ニューロティカのあっちゃん、地位と名誉がほしい発言!?映画『あっちゃん』完成

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4月18日(土)より渋谷HUMAXシネマ、シネマート心斎橋ほかにて公開する、映画『あっちゃん』。同作品は、パンクバンド、ニューロティカの結成30周年と、そのフロントマンでボーカルを務める“あっちゃん”ことイノウエアツシの生誕50歳を記念して制作されたドキュメンタリーだ。

2014年に結成30周年を迎えたニューロティカは、バンドブーム全盛の‘84年に結成、‘90年にメジャーデビュー。THE BLUE HEARTS、JUN SKY WALKERと並び“80年代ロック御三家”と称されており、氣志團、175Rなどに影響を与え続けてきた伝説のバンドだ。ライブが無い日はお菓子屋の若旦那。そしてライブになるとピエロに変身してオーディエンスに愛と感動を届けるあっちゃんの、30年に及ぶバンド活動を追いつつ、80~90年代バンドブームの真相を浮き彫りにする。また、本作の制作資金はクラウドファンディングサイト“CAMPFIRE”で全額が集められ、当初の目標金額を大幅に超える940万3669円が全国のファンから集められた。これは、日本のクラウドファンディング史上、自主制作映画では過去最高の資金調達額である。

どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方を描いた本作の主人公“あっちゃん”とナリオ監督にインタビュー。制作過程やご自身が影響を受けたテレビ番組、本作への思いなどについてたっぷり語っていただいた。

【インタビュー】
――ライブ出演回数260回と最多を誇る、なじみ深い新宿ロフトでの会見を終え、今の気持ちは?

あっちゃん:ライブとは違うし、会見なんて初体験ですからね。でも、自分のポリシーで「何でもできる」っていうのがニューロティカなので、また一つ新しい経験をさせていただいたという感想です。他のバンドが出来ないようなことをやっているという自負もあるので、今回の経験を色んな人に伝えて、この業界を盛り上げたいという気持ちが湧きました。

ナリオ監督:新宿ロフトと言えば、ニューロティカ、ニューロティカと言えば新宿ロフトなので、映画『あっちゃん』の記者会見を、聖地・新宿ロフトでやれたことはすごく嬉しいです。

――今回の映画の発起人はナボさんと伺いましたが、オファーを受けた時の感想は?

監督:もともと、ニューロティカのPVやライブDVDなどの制作には携わっていたので、メンバーたちとは近い位置にいました。なので、「この映画を僕が撮らずして、誰が撮るんだ?」って思いましたね。

――でもあっちゃんは、当初あまりノリ気でなかったとの話も会見でおっしゃっていましたね?

あっちゃん:うん、映画を撮ると聞いた時は、恥ずかしいから撮らなくていいよと思ってて。クラウドファウンディングで資金を集めるということに対しても、人からお金をもらうというか、そんな単純な話ではないけれど、人生の中で人からお金を借りて何かをやるなんて、やったことが無いし、そういうのは出来ないタイプの男なので、最初はみんなに「映画はやめようよ」って言っていました。

――それが“撮る”方向に変わったきっかけは何だったのでしょう?

あっちゃん:メンバーが、「絶対撮らなくちゃダメだよ、やったほうがいい」という言葉と、ニューロティカを盛り上げたいという思いが大きかった。それが、メンバーの幸せだし、お客さんも幸せになれることなのかな、と思うようになり気持ちが変わりました。

――現在お二人は表現者として多方面で活躍されていらっしゃいますが、ご自身が影響を受けたと思うものやテレビ番組は何でしょう?

あっちゃん:僕は、フォーリーブスです。あと歌番組の「スター誕生!」や「ぎんざNOW」。「ぎんざNOW」は、歌謡曲が全体的に多いんですが、ロックバンドなんかも出演していて、そこで、矢沢永吉さんのキャロルや、丸山圭子さんのことを知りました。普通なら、ゴールデンタイムの人気番組を見るんでしょうけど、僕はへそ曲がりなので(笑)。そこで色んな情報を得ました。

――それはいくつくらいの時ですか?

あっちゃん:小学生の時かな。放送委員だったので給食の時間に、クールスというバンドのレコードを流したら、先生から注意されたんですけど、「自分だけは、誰も知らない世界を知ってるぜ」って思っていた(笑)。

――ナリオ監督はいかがでしょう?

監督:僕は、「ふぞろいの林檎たち」が一番好きなドラマ。中井貴一さんが主演で、何部作にもなっていますけど、人生をもがいている主人公たちが、乗り越えようとしていくんだけど、なかなか「やったー」ってことにはならなくて。そうしながらも年を重ねて行くというね……。その感覚が好きだったのかな。自分が、映画や物語を撮影する時に、突き抜けたハッピーエンドというのがあまり好きではなくて、もがいてもがいて「人生うまくいかねえなぁ!」っていうものを作るのが好きなんです。だから、潜在的に、「ふぞろいの林檎たち」のキャラクターや設定が、僕の中でどこかしら影響をうけているんじゃないかと思います。

あっちゃん:「ふぞろいの林檎たち」は流行っていたけど観たことないんだ。その頃の自分は、夜は遊びに出かけているからテレビを見ていなかったんだよ。街で遊んでいた方が面白いって思って、いつも外に出ていることが多かった。

監督:すでにバンドを結成していらっしゃる時ですしね。でも、「東京ラブストーリー」は好きなんですよね?

あっちゃん:それはね、漫画で読んでいたの。柴門ふみさんが好きで、デビュー作から読んでいて。だから、「東京花火」(ニューロティカの楽曲)は、柴門ふみのワールドをモチーフにして出来た曲なんだよ。

――映画『あっちゃん』が完成しましたが、あらためて感想は?

あっちゃん:バンドも自分も節目ということで、メンバーと話し合って、何かやらなくちゃというか、こんなことをやってみようという感じで、制作を開始し、無事出来あがりました。クラウドファンディングで多くの方にご支援をいただき、本当に感謝しています。“ニューロティカをやる”というのは、自分の為でもあり、みんなと楽しむ為でもあるというのがその答えです。

――では最後に、バンドは30周年、ご自身は50歳。これからチャレンジしたいことは?

あっちゃん:もうお金はいらないので、地位と名誉がほしいです。紅白歌合戦に出たいです! 最後のお願い(笑)。

■映画『あっちゃん』
4月18日(土)より渋谷HUMAXシネマ、シネマート心斎橋ほかにて公開

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