ゼスプリの「キウイブラザーズ」のCMがコロナ禍で視聴者の心を癒やしたワケ 気になるCM掘り下げ隊

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ゼスプリの「キウイブラザーズ」のCMがコロナ禍で視聴者の心を癒やしたワケ 気になるCM掘り下げ隊

ゼスプリ キウイ TVCM 2020「好きなことを楽しみながら」篇 60秒

今年を代表するテレビCMと言えば、その1本はキウイブラザーズが登場するキウイのCMではないだろうか。

CM好感度調査で1位になるなど、以前から人気の高いシリーズCMだったが、今年5月から放送された『好きなことを楽しみながら』篇は、コロナ禍の自粛期間中だったこともあり、「癒された」「思わず涙が出た」など、これまで以上に多くの視聴者に深く刺さる1本となった。

では、なぜこのようなCMをつくるに至ったのか、ゼスプリ・インターナショナル・ジャパン マーケティング部の水谷さんにお話を伺った。

--もう何年も人気の高いCMですね。

「ありがとうございます。お客様相談室やSNSを通じて、多くの方からお声を頂戴しています。とくに『好きなことを楽しみながら』篇は、これまでと比較しても件数が多く、反響の大きさを実感しています」

--キウイブラザーズの初登場は2016年です。それまでのCMにはタレントの方を起用されてましたが、どういう経緯での変更だったのですか。

「まずCMをつくる際に考えたのが、キウイが抱えている課題をどうするかという点でした。CMの中で自ら『ジャガイモみたい』とイジったこともあるのですが、見た目が小ぶりで、茶色く、他のフルーツに比べると華やかさに欠けるんですね。そんな中でタレントの方を起用したCMでコミュニケーションを図っていきたいと考えていたのですが、消費者の方に『ゼスプリと言えば?』と質問すると、CMに出演しているタレントの方の名前が挙がることが多くて、『キウイやゼスプリという会社の印象があまり残っていないな』と。そこでキウイを主役にしたコミニケーションに変えたほうが良いのではと、キャラクター作りに着手しました」

--勝手に海外生まれのキャラクターかと思っていたのですが、日本生まれなんですよね。どんなところに留意して、生み出されたキャラクターですか。

「外側だけですと茶色で地味なので、まずは果実のおいしい部分がしっかりと見えるキャラクターにしようと。またキャラクターは、一般的にお子さんウケはすると思うのですが、実際に買っていただくのはお母さんだったり、大人の方なので、大人にも子どもにも愛されるキャラクター作りを意識して、性格やストーリーなどを練っていきました」

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--個人的には、普通の「かわいい」というより、どこか「おじさんっぽい」印象を受けたのですが。何となく口の中の種の部分がヒゲに見えるんです。

「そうなんですね。そういうお声は初めてかもしれないです(笑)。キャラクターとしてはフレッシュな若者をイメージしてますので。ただ、日本のフルーツ業界からするとキウイは新参者と言いますか、まだまだこれから人気者になりたい存在で、そういったところを応援したくなる存在になればと思ってますので、もしかしたらそのあたりがおじさんっぽい哀愁と感じられたのかもしれないです」

--当初のCMは「ビタミンだけじゃない」「酸っぱくない」など、キウイの味や栄養価などをアピールする内容でしたが、最新の『好きなことを楽しみながら』篇からメッセージ色が強くなったように思います。

「おっしゃる通りです」

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--それはどんな理由からですか。

「今年は“ブランドの思想”をお伝えすることが、テーマのひとつにありました。キウイがおいしくて、栄養価が高いことはもちろんなのですが、そのキウイを通じて『健康は楽しい』というメッセージと、それにお役に立てる企業であることをお伝えしていきたいと。そこには『長くブランドを愛していただきたい』という思いもあります。やはり、機能面だけをご説明していてもなかなかブランドに対する愛着を持っていただきづらいと思いますので。考え方に共感していただくことで、ブランドに愛着を持っていただければと思います」

--『好きなことを楽しみながら』篇は、コロナ禍の自粛生活とリンクしましたが、これは偶然だったのですか。

「そうですね。このCMの企画がスタートしたのは昨年の10月頃ですから、その時点で、そのような状況はまったく想定できませんでした。ただ、CMが完成したのが4月頃で、放送開始が5月でしたから、企画を練り上げていく中で、状況が少しずつ深刻になっていくということはありました。ですから、当初はもっと全体的に元気なトーンだったのですが、ご覧になる方の気持ちに寄り添えるように、歌詞や曲調は調整しました」

--それが視聴者の心にしっかり響いた形ですね。日本で生まれたキウイブラザーズが、今では韓国やオランダ、ドイツのCMにも登場しているそうですが、海外での反響はいかがですか。

「文化の違いもあるため最初はどんな反応があるのか気になっていましたが、とても反響が良く、日本チームとしては本当にうれしいです。ここまで育ててきた我が子みたいなものですから、これからもどんどん活躍の場を広げて、世界に飛び出していってほしいです」

取材・文:井出 尚志

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