ニューヨーク「ダサいことはしたくない」『M-1』で感じた芸人のかっこよさ【連載PERSON vol.33】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol. 33は、現在テレビ朝日系で放送されているバラエティ番組『NEWニューヨーク』(毎週木曜24:56~)に出演するニューヨーク嶋佐和也屋敷裕政)が登場します。

ニューヨークは2010年に結成され、『M-1グランプリ2019』『M-1グランプリ2020』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に出演し、『キングオブコント2020』(TBS系)でファイナリストに輝くなど、近年、お笑い界のニューカマーとして注目を集める存在です。ここ数年は前述の『M-1』などでの知名度向上から、レギュラー番組が一気に増加、公式YouTubeチャンネルの登録者数が24万人(取材時)を超えるなど、ブレイク芸人の筆頭にも名が挙がるほど。

『NEWニューヨーク』はそんなニューヨーク初の地上波での冠番組で、ニューヨークが王道企画の魅せ方を新たに考案し、“NEW”な笑いを生み出すべくチャレンジするという内容。8月12日、19日の2回に渡り、「スキャンダル記者会見」が放送。同回ではニューヨークに記者会見ドッキリを仕掛けて、2人の過去のスキャンダルやプライベートでのちょっと危ない素顔を、記者として参加する鬼越トマホーク坂井良多金ちゃん)、レインボージャンボたかお池田直人)、横澤夏子しゅんポールマン)といった芸人仲間が大暴露し、事の真相に迫るという内容です。12日は嶋佐のスキャンダルが、後編となる19日は屋敷のスキャンダルが暴かれます。次から次へ飛び出す暴露話に戦々恐々とする2人の表情やリアクションが見どころとなります。

前編は「1人漫才でチョメ未遂事件」「嶋佐薬物乱用疑惑」「嶋佐タバコ横領事件」「嶋佐キス魔疑惑」「屋敷の天狗疑惑」などが暴露された
前編は「1人漫才でチョメ未遂事件」「嶋佐薬物乱用疑惑」「嶋佐タバコ横領事件」「嶋佐キス魔疑惑」「屋敷の天狗疑惑」などが暴露された

そんなノリに乗っているニューヨークの2人を今回直撃。2人が尊敬する芸人や過去に影響を受けたテレビ番組などについて話を聞いて来ました。

――最近、大活躍ですが、この仕事をするにあたって、エンタメ界で強く影響を受けた人はいますか。

嶋佐:僕はやっぱりダウンタウンの松本(人志)さんです。『ダウンタウンのごっつええ感じ』を子供の頃に初めて見て、ハマって、そこからダウンタウンが出るいろいろな番組をチェックするようになって芸人になったんです。1人挙げろといえばやっぱり松本さんです。僕以外にもそういう人は多いと思いますよ。影響を受けたテレビ番組を挙げろと言われてもやっぱり『ごっつええ感じ』でしょうね。

――嶋佐さんは1986年生まれ。『ごっつええ感じ』(1991年〜1997年放送)のドンピシャな世代というわけでもないですよね。

嶋佐:世代的にはギリギリだったんですよね。小学校の時に放送も終わって。でもリアルタイムでもちろん毎週のように見て、クラスメイトとその話で盛り上がったりしていました。キャシィ塚本(松本扮する料理講師のキャラクター)のコントとかすごく好きでした。

――髪の色を金髪にしたのも、松本さんの影響なんでしょうか。

屋敷:金髪にしたのはエミネムみたいにしたかったからみたいですよ(笑)。

嶋佐:エミネムみたいにしてくださいって言って色を変えたら、松本さんと同じじゃんってことになってしまって……(笑)。

――ニューヨークが2019年の『M-1グランプリ』に出た時、審査員の松本さんとの絡みが話題になりました。

嶋佐:あの時はテレビで松本さんとご一緒するのが初めて。生でネタを見てもらえて嬉しかったですよ。でも、点数が低くてそこはちょっとショックでしたけどね(笑)。

――屋敷さんはエンタメ界で影響を受けた人はいますか?

屋敷:俺は誰っていう感じじゃないんですよ。『M-1グランプリ』が2001年に始まった時に芸人さんがすごくかっこよく見えて。面白い、かっこいい感じになるんだっていうのが、芸人に憧れるようになったきっかけです。人というより『M-1グランプリ』じゃないですか。

――『M-1グランプリ』は屋敷さんにとってすごく大きな存在の番組だったという事ですね。

屋敷:それまではダウンタウンさんとか、ウッチャンナンチャンさんがテレビで楽しくやっていても、自分が芸人になりたいとは思わなかったんです。かっこいいといえば俺の中ではミュージシャンとか。それが『M-1グランプリ』を見て、芸人もミュージシャンくらいかっこいいんだって気付かされたんです。真剣に漫才を見ることもなかったのに、その後、見るようになって、芸人になろうと思うきっかけは間違いなく『M-1グランプリ』でした。自分がやりたいと思うモチベーションの種、基準が当時は「かっこいい」だったんだと思います。

――屋敷さんが見た中で印象に残っている『M-1グランプリ』の出演者はいますか?

屋敷:最初(2001年)の麒麟さんじゃないですかね。ネタはもちろん、麒麟さんのこともそれまで知らなかったんです。全く知らない人のシンデレラストーリーを見ている感じで、松本さんが「俺は一番(麒麟)がよかった」って言っていたのも印象的でした。

ニューヨークが思う“芸人のかっこよさ”とは?
ニューヨークが思う“芸人のかっこよさ”とは?

――最近、お二人がよく見る番組はどんな番組ですか?

屋敷:芸人さんが喋る番組をよく見ています。『やすとものいたって真剣です』とか、『ロンドンハーツ』も企画によっては見ています。ネタ番組はあまり見なくなったかな。芸人になる前はよく見ていましたけど、ネタ番組って集中して見ないといけなくなってしまうので。疲れるんです(笑)。

嶋佐:僕は、最近見てる番組と言われても、あんまり(特定の番組は)思いつかないです。NetflixやYouTubeが出てきたんで、単純にテレビを見る割合も減りました。いろいろなものをつまみ見るようになってきていると思います。

――今、実際に芸人としてプロの世界で活躍されるようになって、「芸人はかっこいい」という価値は変わらず持ち続けているのですか。

屋敷:自分たちに関しては、自分のことを「かっこいい」と思う余裕はまだないかもしれないです。かつて憧れていた冠番組も今、こうして持てるような立場になりましたけど、スタジオでピンマイクをつけて仕事をしていても、「俺、芸能人やっている」というような感じはあまりないんです。

嶋佐:僕は実際に芸人になってからの方が芸人のかっこよさを感じますね。それこそ学生時代に僕が人気芸人さんを見に行って、気づかなかったかっこよさとかを感じるようになったんです。(仕事で、間近で芸人を見て)芸人さんって面白いな。すごい方だなって思わされることも多いです。その中でも売れている人はほんの一握り。こんなにテレビで自分をさらけ出す職業はないし、そういうことを考えても芸人をかっこよく感じます。

――仕事をする上で2人が大切にしている言葉や軸、信念などのようなものはありますか。

嶋佐:“ダサいことはしたくない”ですかね。それは違うんじゃないのって自分たちが思うことはやらないっていうのはあります。

屋敷:何がダサいとかは言葉にしにくいんですけど、もう1人自分がいて、その自分にこれやったらかっこ悪いみたいに、思われないようにする感じです。これをしてはいけないルールとかを決めているわけではないですが、かっこいい先輩はこれやらんやろうなって、そういうことを考えたり、大切にしたりしています。

――ニューヨークは、8月25日から3日間ルミネtheよしもとで、関西では9月17日になんばグランド花月で、単独ライブ「Natural」を開催します。どんなライブになるのでしょうか。

屋敷:今ちょこちょこテレビに出させてもらえるようになりましたけど、あまりネタを披露することはできていないんです。今回の単独ライブでは純度100%の僕らのネタがたくさん見れます。そこが見どころです。

嶋佐:去年開催する予定ができなくて、流れてしまって……。だから単独ライブをやるのは久しぶりという感じ。前回からいろいろなことがあったというのもあるので、どんなネタをするのか楽しみにしていてほしいです。

(取材・文・撮影:名鹿祥史)

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