大地真央、艶やかに大スター・越路吹雪を熱演「光栄であると同時に責任も…」

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大地真央さんが、1月8日(月)からスタートする昼の帯ドラマ劇場『越路吹雪物語』(テレビ朝日系、毎週月~金、12:30~※BS朝日<再放送>毎週月~金、7:40~)で、宝塚歌劇団の上級生(先輩)である越路吹雪さんの絶頂期を演じます。

この作品は、圧倒的な歌唱力と表現力で日本中を魅了した戦後の大スター・越路吹雪さんの波乱に満ちた生涯と、盟友の作詞家・岩谷時子さんとの濃密な友情を綴っていくドラマ。越路吹雪、本名・河野美保子、愛称“コーちゃん”は、子どもの頃から歌が好き。父に勧められて宝塚音楽歌劇学校を受験し、見事合格したものの、踊りもできないコーちゃんは、落第寸前の“落ちこぼれ”に……。しかし、天性の歌唱力と明るい性格で先輩スターや同期に支えられ、男役トップスターへの階段を駆け上って行く。退団後は歌手、女優として活動。日本を代表する作詞家・岩谷さんとタッグを組んで、「愛の讃歌」などシャンソンを多くカバーしたことから、“日本シャンソン界の女王”とよばれ、まさに日本の音楽シーンの歴史を変えた、稀代の歌手となった。

大地さんは、青年期の主演を務める瀧本美織さんからバトンを受け継ぎ、絶頂期の越路さんを演じます。クランクインしたばかりの大地さんにインタビュー。“共通点”が多いという越路さんを演じることについてや、本作への思いをたっぷり語っていただきました。

――『越路吹雪物語』への出演、上級生・越路さんの絶頂期を演じると決まったときの感想をお願いします。

以前、宝塚時代にTBSで放送されたスペシャルドラマ(1983年)で越路吹雪さんを演じさせていただいたことがありましたが、今回改めて偉大なる上級生の越路吹雪さん役を演じるというのは、光栄であると同時に責任も感じました。また、“現在の私が感じる越路吹雪さん”を演じることができるのをとても嬉しく思いました。

――以前演じられたときとは、スペシャルドラマでしたが、今回は帯ドラマ。越路さんの本名・河野美保子さんというプライベートな部分と、“越路吹雪”というエンターティナーな部分の対比も描かれそうですか?

そうですね。まだ全部台本ができていないのですが、ONとOFF、芸名の部分、本名の部分が自然と描かれていくと思います。

――越路さんも大地さんも、宝塚では「異端児」と呼ばれていたそうですが、お二人とも型にははまらないタイプ……秀でる方の特徴ですね。共通点が多いことについていかがですか?

優等生ではなかったという点も似ていますね(笑)。おこがましいですが、「あ、私もそれ、同じことをやったな」というエピソードは、色々うかがっています。

――そんな越路さんとお会いになったことは?

実は、直接お会いしたことは無くて……。ちょうど越路さんがロングリサイタルをされている頃、私は宝塚に在団中でしたから、東京に来る時期も限られており、タイミングが合わずお会いすることが叶わないままでした。

――大地さんにとって越路さんはどんな存在ですか?

憧れもあり、尊敬する“偉大な大上級生”です。

――今回は、越路さんの<絶頂期>を演じられるということで、それにむけてどのようなご準備をされていますか?

「愛の讃歌」を歌うというシーンを撮影しましたが、越路さんは毎回歌い方が違うんです。“シャンソンの女王”と呼ばれている越路さんのエッセンスを大事にしつつ、私が歌う「愛の讃歌」をお聴きいただけたらと思います。すべて越路さんのコピーをしなきゃ、物真似をしなきゃ……ということとは違うのかな、と思いながら挑みました。

――実在の人物を演じるというのは普通のお芝居とはアプローチも違いますか?

昔、お芝居でジェームス・ディーンなど実在の人物を演じたことはありますが、皆さんの抱いていらっしゃるイメージがそれぞれなので難しい部分はあります。越路さんは、同じ歌を歌うにしても、例えばディナーショー・舞台・テレビでも少しずつ違いますし、きっとその時の想いというのを大事にされていたんじゃないかなと思います。“演じる”というのが根底にあって、それが“歌の表現”に繋がっていらしたのではないでしょうか。そういうところを私も大事にしたいと思います。また、越路さんが『徹子の部屋』に出演された時のVTRを少し拝見させていただいたのですが、お話されている映像は見たことがなかったので大変貴重でした。

――「シャンソンにやっとトライできる年代になった」とおっしゃっていましたが、実際歌われてみていかがですか?

例えば若い頃に、「何歳になったらシャネルスーツが似合う女性に」とか、「エルメスを持ってもかっこよく見えるように」など、年齢ごとに楽しみを取っておこうという中の一つに、「シャンソンは60才過ぎてから」という思いが自分にありました。今回、偶然にもジャストタイミングでのお話だったので「来たか!」という感じですね。といっても、そのために準備をしていたかというとそうではないのですが……(笑) 歌で演じる想いというのが、シャンソンだと照れることなくやれてしまうのかな。そういうところが、私の解釈ですけれども、“その人の持ち味”というものをやっと表現できる時ではないかな、と思います。ちょっと大変だなというところもありますが、楽しみでもあります。

――日本語の歌詞でも歌われているシャンソン、どういうところを大切に?

有名なところだと「愛の讃歌」「サン・トワ・マミー」「ろくでなし」「ラストダンスは私に」とかありますが、すごくドラマティックというよりは“どういうドラマがあったのか?”っていうのを想像して、どういう人が、どういう相手にどういう想いで歌うのか……といった歌詞の中の奥にあるものを読み取ろうとする感覚ですかね。

――歌ができた背景などを知るとまた違いますか?

宝塚時代は、旅先はいつも「アメリカ!」という感じで、常にブロードウェイへ行っていたんですけど、ある年代からヨーロッパがすごく好きになり。特にパリが好きで、行く機会が増えました。パリの町を歩きながら、「石畳のこういうところであの歌が歌われたのかな?」とかイメージすることができて……。だから本当にこの役を演じるのが“今”で良かったなと思います。

――作詞家・岩谷時子さんとは、以前お会いしたことがあるそうですね。

先生は、おっとり・ゆったり、すごく優しいトーンでお話をされる方でしたが、おっしゃっていることは非常に芯があり、「あっなるほど!」ということばかりです。物腰はとても柔らかで上品で、いつも眼鏡の奥でニコッとされている感じでした。そして、お稽古場にいらっしゃると、パっと華がおありになるんです。いつもお決まりのヘアスタイルと眼鏡という“先生のスタイル”で、ご自分を持っていらっしゃる感じで、それが変わらないというのがいいですよね。

――越路さんの<宝塚時代>を演じる瀧本美織さんの姿をご覧になっていかがでしたか?

私、思わず「宝塚メイクは誰がしたの?」って言ったんですけど、すごく似合っていらして。それも、ちょっと前の年代のメイクで。なかなか女優さんで宝塚メイク、特に男役のメイクが決まる方って少ないと思うんです。宝塚出身の人からみても、この瀧本さんの姿は、違和感が全くなくて、「宝塚に入れば良かったのに!」ってこの前ご本人に言ったくらいです(笑)。すごくかっこよかったですね。

――最後に、ドラマを楽しみにしている方にメッセージを!

私自身もこれから本格的に撮影が始まりますのでとても楽しみです(笑)。みなさんも、楽しみにしておいてください! やはり、この帯ドラマ『越路吹雪物語』は、越路吹雪さん、岩谷時子さんをはじめ、登場人物が細やかに描いていかれると思いますので、そのあたりをお見逃しなく、楽しんでいただきたいですね。

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