貴島彩理プロデューサー、エスムラルダ

女好きだけどモテない33歳のおっさん主人公・春田創一(田中圭)、ピュアすぎる乙女心を隠し持つ“ヒロイン”黒澤武蔵(吉田鋼太郎)、同居している“イケメンでドSな後輩ライバル”牧凌太(林遣都)が織りなす男同士の恋愛模様が描かれた『おっさんずラブ』(テレビ朝日系、毎週土曜23:15~)。

コミカルなテイストの中に、“王道シチュエーション”をたっぷり盛りこんだ「恋のド直球ドラマ」にキュンキュンするという声がインターネット上でも賑わっています。

最終回の放送(6月2日)を前に、同ドラマの大ファンだと公言しているドラァグクイーンのエスムラルダが、いま最も注目が集まる同局のホープ・貴島彩理プロデューサーを直撃。作品誕生の経緯や製作の裏側などについて、たっぷり語っていただきました。

<インタビュー>
エスムラルダ(以下、エスム):今シーズンの恋愛ドラマにおいて「ダークホース的存在」と話題になっている『おっさんずラブ』ですが、実はアタシ、最初のうちは「男同士の恋愛を茶化すような内容だったらどうしよう」「どうか、誠実に作られたドラマでありますように」と、祈るような気持ちで観ていました……ってアタシ、一体何目線よ! ごめんなさいね(笑)。

貴島彩理プロデューサー(以下、貴島P):私も、皆さまがどういう風に受け止めてご覧になるか、もちろん不安もありました。

エスムラルダ:現在、二丁目界隈でも大人気で、アタシ自身も毎回、爆笑したりキュンキュンしたりしながら観ています(笑)。「存在が罪」とか「恋のオーダー、しちゃおうかしら」とか、キャッチーなセリフが多いので、そのうちドラァグクイーンのショーのネタにもなりそう。ちなみにこのドラマ、どんなきっかけで誕生したのですか?

貴島P:最初は2016年の年末、単発ドラマとして放送させて頂きました。若手に機会を与えるトライアルの深夜枠に、思い切って出した企画が『おっさんずラブ』でした。その頃、私はまだプロデューサーになっていなかったんですが、オリジナルドラマにチャレンジしたくて。

エスム:男性同士の恋愛を描こうと思ったのは、「ゲイが登場するドラマが増えているから」とか「ゲイの友だちがいるから」とか、何か具体的な理由やきっかけが?

貴島P:それが全くそうではなくて。私は、恥ずかしながら自分がドラマの春田のように、実家暮らしで料理も家事も出来ないダメダメアラサーでして……。“イケメンの執事”と結婚したいとマジで思ってるんですけど……(笑)でも、そんな私を支えてくれる同性の友人に恵まれていて。「本当にこの子を妻にしたら絶対に幸せになれるのに……」と思ったことがきっかけで書いた企画なんです。彼女は大学時代からの親友で、今は主婦ですが、泊まりに行くと私の世話を全部してくれて。「あれ? この子と結婚しちゃ、何でダメなんだっけ?」というところから、物語が広がっていきました。

エスム:企画を出された時、社内の反応はいかがでしたか?

貴島P:批判的なことは特にありませんでした。もちろん「誰かを傷つけるようなドラマにしてはいけない」というところは自分でも意識をしていましたし、企画書の主軸はもともと「結婚できないアラサーの男女の今を描きたい」ということ。それがめぐりめぐって今の形になっただけ。あくまで「人を好きになるってどういうこと?」という普遍的なテーマを描きたかったんです。

エスム:2016年の年末に単発・年の瀬恋愛ドラマとして『おっさんずラブ』がオンエアされた後、他局で『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系、2018年1月クール)や、『弟の夫』(NHK、2018年3月)など、ゲイの登場人物をリアルな目線で描いたドラマが放送され、話題になりました。そうした流れを経て、今回連続ドラマ化されたのは、いいタイミングだったのではないかな、と個人的には思っています。比較的真面目な作品があったからこそ、コメディ寄り、エンタメ寄りの作品が、さらに受け入れられやすくなったというか。こちらが先にオンエアされていたら、もしかしたら「現実はもっと大変なのに」「面白おかしく描くなんて」といった声があがったかもしれません(笑)。

貴島P:そうですね。仰る通り、連ドラになったのは、不思議なタイミングだったなぁ、と思います。

エスム:ただ一方で、単発ドラマ版に「1時間もの」ならではの濃さと勢いがあったので、連ドラになると聞いた時、「え? このネタで何話ももたせられるの? 大丈夫?」と心配しました。……ってアタシ、本当に何目線よ!(笑)

貴島P:単発ドラマのときは、描きたいことを全部入れ込められず、短いなぁと思っていたので、個人的には大丈夫だ! と思っていました(笑)。

エスム:結局アタシもハラハラドキドキさせられっぱなしで、今では「7話じゃ全然足りない!」と思ってます(笑)。ところで今回の連ドラ化は、単発ドラマの反響を受けての決定ですよね?

貴島P:はい、視聴者の皆様の声援が1番大きな理由だと思います。お電話やメール、ファンレターも届いていて、本当に嬉しかったです。テレビって、舞台などと違ってフェイスtoフェイスではないので生の反応が見えない職業だな、とずっと思っていましたが、今回は皆さんからの反響を直に感じて驚いています。こんなに大勢の人に、想いが届くというのは、素敵で幸せなことだな、と改めて思いました。

エスム:ご自身でもSNSはチェックされていますか?

貴島P:私はできる限り全部読むようにしています(笑)。キャストやスタッフも一緒に見ることも多い。そういうのも新しい時代の形なのかなと思いました。視聴率は視聴率で、今もとても大事な指標だと思います。でも、そうではない“新しい価値”のようなものも、今後広がっていったら面白いなと思います。

この記事のライター

エスムラルダ

1994年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年8月、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。ライター、脚本家としても活動している。

仙道敦子が、反町隆史が主演するドラマBiz『リーガル・ハート〜いのちの再建弁護士〜』(テレビ東京系、毎週月曜22:00~)の第6話(8月26日放送)と最終話(9月2日放送)に、老人介護施設「株式会社つむぎの丘」代表取締役社長・早川菜津子役でゲスト出演する。反町演じる主人公・村越誠一に弁護士人生最大の危機が訪れる。

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