清原翔が明かす俳優としての現在地「ここからが勝負」『アライブ がん専門医のカルテ』

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松下奈緒さんが主演を務める『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)が、1月9日から放送スタート。2人に1人が生涯のうちにかかるといわれている“がん”に、松下さん演じる腫瘍内科医・恩田心と、木村佳乃さん演じる外科医・梶山薫が立ち向かいます。

今作で研修医・結城涼役を演じるのは清原翔さん。クールというパブリックイメージがありますが、実際の清原さんはとても大らかで柔らかい雰囲気をまとっていらっしゃいます。そんな清原さんにドラマへの意気込みや、俳優としての“今”について聞きました。

――結城はどんな人物だと捉えていますか?

外科志望でありながら腫瘍内科にいる研修医で、患者との出会いによって人間として成長していく役どころ。外科と腫瘍内科の関わり方を考えていくキャラクターでもあるので、そこも見どころかなと思っています。クールだけど心の中に熱いモノを持っていて、一人の時にそれを発散するような人。なので、カラオケで激しめの曲を歌ったりするシーンがあるかもしれません(笑)。

――自身と共通する部分はありますか?

僕も考えを言葉にするのがヘタで、人に伝えることを諦めているところがある。一見冷たく見えるけど、熱いモノが好きだったりするので、その部分は近いのかなと思います。それから結城は生い立ちにコンプレックスがあって、自分の考えを知られることが恥ずかしいと思っているタイプなのかなと。だから言葉数も減り、徐々にクールと呼ばれる存在になっていった気がして。実は僕もそうで、小学生の頃は明るかったんですよ。結城のことは理解できるし、育ち方は似ているのかなと思います。

――清原さんもクールに見られがちなのでしょうか?

どうなんですかね……なんか「変」って言われます。でも、普通なんですよ。だから「普通」っていう評価が一番妥当だと思います(笑)。自分の頭の中で解決してから話すことがあるので、いきなりポッと言った言葉が、変に受け取られちゃっているのかもしれませんね(笑)。

――第1話の台本を読みましたが、せりふに「……」が多いですね。言葉が少ない役の難しさは感じていますか?

せりふが少ない分、動きや表情で魅せないといけない。ただ無表情では意味がないので、どこまでクールから外れずに表現するかが難しいですね。クールっていう設定があると、リアクションを取りづらかったりするんですよ。「驚いて」と言われても、どこまで感情を出していいかわからない。役によって、動作の大きさの加減が難しいです。

――結城を演じる上で、大事にしようと思っていることは?

口数が少ないくせにトゲがあることを言ったりするので、カッコよく見えなきゃまずいなと。そうでないと、単純に嫌われかねないなと思ったんです。なので、ヘアメークさんに「カッコよくしてください」って言いました(笑)。

――(笑)。医療ドラマは、専門用語を覚えるのも大変そうです。

専門用語のイントネーションが間違っていると、すごくダサいみたいで。聞きなじみがないから僕たちにはわからないけど、イントネーションが違うと医者の方々に「ダメだな」と思われちゃうらしいんです。でも基本的には大丈夫かな、せりふは少ないですし(笑)。

――今作は、原作のないオリジナル作品ですね。

原作があると「まったく別で考えて良いよ」と言われても、多少は左右されちゃうじゃないですか。でも、オリジナルだと一つひとつ作り上げていくので、考えることが多くて楽しいですね。監督から「こういう時、どうすると思う?」と聞かれて、わりとすぐ答えられる時もあるし、熟考しないと出ないときもあったりして。一緒に作らせていただいている感じが楽しいです。

――オリジナル作品での役作りは、どうしていますか?

最初に監督からある程度の形を教えていただいて、身近にいる近い方を当てはめて考えていきます。今回は自分とそんなに遠くないなと思ったので、自分自身を参考に。僕は役柄を引きずることはないので、気持ちが切り替わるのはカメラ前に立った時ですね。

――現場の雰囲気はいかがですか?

木村さんがすごくおもしろいです。キャッチーな話題を木村さんが藤井隆さんに振るんですよ。それを一通り話した後、撮影に呼ばれた時の切り替えがすごく早くて。スッと行っちゃうので、藤井さんが「荒らして帰るなぁ」とおっしゃっていました(笑)。僕は、話しかけてもらえれば話せる受け身スタイルなので、藤井さんが盛り上げてくださったり、木村さんがアグレッシブなので助かっています。

――結城は外科医を目指していますが、研修の一環として腫瘍内科にやってきます。人生において、自分がやりたくなくても通り道としてやらなくてはいけないことって、結構ありますよね。

今は、どんなことも何かしら芝居に通ずるものが出てくると思ってやっています。それこそ「この職業に就くなんて、大学を出た意味がない」とかよく言われたし、自分でも“4年間無駄だったな”と思うこともありました。でもここ2~3年で、その経験も生かせると思うようになって。目に入るすべての物事を探ろうと思っているわけではないけど、そう意識が変わってからは、自然と視野が広がった気がします。

――タイトルにちなみ、清原さんが“生きている”と感じる瞬間は?

友達と飲んでしゃべっている時です。毎日ではないけど、できるだけ行きたいなと思っています。モデルや俳優の友達もいるけど、数は圧倒的に少ないですね。友達になる方法がわからないっていう(笑)。

――(笑)。昨年は『連続テレビ小説 なつぞら』をはじめ『チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~』や『死役所』など俳優として大活躍の1年でした。俳優としての自身の変化は感じますか?

“やりたいことをやれている”という気持ちになってきたので、前より楽しさもありますし、やりがいを感じるようになりました。感想や評価をもらえた時には、大変な思いをしてよかったと思うし、報われたなって。撮影中は楽しいこともあるけど、僕は大変だと感じることが多いので。

――『なつぞら』を終えて、世間からの目に変化はありましたか?

絶対にあると思います。名前や顔を知ってくれている方が増えたので、その状態で作品を見てもらうっていうのは今までと違う。ここからが勝負だと思っていますけど、作品に臨む意識はそんなに変わらないですね。

――俳優・清原翔の強みはどこにありますか?

強みなんてないですよ、平均が取れていたらいいなと思います(笑)。2019年の初め頃に「代表作がほしい」「“清原にコレやらせたら強いよね”みたいなものが1個ほしい」と言っていたけど、未だに見つからなくて、探し途中なんですよね。

――あまり“コレ”というイメージがつきたくないという俳優さんもいらっしゃいますが……。

イメージはつきたくないですね、たしかに……。でも、強みだと自分の中で思えるものはほしいなって。世間の方のイメージも大事だけど、自分が役者としてやっていくうえで、何か“自信”になるものがあったらいいなと思っています。

(写真・文:勝浦阿津希 スタイリスト:李靖華 メーク:坂本敦子)

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