沢村一樹『刑事ゼロ』で記憶喪失の刑事に!「青臭さを見てほしい」

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優秀な刑事だった男が、ある事件をきっかけに、刑事になってからの20年間の記憶を無くしてしまった――。周囲に「なにか様子がおかしい」と思われながらも、記憶を失ったことにより敏感になった“五感”と“洞察力”を武器に、相棒の佐相智佳(瀧本美織)と難事件を解決していく姿が描かれる木曜ミステリー『刑事ゼロ』(テレビ朝日系、毎週木曜20:00~)が、1月10日から2時間スペシャルでスタートする。

本作で、記憶を失ったベテラン刑事・時矢暦彦を演じているのが、俳優の沢村一樹さんだ。刑事であるにもかかわらず、過去に積み上げてきた経験が“ゼロ”になってしまった男を、沢村さんはどのように演じていくのだろうか――お話を伺った。

――沢村さん演じる時矢暦彦は、刑事なのに記憶喪失になってしまったという役柄です。台本を読んでどんな印象を持ちましたか?

正直、刑事で記憶喪失なんて話が成立するのかなと思っていたのですが、まずは本がすごく面白かったです。木曜ミステリーらしく人間味あふれる話で、登場人物も伯父役に武田鉄矢さんだったり、同僚には寺島進さんがいたりと魅力的な人が多い。記憶がなくなってしまっていても、悲壮感が強く描かれているわけではないので、演じるのが楽しみだなと思えるキャラクターでした。

――記憶は失いましたが“感覚的に覚えている”というお芝居は、さじ加減が非常に難しいのではないですか?

以前、記憶をなくしてしまう役を演じていてその際に、記憶喪失のパターンや原因などを教えてもらっていたので、ある程度準備できている部分もありました。あとは、結構普段の生活でも、記憶喪失ではないですが、一度会ったことがある人に再会しても、前のことを覚えていないことってあるじゃないですか。そのなかで「あー! あのときの……」と、記憶が蘇るといったこともあるので、そこまで現実とかけ離れた設定ではないのかなと思っています。

――コンビを組む女性刑事・佐相智佳役の瀧本美織さんにはどんな印象を持っていますか?

ポスター撮影のときにお会いしたときの印象では、役を通してその場を楽しめそうな方だなと思いました。ただセリフの量がものすごく多いので、お互いセリフに追いかけられないように準備は必要だなと感じました。

――沢村さんと言えば、刑事を演じることが多いですね。

そうですね(笑)。医者と刑事役は多いですね。どちらも人の人生を大きく左右しかねない職業なので大変です。

――刑事役が多いことについて、どう分析されますか?

「浅見光彦」シリーズの影響が大きいと思うんです。事件よりも、そこに関わる人々の物語が描かれている。浅見光彦自身は刑事ではなく探偵なのですが、事件を解決していく姿が刑事とダブる部分があるのではないですかね。

――逆に、犯人役などはあまりないですよね?

そうですね(笑)。でも「浅見光彦」シリーズに初めて出演したのは犯人役だったんですよ。

――本作ではどんな部分を見て欲しいですか?

記憶を失い、刑事としてのスキルがないので、情熱だけでやっている男。僕らの世代になると、仕事を始めたときの情熱みたいなものをなくしてしまっている人も多いと思うので、そんな人たちにも燃えたぎるような、人間臭さや青臭さを意識して演じていきたいです。

――人間味あふれる沢村さんにはピッタリの役柄ですね。

青臭いと言われるのは嬉しいですね。あまりこなれた俳優にはなりたくないので……。普段の生活のなかでも、少年の心は大切にしています。もともとスマートになんでもできる人間より、不器用だけれど一生懸命やっている人の方が好きなんです。今回の役は、そういった部分を伝えられればいいなと思っています。ただ、正直できるかなという不安もあります。自分の頭のなかで思っている表情と、実際の僕の表情にズレがあるんですよね(笑)。どこまで青臭く無邪気に演じられるか。今回は若い瀧本さんもいるので、一緒に力を借りながら役を作っていきたいです。

(取材・文:磯部正和)

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