貫地谷しほり岸谷五朗の実力派2人の初共演となるドラマスペシャル『黒薔薇 刑事課強行犯係 神木恭子』が12月16日(土)22時よりテレビ朝日系にて放送。本作は、元大阪府警暴力犯担当刑事という経歴を持つ二上剛氏による警察小説「黒薔薇 刑事課強行犯係 神木恭子」を映像化したもので、殺人事件の捜査から複雑な人間関係、そして警察の暗部をえぐり出す斬新かつ重厚なドラマとして描かれる。

主人公は、図らずも所轄署刑事課強行犯係に配属された女性刑事・神木恭子(貫地谷)。少々粗っぽいがやり手のベテラン刑事・折原圭作(岸谷)に次第に認められ、コンビを組んで殺人事件を担当。複雑な謎を解き明かすうちに、警察官だった父親の死の真相を知ることになり、やがては警察組織の闇までをも浮かび上がらせていく……。

撮影を終えた、貫地谷さんと岸谷さんの2人にインタビュー。ご自身の役どころや、作品の魅力などについて、たっぷり語っていただきました。

――まず、脚本を読んでの感想はいかがでしたか?

貫地谷:単純に“凄く面白い”と思いました。最近のドラマで、警察組織内のドロドロを描いた作品はあまり見たことがなかったのと、普通の刑事ドラマではないストーリーは初体験の面白さでした。

岸谷:僕もその通りだと思います。原作者の二上さんは元刑事で、すごく説得力がありました。想像だけで作った物語ではなく、何かが土台になっているはずなので、そこにリアリズムを感じます。驚くような展開が沢山ありますが、「こんなこと、ないだろう? ありえない」って気持にならないんです(笑)。そこがすごく魅力的な本です。

――主人公・神木恭子と、先輩刑事・折原圭作、ご自身の役について

貫地谷:お話をいただいて脚本を読んだ後、私にとってこういう役は初めてだったので、「今、この面白いと思った感覚を、私で実現できるのかな?」と思いました。

岸谷:僕が演じた折原圭作は、強行犯係の現場リーダーで、少し気性が荒い男。新人刑事の神木とのバランスだと思うのですが、署内で一番荒れている刑事というイメージが監督の中にあったと思うんです。だから、衣装もスーツではなく、革ジャンだったり、ライダースジャケットだったりするのかな?

貫地谷:そんな折原さんのことを、恭子はボソッと「ゴリラ」と言ったり……(笑)

岸谷:言ってたね(笑)。恭子は、顔は平然としているけど、心では「このゴリラ」と思っているなど、最初は“心の声”としてボソっとつぶやいていることと“行動”が一致していないところがあります。それが、後半になるにつれ段々一致していき、最後には“(言葉と行動が)ひとつ”になって終わっていく感じがして。その変化をみても、この物語は彼女の成長のドラマでもあるな、と思いました。

――恭子の変化にも注目ですね

岸谷:可愛い部分と鋭い部分が重なって見えるところが凄いです。後半になるにつれ、すごく引き締まった顔になっていき「この女、怖いぞ……」って思わせられます(笑)。最後に恭子が言う決めゼリフもいいですよね。

――恭子の細やかな変化を演じるのは大変だったのでは?

貫地谷:ストーリーに沿って順番に撮影が行われるわけではないので、本当に大変でした。台本上でも恭子の変化は少しずつなので、加減しながら演じるのですが、何かが引き金となってパーンとかわるという成長ではなく、何かを知ったり経験したりする度に少しずつ成長する彼女の“変化”を追うのは難しかったです。そして、ワンカットで撮影するシーンが多かったのですが、岸谷さんがお芝居を引っ張って下さって、とても助けられました。私たち、いいコンビになれましたか?

岸谷:“バランスが悪いところがいいコンビ”みたいな感じだよね。はじめから丁丁発止ができるコンビではないところがいい。そして最後のシーンで、折原が恭子の後ろ姿に向けていうセリフも、2人の関係の成長物語もそこにはあるな、と思いました。

――今回初共演とのことですが、お芝居をしていて何か発見はありましたか?

貫地谷:発見だらけでした。芝居の面で、感情が高ぶった時にすごく大きく動く、という演出法はあると思うんですが、今回、あるシーンで重大な秘密を話す場面があり。そこは、ほぼシルエットでワンカットの撮影だったのですが、岸谷さんが動いてお芝居をしているのを見た時に「なるほど、流石だな」と思いました。

岸谷:あのシーンは面白かった。照明も凄く凝っていて影の感じとか良い雰囲気で、話している内容にもあっていたね。

――和泉監督の代表作品といえば『相棒』シリーズですが、監督の印象は?

貫地谷:私は、『おみやさん』でご一緒させていただいたことがあって、見た目は強面で、撮りたい画というのは強くもっていらっしゃるのですが、役者の思いも組んでくださる方という印象です。芝居で悩んでいると、「じゃあ一度やってみよう」とおっしゃってくださり、トライしやすい現場をつくってくれる方です。あと、和泉監督はテストをあまりやらない方で(笑)。でも、監督の頭のなかでは「ここはこうで、こうなんだ」と、しっかり画ができているので、結構びっくりすることが多いです。

岸谷:和泉監督とは、『相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』(2008年5月公開)に出演した時、マラソンの1シーンのみだったので、本格的にご一緒するのは今回が初めてでした。撮影のプロセスで、監督は何を狙ってどう出てくるんだろう、と考えた時に“人間を撮りたいのだろう”という思いを一番感じました。実は、貫地谷さんのシーンを撮影しているときに、和泉監督がモニターを見ながら「こんな表情見たことない……!」ってつぶやいたんです。神木恭子役を演じている貫地谷さんの芝居をみてすごく興奮していて、“俳優としての幅の広さ”を喜んでいたのが印象的でした。僕は、そういう姿を見て、かわいい監督だなって思いました。俳優がこれまでに見たことのない新たな表情を見せてくれた時、演出家や監督は嬉しいものだよね。

――物語のキーマンのひとり、野際陽子さんと共演されていかがでしたか?

貫地谷:本当に凄い迫力でした。なんですかねぇ、あの色気は……。今回、野際さんは謎の女性・乾茂美という役を演じられていますが、野際さんが出てくると、グワっと画面に力が加わるんです。恭子の成長物語として、茂美と関わったことが良かったのか悪かったのか、そういうところも物語として楽しんでいただけるのではないでしょうか。

――では、最後にドラマの見どころを!

貫地谷:ストーリーもとても面白いですし、照明部さんが面白い明かりを色々作って下さっているので、そういう面でも見ごたえがあります。楽しんでいただけたらと思います。私自身の事で言いますと、初めて“パンツスーツ”を着ました。役柄も初めてのタイプだったので、新しい挑戦をさせていただいた作品です。「これでいいのかな?」と毎日不安でしたが、完成した作品を観ましたら“新たな自分”が見えた気がするので、是非皆様にも観ていただけたら嬉しいです。

岸谷:2時間モノの刑事ドラマは色々あり、ファンもたくさんいらっしゃいますが、いわゆる普通の刑事ドラマが好きな方のニーズにこたえるような作品ではないと思うんです。事件を通して成長する主人公・神木恭子や、彼女の父親の過去にまつわる真実、それに絡む人間模様など、本当、複雑怪奇で単純には見られない作品です。この複雑なストーリーを見事に紡いで下さっている監督や編集さんはとても大変だったと思います。緊張感のある物語だから、おせんべいとお茶を前に、のんびり見られるドラマじゃないなぁ(笑)。これはもう、“2時間ドラマ”のジャンルに属さない作品ですね。

貫地谷:本当、一瞬たりとも目を離さずにご覧いただきたいです(笑)。

(※本取材時は2017年3月)

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