む言葉が書かれてあって……。本番直前に監督が近付いてきて「このせりふで噛みたいですね」って言ってくるんです。テストも終わってるのに！
西島：ここで噛む？ っていうところで噛むよね。
伊藤：胸にグッとくるシーンで大体噛んでいるので、そこを楽しみにしていただければ。
※1……中国武術の練習で使用する人を象った木の人形
※2……『江戸川乱歩の美女シリーズ』……テレビ朝日系で1977年から1994年まで「土曜ワイド劇場」の枠で放送されていたドラマシリーズ。明智役は故天知茂さん、北大路欣也、西郷輝彦が演じていた。
