ディーン・フジオカ、再び名作に挑む心境とは?「コアな部分は見失ってはいけない」『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』

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世界的名作「レ・ミゼラブル」を平成30年間の日本を舞台に置き換えた大河エンターテインメント『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ系、以下『レミゼ』)が、2019年1月6日(日)の21時から3時間にわたって放送される。過去に罪を犯すも別人となって生き抜く男・馬場純役で主演を務めるディーン・フジオカさんにインタビュー。

ディーンさんといえば、今年4月クールに放送されたドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジテレビ系、以下『モンクリ』)で、“美しすぎる復讐鬼”モンテ・クリスト・真海を演じたことが記憶に新しい。アレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」が原作の同ドラマは、無実の罪で投獄された青年が脱獄後に別人となり、自身を陥れた人々に復讐を果たしていくストーリー。真海の巧妙かつ計算し尽くされた復讐劇は、回を追うごとに新たなファンを生み出し、反響が広がっていった。

そんなディーンさんが、2019年1本目の出演作に選んだのはまたしても名作が原作のドラマ。インタビュー当日の朝は、もう1人の主演で、純が犯した事件の被害者遺族であり生涯彼を追い続ける刑事・斎藤涼介を演じる井浦新さんとお酒を飲みながら話すシーンを撮影していたという。撮影で使われたのはもちろんアルコールフリーのビールだが「ずっと飲んでいたら、なんだか酔ってしまったような気分になって……」とお茶目に笑うディーンさん。はからずも再び名作に身を投じることになった心境、そして連続ドラマ『探偵の探偵』(フジテレビ系、2015年)以来、3年ぶりの共演となる井浦さんへの思いなどについて語ってくれた。

――ドラマのオファーを受けたときの心境を教えてください。

『モンクリ』で太田大プロデューサーとやらせていただいたときに、手ごたえというか、またいつかご一緒させてもらえたらなって思っていたら、さっそく声をかけていただいて(笑)。歴史に名を残すすごく大きな名作を日本でドラマ化するということで、『モンクリ』のときに感じた手ごたえをいかし、さらに『レミゼ』で、自分が何か貢献できることがあるんじゃないかと思いました。

――再び名作が原作ということで、意識していることはありますか?

そうですね……。あまり意識はしてないかもしれないです。『モンクリ』にしても、『レミゼ』にしても、コアに魂の部分があるじゃないですか。いろいろな考えが絡み合ってすごく緻密な構造になっていると思うんですよ。自分としてはまず脚本の中ですでに構築されている骨組みみたいなものを理解して、監督が現場で演出をつけてくださるので、どれだけ監督のイメージに近づけるか、それともそれ以上のものを自分が打ち返せるかなという気持ちでやっていますね。

――馬場純という役柄についてはどうとらえていますか?

彼は生まれてからの境遇が“人のためにずっと生きてきた人”だと、とらえてます。自分のために生きてないんじゃないかなって思うんです。“人の役に立てないのであれば生きていてもしょうがない”という、まっすぐな気持ちをもった人間なんじゃないかな、と思いながら演じています。

――2つの人格を演じ分けることについて、どのように感じていますか?

『モンクリ』は全く違う人物で、人間として始まって、人間をやめて、悪魔になって社会に戻ってくるっていうぐらい激しい演じ方をしていました。でも今回の『レミゼ』に関しては、逆にずっと中身は変わらないと思っています。たまたま成り行きで違う人の名前を語るようになったり、職業が弁護士になったり農家になったりする変化はあるけれど。先にも話したように、自分のために自分の人生を生きてきたんじゃなくて、どうやったら人のために自分がいられるのかが一貫してある人。その一貫した部分が、エンディングに向けての1つの大きな原動力になるんじゃないかなって思っています。

――撮影現場の雰囲気はいかがですか?

寒くなってきたけど、みんなで温め合いながら、励まし合いながら楽しくやっています(笑)。山本美月ちゃんもそうですが、裏方も『モンクリ』から引き続きよろしくお願いします、っていう方が多いんです。たまにデジャブが……あれ? みたいになりますね。でも、お芝居はそれにひっぱられることがないよう気を付けています。

――井浦さんと3年ぶりに共演して、印象が変わった部分はありますか?

新さん、変わらないですね、いい意味で。一緒にいて話をしていると安らぐというか、共通の話題が多くて。僕は香港でキャリアをスタートしましたが、当時新さんもよく香港で仕事されていて、共通の友人もいるんです。今日撮影したシーンみたいに、2人で食事に行ったら楽しいだろうなと思います。

――追う、追われるという関係性ですが、カメラが回ってないところでは仲良くしているのですね。

いや、そんなことないです。(役柄同様)バチバチですよ(笑)。助監督さんが2人の間に止めに入る始末で! ということにしておきます(笑)。

――純の若き日を演じた吉沢亮さんの印象はいかがですか?

映像を見て胸にこみ上げてくるものがありました。熱量の高い演技をしてくれて、僕も安心してふり幅大きく演じられています。吉沢くんにやってもらってよかったです。機会があれば同じ役を演じた者同士で、お話したいですね。

――ディーンさんが思う『レミゼ』のテーマとは何でしょうか?

『モンクリ』のときも思いましたが、“赦し”だと。つまるところどちらの作品も宗教観の話だと思うんです。神との関係性の持ち方とか、そこに生まれる葛藤とか誤解とかもしくは導かれる感覚とか、赦されるとは何なのかという。いろんな人間が出てきていろんな境遇があって、それぞれの答えを導き出していくというか、映し出していくということだと思うんですよ。日本版のドラマとしてやるからには、コアな部分は見失ってはいけないと思っていて、日本人がやるから“なんとなくこういう作品やってます”ではなくて、作り手側はしっかりとそういうところを意識しておくべきだと。逃げる側、追う側だけではなく、登場人物のいろいろなところにメタファーが含まれていますので、年明け、こうご期待! ですね(笑)。

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