アフリカと東北の子どもたちの希望を描いた心揺さぶる感動作 映画『シンプル・ギフト』

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エイズで親を亡くしたウガンダの子どもたちと、津波に親を奪われた東北の子どもたちが運命の出会いを果たし、ニューヨーク・ブロードウェイの舞台に立つまでの姿を追ったドキュメンタリー映画『シンプル・ギフト ~はじまりの歌声~』が、11月3日(土)より、有楽町スバル座にて公開される。

あしなが育英会創始者・玉井義臣が、半世紀に渡り取り組んできた遺児教育支援の集大成として設立した私設学校「レインボーハウス」をご存知だろうか? アフリカの最貧国の一つで、エイズが深刻な社会問題となっているウガンダにも設立され、エイズによって親を喪った多くの遺児たちが、ここで日々勉強している。玉井には、「ここで教育を受けたアフリカの若者たちが、先進国の大学で学び、いつの日か母国に戻って国造りに参加すれば、必ずや貧困の撲滅になる」という強い思いがあった。

作品では、「ウガンダレインボーハウス」に通う子どもたちが教育によって希望を見つけ出し、夢を獲得していく姿が紡がれていく。普段、学校では明るく振る舞うが、エイズによる親との死別という辛い境遇だけでなく、社会的な不安定さも足かせになり難しい状況に立たされる子どもたち。「ダンスが一番楽しい」と口を揃えるが、逆に言えば“それしか楽しみがない”ようにも見える。中には、あまりにも辛い出来事に心の整理がつかず、自身の思いを口にすることが出来ない少女の姿も……。玉井は、この活動を世界に伝えるため、そこに通う少年・少女たちがニューヨークのブロードウェイの舞台に立ち、歌い踊るという奇想天外なプロジェクトを立ち上げた。

舞台を手掛けることになったのは、ミュージカル「レ・ミゼラブル」などで演劇界最高峰のトニー賞を2度に渡り受賞している舞台演出家のジョン・ケアード。そこに米ヴァッサー大学で音楽理論や合唱を教えるクリスティーン・ハウエル准教授、同大学コーラス部のマリンダ・リースとサマンサ・スミスが助手として加わり、ブロードウェイを目指し練習を開始。子どもたちだけでなく、ジョンやクリスティらもはじめは戸惑いを見せながら、徐々にお互いが心を通わせていく。

さらに、このプロジェクトに日米の若者たちも参加。東日本大震災の津波で家族を失った遺児たちは、あの時の思いを和太鼓で発露し、アメリカの若者たちも、自身の恵まれた境遇に改めて向き合うことに……。そして訪れる最終目的地のブロードウェイ。クライマックスで彼らが繰り広げる迫真のパフォーマンスは、必ずや観る者の心を揺さぶるだろう。

この作品は、TBSで報道番組やドキュメンタリー番組のディレクターやプロデューサーを務め、現在は独立し、舞台演出や映像制作を行っている篠田伸二が監督・プロデュースする初の長編映画作品。篠田監督は、映像が簡単に量産され消費されていく時代に、あえてドキュメンタリーという形にしたことについて「映像の持つ力を信じている」と語る。また、テレビやインターネット、ソーシャルメディアなどあらゆる映像メディアを通じて世界中の1人でも多くの人にこの活動を届け、「アフリカの未来を作ろうとする若者たちに関心を持つきっかけになれば、そしてその先に支援の気持ちが芽生えてくれたら」と作品に込めた思いを語っている。

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