『西郷どん』恋愛至上主義の結婚観は「野蛮」なのか

公開:
『西郷どん』恋愛至上主義の結婚観は「野蛮」なのか

漫画家の久保ミツロウ、エッセイストの能町みね子、音楽プロデューサーのヒャダインがMCを務める『久保みねヒャダこじらせナイト~こじらせデストピア編~』が、FODで配信中。「こじらせライブVOL.6」#9では、現在、NHK大河ドラマ『西郷どん』における結婚観についてのトークを繰り広げた。

出演者の近況を報告する「久保みねヒャダ近況まとめ」で、能町は『西郷どん』に関する興味深いネット記事を読んで、それに対して、「めっちゃおもしろいーー!!」とツイートしたことを告白。そのネット記事とは、「メリケンでは好きなもの同士が夫婦になる、と聞いたら(武士は)”なんと野蛮な”と反応してもらわないと困る」というものだった。

幕末を舞台に薩摩藩の西郷隆盛の活躍を描く『西郷どん』。能町は「私は見ていないんだけど」と前置きしつつ、「(西郷どんに)恋愛至上主義みたいなのが少し入り込んでいるらしい」と説明。そして、「(西郷どんでは)自由恋愛で結婚できる人たちに対して、うらやましいなみたいな風潮があるらしいが、それをちゃんと歴史を知っている人が批判していて、アメリカでは好きなもの同士が夫婦になると聞いたら、武士は普通、“なんと野蛮な!”と言わなければいけないらしいんですって」と続けた。

『西郷どん』の時代も恋愛はするが、結婚はまた別物。結婚といえば政略結婚が当たり前で、利害関係を考えない結婚は異端とされていたという。能町は、「当然、好きな者同士でくっつくなんて、動物かお前らはっていう価値観」と解説。そして、「なんで歴史を変えてまで、(西郷どんを)恋愛ものにしてしまったのかって書いていて」とそのネット記事に共感したことを明かした。

この意見に久保やヒャダインも納得。久保は「時代劇とかで、"いつかこれがもっと自由になる未来が来たらいいと俺は信じる!"とか言っちゃうんだよね、未来の視点なのに」と、現在の価値観で作られている時代劇への違和感を指摘。ヒャダインは、「なんかありますよね、見合いよりも自由恋愛って。ずっとそっちのほうが正しいみたいな」と疑問を呈し、「政略結婚ってすごい理にかなっていて、良いDNAと、良いDNAを合わせるわけだから、生物学的にも良い。肉体的に優れている遺伝子を持っている人たちができるわけじゃないですか」と、政略結婚のメリットを熱弁した。

また、能町が「当時の人は納得ずくでそれをやっていて、それが嫌だという人はたくさんいて、それがなくなったのはいいかもしれないけど……」と主張すると、ヒャダインは「そんなやつぁは吉原で遊べばいいんだよ!」とバッサリ。その歯切れの良さに、能町は「なんか今日、江戸っ子のおじいちゃんみたいな感じだね」とツッコんでいた。

一方で、ヒャダインの「そんなに恋愛を積み重ねることが大切かね」という意見に対しては、「そうなんですよ」と同意。「(西郷どんは)もとの通りにやってくれたほうが面白そうな気がするんですけどね。“なんと野蛮な”って言ってほしいんですけどね」と提案していた。

そして、ここから話は怪しい方向に。久保は、会場を見回しながら「子どもとか来てないよね?」と確認したうえで、「好き同士で結婚したメリケンの夫婦って、愛し合って結婚したかもしれないけど、その時代は……」と、夜の営み、いわゆる"まぐわい"に関する思わぬ弊害を披露した。これにはヒャダインや能町も「え!?」「そうなんですか!?」と興味津々だった。

久保は「女の気持ち良さは優先されてないんだって」と説明し、「これが(西郷どんの)薩摩藩どもが憧れるメリケンのまぐわいですよ」と言い切った。さらに、“まぐわい”だけを見るなら、恋愛結婚よりも政略結婚のほうが丁寧だったと主張。当時の絵巻物には、具体的な“まぐわい”の方法が描かれていたそうで、久保は、「葛(くず)を使います。常に持ち歩いていて、それにつばを加えて練って」と解説し、能町から「なぜそんなに詳しいんですか」とツッコまれていた。

その他には、最近の連続ドラマについてのトークを展開。『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』(TBS系)でのヒャダインの出演パートや、『アンナチュラル』(TBS系)での石原さとみの演技、『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)での木村拓哉の決め台詞に関してなど、3人が独自の視点で話題作を語り尽くした。

PICK UP