白洲迅さんが主演、横田真悠さんがヒロインを務めるドラマ特区『どうせもう逃げられない』(MBS、毎週木曜24:59~ほか)が、9月16日よりスタートします。
本作は、小学館「プチコミック」にて連載された、一井かずみさんの同名コミックを実写化したピュア・ラブストーリー。一見チャラくていい加減に見えつつも恋に本気になれないデザイン会社社長、向坂拓己(白洲)と、そのデザイン会社にアルバイトとして採用された、平凡なOL生活にあこがれる不器用なほど真っ直ぐな女の子、野田蔵なほ(横田)との恋が描かれます。
白洲さんと横田さんに本作の魅力やラブシーン、初共演の印象などを語っていただきました。
――原作は若い女性に人気の漫画ですが、読まれた感想を教えてください。
横田:すごくキュンキュンしました。「キュンキュンするこの世界に住みたい!」と思いました(笑)。
白洲:拓己となほはお互いいい大人ですが、すごく不器用でなかなかくっつかなくて。すごくピュアなラブストーリーだと思いましたね。また、拓己は恋に本気になれないある理由を抱えているキャラクターですが、原作者の一井さんから拓己に込めた思いを聞く機会があり、演じる前により役への重みが増しました。
――漫画原作を落とし込んだ脚本をご覧になって、どのように感じましたか? 原作漫画のイメージ通りなのか、それともまた新たな物語として描かれているのでしょうか?
白洲:もちろん違うところもありますけども、大枠としては原作をちゃんと踏襲しています。河原瑶監督は少女漫画が大好きな方なので、台本はもちろん、撮影中もすごく原作を大事にされていると感じましたし、僕もそこは大事にして演じています。
横田:ドラマでは、原作漫画10巻分の長い話がギュッと濃密にまとめられていますが、原作好きな方が「ここは外せない」と思うようなシーンはちゃんと描かれています。脚本を読んでいても原作との違和感は感じなかったですね。見どころのシーンはしっかりおさえられていて、ググッとくるものがありました。
――お二人は演じる役をどう捉えていますか? また、役を演じる上で気を付けたことを教えてください。
白洲:拓己は抱えているものがある故に、人に興味を示さないんです。興味がないからこそ人当たりが良く、裏返しの明るさみたいなものがあるので、それをどうやって表現したらいいかは考えました。明るい時と落ちている時の対比がきちんとできていれば、視聴者の方に伝わると思い、注意しています。
――すごく難しい役だと思いますが、拓己に共感する部分はありますか?
白洲:共感しますね。人は誰しも大なり小なり抱えているものがあると思うんです。自分の抱えているものに向き合いたいけど向き合えていなかったり、向き合っているつもりでも実は向き合っていなかったり。逆に向き合い過ぎてしんどくなったりすることもありますよね。
普通、登場人物は何かを抱えていて、そこをどう表現するかが、役者の大変な部分でもあり、面白い部分。今回はなほに眩しく照らされるが故に苦しむし、救われるという拓己を表現できたらと思っています。
――横田さん演じるなほは、本当に真っ直ぐ純粋に拓己に向き合っていきますよね。
横田:そうですね。なほのすごく一生懸命で、自分が見ているものを真っすぐ信じられるところは本当にすごいなと思います。いろいろなことがあったら、相手のことを信じられず、どこかで疑う気持ちが出てくるのが普通だと思いますが、彼女はそれがなくて。本当に純粋でひたむきだからこそ、視聴者の方にあざとく見られたりする可能性もあると思うんです。ですが、なほは本当に一生懸命だから、あざとく見られないように、なほを応援したいと思ってもらえるよう、演じていました。
――そんななほを演じる上で特に大変だったことはありますか?
横田:感情の動きがすごく分かりやすい子なので、泣くシーンがたくさんあって。そこは「集中! 集中!」っていう感じです(笑)。
白洲:よく泣いているよね。順撮りではないことも多く、感情を作るのは大変なはずなのに、本当にすごいと思う。なほの感情がものすごく伝わってくるよ。
横田:ありがとうございます! でも、白洲さんが居心地のいい環境を作ってくださるおかげです。ご自身が映っていないシーンでも、やりやすいように気遣ってくださったり、状況に合わせていい雰囲気を作ってくださったりしますね。
――拓己がなほにかける台詞は、冷たいようで温かいですよね。
横田:そうですね。向坂さんの台詞を受けていると、心がぎゅっと痛くなることが多くて。向坂さんにしか言えないことなのかなって思います。
――演じていてキュンとした拓己の台詞はありますか?
横田:なほが「アホって言ってください」と言って、向坂さんに「お前、アホだな」って言われるのですが、「アホだな」っていい言葉だと思いました(笑)。
白洲:いやいや、いい言葉じゃないんだよ(笑)。
横田:そうなんですけどね(笑)。でも、その台詞が原作でもあるように、「(俺の)側にいていい」と言われているような気がして。実は「アホだな」で泣けるかなと思っていたんですけど、すごく泣けました。
白洲:それは嬉しいな。俺も正直「アホだな」という一言で感情をどうやって表現しようかと思っていて。ちゃんと伝わっていてよかったです。
――白洲さんは、なほに惹かれる拓己の気持ちは分かりますか?
白洲:分かりますね。拓己もそうだと思いますが、僕が演じていてもなほの笑顔に毎回キュンとしていて、救われていて。すごく眩しいけど、眩しいからこそ目が離せないと言うか。真悠ちゃんは普段から眩しい笑顔を見せてくださる方なので、そういう意味では、なほを演じてくれたのが真悠ちゃんでよかったです。
横田:ありがとうございます! 今日はいい日です。
――初共演ですが、それぞれの印象を教えてください。共演してイメージは変わりましたか?
白洲:イメージは変わりましたね。思ったよりしっかりしてます。
横田:本当ですか!? イェイ!(笑)。
白洲:10代からこの仕事を始めていることもあるかもしれませんが、自分の芯があり、しっかり筋を通す子だと思いました。
横田:私は、白洲さんは自分の時間が流れている方だなと思いました。
白洲:ははは(笑)。
横田:普段の会話のテンポなどもご自身のペースがあっていいなと思いました。あと、すごく柔らかい雰囲気があって。マイペースなのが嫌にならないのは、白洲さんだからこそだと思います。
――ラブシーンも多いと思いますが、緊張しますか?
横田:私はしますね。キスシーンが初めてだったので。
白洲:そうなの!? 何で言わないの!?
横田:言っても意味がないかなと思って(笑)。
白洲:初めては光栄だ。でも、全然初めてだと感じさせないぐらいでしたけどね。やっぱり肝が据わってますね。
――最後に改めてこのドラマの一番の魅力を教えてください。
白洲:拓己はずっと消えたいと思いながらもなんとか生きてきて。そこになほという眩しくすごく真っ直ぐで素直で素敵な女の子が現れ、ずっと光を照らされ続けて葛藤しながらも救われていきます。なので、やはりなほのキャラクター性が、僕の中では特別だと思いますね。
横田:私からすると、いつも諦めることに慣れていた女の子が、すぐくじけてもいいはずなのに、向坂さんに対してはそうではなくて。近づけたと思ったら遠ざけられたり、優しいと思ったら冷たくされたりして、心はしんどいはずなのに諦めない彼女の姿を応援してもほしいです。
白洲:いや本当だよね。普通ならそろそろ挫けるだろうと思うけど、なほは絶対顔をあげるからね。
横田:そうですね。私も頑張ります!
(取材・写真・文:高山美穂)
<第1話あらすじ>
就職活動中の野田蔵なほは、当面の生活費のため短期アルバイトの採用面接を受ける事に。面接に向かう途中、なほは痴話ゲンカをしている男女に遭遇する。その男は女性をあしらうため、たまたまそこにいたなほを新しい彼女扱いする。男のいい加減な態度に腹を立てたなほは、思わず彼を突き飛ばしてしまう。そして面接に向かったデザイン会社「ソロ・デザインオフィス」事務所にいたのは、先ほどの男、事務所代表の向坂拓己だった──。