玉木宏と高橋一生は“どこへゆくんだ!?”破滅の道を歩む双子の兄弟に救いはあるのか『竜の道』最終話

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竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)の最終話が、9月15日(火)21時から2時間スペシャルで放送される。玉木宏高橋一生演じる双子の兄弟が、両親の敵である遠藤憲一演じる運送会社社長にあの手この手で講じてきた復讐劇がついに完結する。

小さな運送会社を営む夫妻の養子として育った竜一(玉木)と竜二(高橋)は、夫妻の実娘である妹・美佐(松本穂香)と仲良く暮らしていた。しかし、事業拡大を企むキリシマ急便の社長・霧島源平(遠藤)に会社を乗っ取られ、多額の借金を抱えた養父母は自殺。復讐を誓った竜一は、顔も名前も変えて裏社会の人間として、かたや竜二は国土交通省のエリート官僚として、裏と表から源平を追い込んでいく。

近年、連続ドラマと言えば、刑事ものや医療ものによる1話完結型が主流になっている。だが『竜の道』は「復讐に成功するか、否か」という結末に向けて、ただひたすら回を重ねていく。1話たりとも見逃せない連続ドラマならではの復讐劇はこの時代では新鮮で、我々が惹かれる理由のひとつとなっている。

さらには、配役の妙。玉木と高橋が、初共演作で双子役を演じるとは、一体誰が予想しただろう。笑顔が素敵で爽やかなイメージのある2人が、復讐のため悪に手を染めていく姿はゾクゾク必至。復讐への火を熱くたぎらせる竜一、冷静に火を灯し続ける竜二の、自在な眼差しと声色にしびれてしまう。

そんな2人の敵役を演じる遠藤は、最近はバラエティでお茶目な一面がフィーチャーされたり、ドラマにおいてもコミカルな芝居を披露したりする機会が増えていただけに、ドスのきいた声で広島弁を放つ正真正銘の悪役姿に「エンケンさんといえば、やっぱりこれなのよ」と胸が熱くなる。

ドスの効いた広島弁でザ・悪役の霧島源平を演じる遠藤憲一
ドスの効いた広島弁でザ・悪役の霧島源平を演じる遠藤憲一

そして、予見できないストーリー展開。順調にいくはずだった竜一と竜二の敵討ちには、これまで様々な誤算がつきまとってきた。家族思いの兄弟が、自分が決めた正義(=復讐)を貫こうと何度もシナリオを書き換え、そのたび自身の良心に背いて苦悩する様は、あまりに切なくやるせない。

最終話を前に、竜一は源平を“殺人者にする”という強硬手段に出る。巨大ヤクザ組織の会長・曽根村(西郷輝彦)に、キリシマ急便の元役員・二見(小市慢太郎)の殺人を依頼する源平の姿を録画するよう依頼。ところが曽根村は、証拠となる映像データと引き換えに、二見を竜一自身の手で殺めるようにと拳銃を差し出すのだった。

熱を帯びる竜一に対し、竜二は復讐のために殺人を犯すことを疑問視。一方彼の中で、復讐の道具だったはずの源平の娘・まゆみ(松本まりか)への偽りの愛が、ホンモノの愛へと変わり始めていた。これによって、ますます広がる竜一との温度差。過去に竜一から「あんまり深入りするなよ。竜二は優しいからな、向こうが傷つくとお前も傷つく」と釘を刺されてた竜二は、恋人のまゆみ、妹の美佐、そして自分の本心をも裏切って、復讐を果たすことができるのか。

竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)の復讐劇がついに完結!
竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)の復讐劇がついに完結!

思い出されるのは、第1話冒頭。顔面傷だらけ、目は開かないほどに腫れ、血を流す竜二に、竜一が拳銃を突き付けるシーンだ。二見に向けるはずだった銃口を、愛する弟・竜二に向けることになった理由は、埋めることのできない温度差にあるのか。あの冒頭シーンが夢ではない限りバッドエンドはほぼ確定しているが、2人の竜に救いの道は……?

そして、彼らの秘密を知る砂川(今野浩喜)は最後まで竜一に忠誠を尽くすのか、真実を突き止めた記者の沖(落合モトキ)はどう動くのか、恋愛感情が見え隠れする美佐と竜一の関係はどうなるのか……。ビッケブランカが歌うオープニング曲「ミラージュ」の歌詞のごとく、物語の行方もまた“どこへゆくんだ”の大渋滞。魅力的なキャストが紡ぐ骨太なサスペンスは、最後の最後まで見逃せない。

(文・nakamura omame)

<最終話あらすじ>
源平(遠藤)の殺人教唆の証拠を手に入れられず、打つ手がなくなった竜一(玉木)は、さらに沖(落合)から“矢端竜一”が生きている証拠を突きつけられ、窮地に陥る。そのうえ、沖が美佐(松本穂香)にまで近づいたことを知り、竜一はますます焦りを募らせる。一方、エニイウェイズとの契約内定を取り付け、ついに悲願である運送業界トップの座が視野に入ってきた源平は、一層言動に狂気を帯びていく。

これ以上竜一に危険なことをさせたくない竜二(高橋)は、「俺に計画がある」と次の手を持ちかけようとするが、竜一は話を聞くより先に、ある決意を胸に美佐の元へ。翌日、異変を感じて竜二が駆けつけると、竜一は衝撃の事実を打ち明け、「もうお前はいらねぇ」と、竜二に銃口を向けて……!?

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