細田佳央太&大友花恋が挑んだワンカット会話劇「怒涛の3日間でした」『初情事まであと1時間』インタビュー

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恋人たちが初めて結ばれるまでの“直前1時間”を切り取った恋愛オムニバスドラマ『初情事まであと1時間』(MBS、毎週木曜24:59~ほか)が、現在放送中。9月9日に放送される第8話「鍋の中」には細田佳央太さんと大友花恋さんが出演します。映画監督を目指す相良裕司役を細田さん、女優志望の胡桃沢まみ子役を大友さんが演じ、5人の男女が鍋を囲んで繰り広げる一方通行の恋模様が描かれます。

『ドラゴン桜』(TBS)が記憶に新しい細田さんと、映画『あなたの番です 劇場版』(12月10日公開予定)など多くの映像作品に加え、水曜レギュラーとして『ラヴィット!』(TBS)に出演中の大友さん。話題作への出演が続くおふたりにとっても新たな挑戦となった本作。その舞台裏について、お話を伺いました。

――はじめに、演じたキャラクターの紹介をお願いします。

大友:まみ子ちゃんは、ちょっと変わっている子ですが、誰にどう思われようと、自分のスタンスが絶対に揺るがない子です。もしかしたら「友達にいたら、なんだか嫌だな」と思われるかもしれないですが……(笑)、強く自分を持っている部分は、SNSの発達で自分の核が乱れがちな今の時代に、とても新鮮に映ると思います。ポジティブに受け取っていただいて、「まみ子ちゃんのような子がいたらおもしろいな」と思ってもらえたら嬉しいです。

細田:僕の中で相良くんの核だと思っていたのは、好きなものに対する熱量です。オタク気質というか、自分の好きなものに対してまっすぐで、一生懸命になれるところは相良くんのチャームポイントであり、共感していただける部分だと思っています。

大友花恋
大友花恋

――演出は、橋口亮輔監督です。

大友:演出だけでなく、お芝居のことを一から教えてくださったので、「お芝居ってこんなに楽しい」と改めて感じました。撮影の時は、監督ご自身がまみ子ちゃんや相良くんを実際に演じてみてくれるんです。「監督のお芝居が一番ステキなのに、私にも同じようにできるかな」ってドキドキしながら演じていました(笑)。リハーサルが1日、撮影が2日だったのですが、すごく濃厚で印象深い現場でした。

細田:本当に細かく心情を教えてくださる監督でした。リハーサルでも、相良くんの熱量が出る台詞を「ここはどうやって、何を伝えてほしいか」と丁寧に教えてくださって、現場でもじっくりじっくりと。怒涛の3日間でしたけど、その中でも大事なシーンは噛み砕いて説明してくださって、ありがたかったです。

細田佳央太
細田佳央太

――とくに印象的だったアドバイスはありますか?

細田:相良が堀北真希さんの魅力を伝えるシーンでは、「毎回、お芝居が一緒にならなくていい」と言われました。何よりも熱量を出して、「自分が思う“堀北真希がとにかくすごいんだ”ということを伝えてくれ」と。僕も、どうしていいかわからなかったんですけど、こうなんじゃないか、ああなんじゃないかって一緒に考えながらやらせていただいて。「こう動いて」というよりは、その人の、その時の感情を第一に優先してくださる方でした。

大友:「まみ子ちゃんはあざとくなくていい」というアドバイスをいただきました。いろいろなことを考えて行動しているし、受け取り手によっては違った印象を受ける子だけど、あざとさを出す必要はないと最初に言っていただいて。そこから、まみ子ちゃんの形みたいなものが自分の中で見えてたので、この監督の言葉が私にとってはキーポイントでした。

――怒涛の3日間とのことでしたが、撮影秘話があれば教えてください。

細田:うーん、怒涛すぎて……本当にすごかったんですよ(笑)。秘話……秘話!?

大友:(笑)。でも、鍋を囲んでワンカットで撮ったシーンは印象的でした。食べたり、盛り付けたり、立ち上がったり、座ったりと動きをつけながら、怒涛の会話劇があって。この撮影でみんなの結束力が高まったよね?

細田:うん。最初に「ワンカットでやる」と言われた時には、みんなが「えっ!?」ってなりました(笑)。「うぉ~マジか」みたいな。でもすごくいい緊張感を持てましたし、楽しかったです。

細田佳央太
細田佳央太

――撮影中、ご自身にとって挑戦に感じるようなことはありましたか?

細田:何かをやりながら台詞を喋ることの難しさをすごく感じました。食べながらとか、醤油や器を用意しながらとか、日常では当たり前のことですけど、それが難しかったですね。僕自身、会話がメインで繰り広げられるお芝居の経験がなかったので、一番見てほしいポイントでもあります。

大友:私は、カップルの情事に迫るという、全体を通したテーマが挑戦だなと思っています。初めてお話を伺ったときはびっくりしましたし、そんなところにフォーカスする作品に挑戦できるという緊張感と、自分も頑張らないといけないなというドキドキはずっとありました。私達の話はわりとマイルドだと思うのですが、他のお話でみなさんがどのような挑戦をされたのか、すごく楽しみです。

――お互いに、役者としての印象も聞かせてください。

細田:まみ子ちゃんって、めちゃくちゃ難しい役だと思うんですよ。役として嫌われるのは仕方ないことではあると思うけど、正直、人に嫌われるって嫌じゃないですか。それなのに、ちゃんと正面からまみ子ちゃんに向き合っていたところは、すごいなと思っていました。監督からの演出にも即座に対応されていて、見習わなきゃいけないなと思いましたね。

大友:佳央太くんは、最初から最後までずっと裕司くんとして居続けてくれました。監督の演出に合わせて、どのように演じようかと考えている時も、隣にいる裕司くんが変わらずに居てくれるので、すごく心強かったです。みんなの集中力が高まって“内”に入っていく中、柔らかい雰囲気のままで居てくれる佳央太くんのおかげで、現場の空気がすごく和らいでいるなと思っていました。

大友花恋
大友花恋

――劇中では、キュンとするようなシーンもありますが、お二人が実生活で感じる胸キュンポイントは?

大友:男女問わず、ハンカチが綺麗に畳まれているのを見た時です。バッグから出てきたハンカチがすごく綺麗だと、家でアイロンをかけたのかなとか、お家での行動が垣間見えてキュンとします(笑)。

細田:僕は、自分にしか見せない姿を見た時ですかね。(劇中で)まみ子ちゃんは実際は雨は降ってないんだけど「雨が降ってたから」って、びちゃびちゃの姿で家に来るんです。でも、相良にだけはその姿を見せてくれるっていう。そういう他の人には見せない別の顔を見せてくれたときは、やっぱりキュンとしますね。

――まみ子ちゃんみたいなタイプはお好きですか?

細田:いや、それはちょっと(苦笑)。自分がまみ子ちゃんを好きになったら、本当に僕自身が持っていかれそうな気がするんですよ。あざとくはないんですけど、つられちゃうっていうか……なんとも言えないですね(笑)。

――なるほど(笑)。最後にドラマの見どころをお願いします。

細田:何よりも、会話から出るそれぞれの個性を見ていただきたいです。僕ら2人もそうですし、他の方々も含めて、短い時間の中ですごくいろいろな矢印が見えると思うので、それぞれの立場、それぞれの視点に立って、作品を何回も見ていただくとおもしろいんじゃないかなと感じています。

大友:台詞の下に走っているそれぞれの思いが交わっているので、見終わった後も「あれって、どういう意味だったのだろう」と、何回でも思い返してほしい作品です。みんなで鍋を食べていますが、“食べ進めなければ最後に何が残っているかわからない”という感じで、タイトルから連想して楽しんでいただけたら嬉しいです。

(取材・文・写真:nakamura omame)

<9月9日放送 第8話「鍋の中」あらすじ>
女優志望のまみ子(大友)、まみ子にぞっこんな映画監督を目指す裕司(細田)、裕二のことが好きなあつ子(はぎわらりな)とたかし(東龍美)、まみ子を好きな進(米山強)。一方通行の恋をしている5人が裕二のアパートで鍋をする。手造りの鶏つくね鍋を囲みながら交わす会話に散りばめられる「好き」の合図。それぞれの想いが交錯する中、夜も深まり、部屋に残った2人の人物はやがて見つめあい……。

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