波瑠、10代から共演の林遣都との再会は“不思議な感覚”「頼もしい役者さん」【連載PERSON vol.38】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.38は、金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15〜※一部地域を除く)で主演を務めている波瑠さんが登場します。

『連続テレビ小説 あさが来た』『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』『ナイト・ドクター』など、数多くの作品で視聴者を魅了してきた彼女が本作で挑むのは、同級生連続不審死事件に巻き込まれる漫画家アシスタント・今井望緒(みお)です。

泣かず飛ばずで夢を諦めかけたころ、中学の同窓会の知らせが届く。会場には、初恋の相手・雨宮秀一(林遣都)をはじめ、仲良しメンバーの姿も。みんなと再び連絡をとり始めた矢先、次々と同級生が亡くなってしまい……。表ではキラキラしていても、裏では密かに抱える闇を隠すのに必死の6人の同窓生。登場人物全員嘘つき、二転三転する展開に目が離せません!

とにかく謎だらけ、1話たりとも見逃せないこのラブ・サスペンスに、波瑠さんはどんな気持ちで挑んでいるのでしょうか。ドラマのことはもちろん、テレビとの関わりや尊敬する先輩俳優まで、幅広く語っていただきました。

――ご自身が演じる望緒について、どんな印象を持っていますか?

ハッキリと物事を伝えるのが得意ではなく、あいまいな部分がいろいろあって、シロクロ判断しきれないところもあるんですけど、芯の強さはあって……。そんな自分に疑問を持ちながらも、人と衝突するのは苦手。“これでいいのかな”と思いながら20代後半になってしまったので、自分自身のことでとても悩んでいると思います。

――彼女に共感できる部分はありますか?

うまくいってないけど、夢を追いかけた自分を裏切れないから、なかなか地元に帰る踏ん切りがつけられないところや、自分が決めたことを“ウソにしたくない気持ち”は分かりますね。

――再会する仲良し6人組の同級生役として、林さん、溝端淳平さん、本仮屋ユイカさん、新川優愛さん、黒川智花さんがご出演されます。

みなさん面識がある中で、本仮屋さんとは初めましてだったんですけど、自分が子供のころから『3年B組金八先生』シリーズなどで見ていたので、ずっと記憶に残っている先輩女優さんというイメージ。ご一緒するのがすごく楽しみでした。

林さんとはちょこちょこ共演しているんですけど、初めての出会いは、お互い15、16歳くらいのときで、(同じ学校で過ごした)望緒と秀一のような時期を知っているんですよ。何年かに一度顔を合わせる機会はあれど、離れていた時期があって今回再会したので、状況として(物語と)似ているなと思います。

林さんとの共演は、とにかく不思議な感じで……。“こんなに時が経っていたなんて”と思うんです(笑)。大人になった私たちは、お芝居を通してどういう形でコミュニケーションができるのかなと楽しみな部分はありました。

――初共演のときから印象は変わらないですか?

林さんはいい意味で変わらずでした。素敵だったところが悪くならず、そのまま純粋に年を重ねられていて、頼もしい同世代の役者さんです。

――今回のラブ・サスペンスに対し、視聴者の方に期待感をもたせるメンバーが揃っている印象です。波瑠さん自身、撮影を通じて楽しみにしていることは?

みなさんお若いながらもベテランの役者さんという印象があって、子供の頃から見ていた方々とご一緒できるのがすごく嬉しいですね。本仮屋さん演じる弁護士の玲子や秀一もそうですし、素朴な感じでワイナリーを継いだ稜(溝端)、OLの奈々江(新川)、専業主婦の優美(黒川)、それぞれの表現を浴びている最中ですね。

――メンバーの中でも気になるキャラクターは?

玲子というキャラがとても興味深いです。回想で中学時代の映像や写真がたくさん出てくるんですけど、絶対に“メガネザル”ってあだ名がついただろうなというくらいの眼鏡とギチギチっとした三つ編みだった子が、あんなに綺麗な女性弁護士になっていて……。

だけど、“玲子ってこういうところあるよね~”と思えるような、ハキハキと真面目で、一本筋なところは変わっていなくて、私自身カワイイなって思えたんです。きっと望緒も同じことを思うだろうし、そういうところに親近感や安心感を覚えながら撮影をしています。

――本ドラマは“嘘”や“秘密”がテーマです。一見、ネガティブなイメージがありますが、どんな印象を持っていますか?

言ってしまえば、ドラマというのは嘘。(撮影は)たくさんの人の力を借りて、ひとつの嘘を練り上げて本物に匹敵するクオリティに持っていく作業をしていると思うんです。

(ドラマの中では)嘘が本物を凌駕すればいいと思っていますし、人の心に響けばそれが正解なので、“本当か嘘か”は、どちらでもいいのではないかなと思う部分はあります。

――主演作が多い波瑠さん。近年はキリっとした女性の役が多かったですが、今回は、自分のことは後回しの望緒を演じます。演じていてどんなところに楽しさを見出していますか?

ハキハキと物事を言う時は自分が主導ですが、望緒のような役は、どんなふうに聞くかによってシーンの見え方が変わる。お話される役者さんも受ける側によって(演技や所作など)変わってくると思うので、“鏡になれる”という意味ではすごく面白いです。相手の方が演じやすいように、輝くように、受けられたらいいなと思っています。

――続いて、波瑠さんとテレビとの関りについてお聞きしたいです。影響を受けたテレビ番組を教えてください。

『どうぶつ奇想天外!』などの動物系の番組をよく見ていましたね。自分が子供の頃から見ていた番組ってなくなっていくことも多いじゃないですか。だから大人になって『ミュージックステーション』は本当にすごいなと思うんです。ブランド力もなくならないですし、みんなに愛され続けるのは本当にすごいなって。

――よく見ているテレビ番組はありますか?

見たい番組が放送されている時間に帰ってこられないことも多いので、その瞬間にパッと目を引くものを見ることが多いです。

――配信系の作品はご覧になりますか?

見逃したドラマなどを見ることが多いですかね。いまは本当にいいですよね。なんでも好きなときに見られて楽しい時代になったなと思います。

それと『愛しい嘘』の撮影に入ったとき、“サスペンスものは難しいな”と思っていたんですけど、そういえば、何年か前にやっていた(小説家)湊かなえさん原作のドラマを録画してよく見ていたなと思い出して。“私、サスペンスとかミステリー大好きじゃないか!”って気づきました(笑)。

――影響を受けたエンターテインメント界の人を教えてください。

素敵な先輩がたくさんいますが、仕事が軌道に乗る前は、満島ひかりさんの野生的な存在感、無垢なまま生きている輝きにすごく胸を打たれていました。

『未解決の女 警視庁文書捜査官』で鈴木京香さんとご一緒したときは、“こんなに綺麗な女優さん初めて見た!”と本当に感動して……。私は鈴木さんのようにはなれないですけど、魅了されてしまう先輩像としてはトップの存在です。

――『未解決の女』ではガッツリ絡むシーンも多かったですもんね。

いつも心を清められるような気持ちでご一緒していました!

――役者をするにあたって大切にしている先輩の言葉はありますか?

細かくいえばいろいろありますけど、お芝居のことを教えていただいたのは中井貴一さんです。部分的に「こうやるんだよ」と言われたわけではないですけど、役者像を示してくださいました。

――背中で見せてくださったんですね。

そこがカッコいいんです。台本に書かれていることをやるために私たちはいるんですが、それだけではなく、その場に立ったときに感じる空気や呼吸……いろいろなものを感じながらお芝居することや、大事にしなければいけないことをたくさん教えていただきました。本当に感謝しています。

(取材・文・写真:浜瀬将樹)

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