『めちゃイケ』ガリタさんが営業局で新たな試み“めちゃめちゃCMが馴染むドラマ”

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『めちゃイケ』ガリタさんが営業局で新たな試み“めちゃめちゃCMが馴染むドラマ”

フジテレビのバラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』の元プロデューサーで、“ガリタさん”としてお馴染みの明松功さんが構想・トータルデザインを手掛ける単発ドラマ『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』が、6月20日(火)24時30分から放送される。

本作は、ミュージシャンで俳優の金子ノブアキ主演のサスペンスドラマで、2年前にバラエティ制作センターから営業局に異動した明松さんが、ドラマ本編と広告が融合した“アドフュージョン”という新たな試みに挑戦した意欲作。このほどインタビューに応じ、およそ1年かけて作り上げたというプロジェクトについて明かしてくれた。


――バラエティ制作センターから営業局に異動になって、それまでとは全く違った環境での仕事をされていると思います。

営業に異動した当初は、どうして営業局に来たのか理由を考えました。そんな中、営業局の上司に「営業局には番組を作った経験のある人間が少なく、それについて喋れる人材があまりいないから、それを武器に喋って欲しい。それに営業発の番組を作りたい」と言われたんです。それを聞いて純広告(いわゆるテレビCM)の売り上げではなく、何か新しいことを求められていると感じていました。

――満を持して放送される“アドフュージョンドラマ”は、言い換えれば“めちゃめちゃCMが馴染んだドラマ”だと思いますが、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

電通の中尾孝年というクリエイターがキーマンで、彼は大学時代のアメリカンフットボールで同じポジションだった後輩なんです。『めちゃイケ』がテーマだった『FNS27時間テレビ2015』の際に約20年ぶりに会って、「ホンキーマン」のCM制作で一緒に働いたのですが、その時にとても優秀なクリエイターだと感じました。そうしたら去年、大阪でも働いていた彼が、東京中心になると聞いて2人で飲むことになったんです。僕は営業に来て1年目の悩みがあり、彼は制作したCMがHDDレコーダーでスキップされてしまうという悩みを抱えていた。その2人が会って「見るしかないCMとは何だ?」と語り合ったのがきっかけです。その日のうちに「サスペンスドラマに練り込まれたインフォマーシャル」というアウトラインはできていました。

――インフォマーシャル自体はそれほど珍しくはないと思いますが、「見るしかないCM」にするのにどのような工夫をされたのでしょうか?

僕らは“その先”に行こうと考え、CM中も物語を進行させることにしました。これまでもキャストが出演するインフォマーシャルはありましたが、ストーリーの中で展開されるものはなかったのではないかと思います。ドラマ本編とCMをシームレスにすることで、視聴者の皆さんに好意的に受け止めていただき、スポンサーにも喜んで貰えるデザインにできると考えました。しかし、放送法に「放送内容とCMは分けなくてはいけない」という決まりがあります。つまり、本編に馴染ませ過ぎると放送法に抵触してしまう。それで画面上に「ただいまCM中」と入れることにしました。しかし、それではまだ足りないので、ステルスマーケティングとは逆の発想を思いつきました。本編の冒頭に滝藤賢一さん演じるストーリーテラーに「ドラマの途中であるCMがスネークインしてきます。誰がどういったタイミングで何の宣伝をするのか楽しみにしてください」と喋らせて、敢えてCMを強調することにしたんです。

――これまでスキップされていたCMを敢えて強調するというのは面白い試みですね。それに、どのようにシームレスになっているのかとても気になります。

僕としてはCMが始まる前からBGMが流れはじめて、そのままCMに突入して「ただいまCM中」というテロップだけを“異質”にしたいと考えていました。でも、電通の中尾に「それだと流石に(CMだと)気付かれませんよ(笑)」と言われて、今回はCM中だけ流れる音楽を付けることにしました。第2弾、第3弾とやる機会があったら、音楽も含めてもっと詰めていきたいですね。

――この企画について、金子ノブアキさんが「大きな潮流が生まれたときに自慢したい」とコメントしていました。

金子さんがそう言ってくれたことはとても嬉しいです。このプロジェクトでは、視聴者の皆さんが気持ち良く見られて、制作陣も出演者もスポンサーも楽しんで取り組めることが理想型だと思っていました。スポンサーの方々にも「いつもの純広告のように“この金額で効果はこれくらいある”という指標で判断するのではなく、新しいテレビ広告の第一歩を一緒に楽しんで貰いたい」と我々の熱量を伝えて、気持ちを一つにして取り組めたと思います。

――今回、サントリーホールディングス、エクスコムグローバル、LINEの3社がスポンサーとして参加されているとのことですが、スポンサーによってストーリーを練らなくてはならないのは大変ですね。

そうなんですよ! 良いペースでアウトラインを作ることができたのですが、台本作りやキャスティング、スポンサーを募ろうという段階になったときに、「あれ? もしかしたら全部がスタックする?」と気付きました(笑)。スポンサーを決めないと台本があがらない。台本がないとキャスティングを組めない。キャスティングが決まらないとスポンサーも判断できない。だから、スポンサーと芸能事務所の両方にタラレバで喋らないとならないので大変な作業でした。

――どうやって口説き落としたのですか?

最後には「こういうプレゼンは年に何回もできるものではないですし、次の機会は来年になるかもしれない、それくらい珍しい企画です。オンエアを見て、もし競合がついていたら後悔すると思いますよ」という言葉で刺しに行きました。

――この企画を最初に伝えたときの反応はいかがでしたか?

皆さん「面白いですね!」とは言ってくれるんです。だけど出来上がりをなかなか想像できないので最終的にお断りされることもありましたし、我々もそれは当然の反応だと感じていました。

――紆余曲折ありながらいよいよ放送される『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』ですが、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

この第1弾が上手くいけば、次は映像を持って具体的に説明できますし、皆さんにも理解していただけると思います。だからこそ最初が凄く大事だと思って作り上げました。ぜひ、テレビ画面から一瞬たりとも目を離すことのできない、“アドフュージョンドラマ”という新しい試みを楽しんでください。

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