間宮祥太朗、元阪神・横田慎太郎の実話ドラマに「他の作品とは違うプレッシャー」

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間宮祥太朗が主演を務める『奇跡のバックホーム』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が、3月13日(日)13時55分から放送される。このほど、間宮より放送直前インタビューが到着した。

本作は、プロ野球選手の半生を演じる実話をもとにしたドキュメンタリードラマ。原作は、元阪神タイガース選手の横田慎太郎さんが著した自伝的エッセイだ。ドラフト2位で阪神タイガースに入団、しかし突然の病魔におかされ24歳という若さで引退。その引退試合で見せたラストプレーは、プロ野球界で“奇跡のバックホーム”として語り継がれ、ファンのみならず多くの人々に勇気と感動を今もなお与え続けている。

ドラマでは、この奇跡のバックホームに至る横田さんの野球人生を描いていく。さらに、阪神タイガースで横田さんを知る金本知憲さん、鳥谷敬さん、そして阪神タイガース監督・矢野燿大さんのコメンタリーと、現在の横田さんの様子を映したインタビュー映像とともに放送される。

横田さんを演じる間宮は、阪神タイガースファンを公言。中学校3年生まで野球に打ち込んだ経験をもつ間宮に、野球のこと、ドラマについて、そして本作をきっかけに交流した横田さんについての話を伺った。

<間宮祥太朗 コメント>

――間宮さんと野球の出会いはいつだったのでしょう?

最初はソフトボールだったんです。小学1年生のときに友達から誘われて始めたんですが、キャッチボールをしたら楽しくて。サードを守ったりしていました。小学3年で転校すると、野球をしたくなって、地域の野球チームに所属しました。僕の同学年には野球をやっている人が少なくて、サッカーやバスケットボールをやっている友達のほうが多かったんですよ。野球人口が少ないんだなって思ったりして悲しかったですね。

――間宮さんにとって野球の魅力はどこに?

緊張感……じゃないでしょうか。もちろんほかのスポーツもそうですが、1球ごとにプレーが止まって、1球ごとに緊張感が走る、そんな野球独特のその瞬間に“時間が止まる”ような緊張感があるんです。……すべての1球に思いが込められていると思います。プレーヤーとしては“ここで打たなきゃ!”というシーンでアドレナリンが出る感じが好きですね。

――では、今作のオファーを受けたときの印象は?

一度はお断りしよう……と考えるほど、他の作品とは違うプレッシャーがありました。横田さんの歩んできた半生しっかりと演じなきゃいけないという使命感が強かったですね。

――番組では間宮さんと横田さんが話をされている様子も放送されます。横田さんの印象は?

撮影前にお会いしたのですが、対面してみて横田さんの真っ直ぐさが伝わってきました。最初はお互い恐縮していたんですが(笑)、カメラが止まっているときにも色々なお話をさせていただきました。引退試合でのバックホームについて、どんなお気持ちだったのかを伺ったのですが、あのとき、グラウンドが今まで全く違うように……すごく鮮やかに見えたとおっしゃっていたのが印象的で。

ボールが飛んできた時に、何かに背中を押されたような感覚があって、これまではボールが見えないために怖くて後ろに下がっていた足が前に出て……でも投げたときのことは覚えていないそうなんです。気づいたらキャッチャーミットにボールが届いていて、歓声が聞こえて我に返ったと話されていて。それこそ時間が止まるような感覚だったと思うんです。

そんな奇跡のような瞬間は、横田さんが本当に野球だけに向き合い、野球に懸け続けたからこそ起きたことだと思いました。横田さんの歩んできた積み重ね、色々な思いがあのバックホームを生んだし、今の横田さんへとつながっているんだなと感じました。

横田さんに今の目標も伺ったんです。そうしたら、“同じ病魔と闘っている方や、闘病しているお子さんをお持ちの親御さんたちへ、自分がかけられる精一杯の言葉で、少しでも勇気づけられれば”とおっしゃっていて。もうすでに実行されていることを目標にされているのがとても印象的でした。遠くにある何かを目標にするのではなく、奇跡のバックホームの時に前に前に踏み出したあの“一歩”を、今も着実に踏み続けている……進み続ける人だというのを、演じさせていただく中でさらに強く感じました。

――役を演じていて、印象に残っているシーンについてもお聞かせください。

横田さんが引退を決意されたシーンで、「野球をやめます」という台詞です。プロを終えるのではなく、“野球をやめる”……。幼少期から楽しんで、懸けてきた野球で、プロに入れたことがまず凄まじいことで、でも念願のプロになって数年後にはこの言葉を口にしなきゃいけなかったって考えると、個人的にこみあげるものがすごくありました。

そのシーンを演じたときは、待ち時間の間、ずっと横田さんのことを考えていたんです。どんな芝居をしよう、台詞の言い方……そんなことよりも、横田さんと喋ったときのことを感じていました。そうしたら自然と感情が乗りました。僕にとっても不思議な感覚で、あのシーンを撮った時の感覚は今も残り続けているんです。

――不思議な感覚?

ええ。横田さんのことはもちろんですが、横田さんにとっての野球と同じように、これまで懸け続けてきたことを、やめるという選択をせざるを得なかった人たちのことを考えていたのかもしれないんです。僕自身、横田さんほどの状況には置かれていないですが、自分の過ごす人生の時間の中に、当たり前に懸けてきたものを喪失する、そんなことも呼び起こされていたんだと感じました。

これまでの人生で断念せざるを得なかった経験を通して、今も前に進んでいる横田さんのメッセージが、僕を通して伝わってもらえたらと思います。

――そんな横田さんから、こんどは間宮さんに“夢はなんですか?”と聞かれたら。

そうですね……。中学生のときのことなんですが、映画を観て映画館を出た時に、映画館に入る前と違う世界に見えた、という体験をしたんです。映画やドラマって出会えたことで人生を変える力があると考えているんです。自分が出演した作品で、そんな体験をしてもらえる人がいたら、嬉しいですね。

――この『奇跡のバックホーム』もそんな作品に……。

野球ファンの方はもちろんですが、これまでの人生で懸けた事がある人、それだけ懸けたものを失った事がある人、そして失った後に前に進もうとしている人……。そうしたことを体験してきた方々にも伝わるものがある作品です。実話だからこそ、横田さんが伝えようとしているメッセージに圧倒的なリアリティが帯びている。そのメッセージが、見てくださった方に伝わったときに、僕が携わったことにも意味を感じることができると思っています。

<横田慎太郎 コメント>

ドラマ化のお話をいただいた時は「まさか」と信じられなかったのですが、すぐに大変嬉しい、ありがたいという気持ちに変わりました。これまで何度も何度も苦しい事、辛い事がありました。これからを考えると、不安と恐怖で眠れない夜が何日もありました。それでも自分に大丈夫、大丈夫と言い聞かせて、自分を信じて目標を持ってやって来て、本当に野球人生の最後の最後に想像もしていない事が起こりました。一人でも多くの方に見ていただき、勇気と希望を持ってもらえたらと思っています。

<あらすじ>
2014年の阪神タイガース入団会見。その壇上にドラフト2位指名を受けた横田慎太郎(間宮)がいた。背番号はタイガースを代表する打者・桧山進次郎がつけていた背番号24。将来を嘱望されたルーキーとして晴れ晴れしいスタートをきる。

高校野球の名門高・鹿児島実業出身、甲子園出場の夢は叶わなかったが、慎太郎の野球センスとスケールの大きいスイングに注目をしていたのが阪神タイガースのスカウト・田中秀太(丸山智己)。その期待に応えるように、慎太郎はプロ3年目で開幕スタメンを勝ち取る。

しかし翌年、原因不明の頭痛とボールがぼやけて見えるという症状が慎太郎を襲う。精密検査の結果は脳腫瘍。あまりに予想外の診断結果と、医師からの「野球のことは、いったん忘れてください」という言葉に、目の前が真っ白になる慎太郎。活躍が期待されたプロ野球シーズン直前のことだった。

18時間に及ぶ大手術を終えた慎太郎を待っていたのは、目が見えない状態からの過酷な闘病生活。辛い治療に耐える慎太郎を、母・まなみ(石田ひかり)は病室に寝泊まりしながら看病し、励まし続ける。何度も絶望しそうになる慎太郎を支え続けたのは家族の存在、そして慎太郎の元に届く数多くのファンレターであった。

退院後、育成選手契約となった慎太郎は一軍復帰を目指す。しかし、体力は回復するものの、視力だけは戻らない。

「野球、やめることにしました」

突然襲われた病魔と闘い、不屈の精神で一軍復帰を目指し続けた慎太郎。彼の野球人生最後の試合は、1096日ぶりの公式戦、その8回二死二塁の場面、万感の思いを胸に全速力でセンターの守備位置へとつく慎太郎。その直後、慎太郎本人でさえ予想することのできなかった“奇跡”が起きる。

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