2018年1月18日にスタートする連続ドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)で、妊活に向き合う妻・五十嵐奈々を演じる深田恭子。深田と言えば、現在35歳にして、美容誌「VOCE」が選ぶ「2017年もっとも美しい顔」に選出されたり、12月20日に発売された写真集『palpito(パルピト)』(講談社)でみせるナチュラルな表情が大きな話題になったりと、女優としてばかりではなく、憧れの女性として充実期を迎える、いまもっとも輝いている人物の一人だ。

1996年、中学2年生のとき、第21回ホリプロタレントスカウトキャラバン「PURE GIRLオーディション」でグランプリを獲得し、芸能界入りした深田。翌1997年に女優デビューを果たすと、『FIVE』(日本テレビ系)では、難病により車椅子生活を強いられる少女、『それが答えだ!』(フジテレビ系)では、三上博史演じるマエストロが赴任してくる学校の吹奏楽部の一員として、透明感のある瑞々しい演技を披露。どんな色にでも染まれそうなピュアな素材は、多くの作り手から注目された。

そんな深田の存在を、世に広く知らしめるきっかけになった作品は、1998年に放送された連続ドラマ『神様、もう少しだけ』(フジテレビ系)だろう。本作で深田は、たった一度の援助交際がもとでHIVウイルスに感染してしまった女子高生・真生(まさき)を演じた。放送当時16歳だった深田は、前述のように、どちらかというと、素朴で透明感溢れる佇まいが突出していただけに、“援助交際”“HIV感染”というキーワードは非常にセンセーショナルだった。

しかし、劇中、深田が演じる真生は、こうしたドラスティックなキーワードとは正反対の、金城武演じる人気音楽プロデューサー・石川啓吾の楽曲だけが、日常を特別な色にしてくれるものだと感じるような、狭い世界で生きている普通の女の子だ。この点が、本作全編に醸し出される“純度の高い感情”の基盤となっている。真面目で純粋な少女だったからこそ、たった一度の行為によって、どこか満たされずとも穏やかだった日常が崩れてしまう怖さや後悔が、嫌というほど視聴者に伝わった。その意味で、深田のキャスティングはベストだったと言えるだろう。

HIV感染の事実を知ったとき、ほんの一瞬みせた真生の、色のない表情は、なんとも言えないリアリティを含んでいた。演じているというよりはドキュメンタリーをみているようだった。深田恭子という女優の魅力が存分に表現されているような切り取り方(演出方法)は、いまでも鮮明に脳裏に焼きついている。ややもすると「愚かなことをしてしまった少女」は反感を買ってしまう存在だったかもしれなかったが、深田の内から醸し出す清廉さや魂の叫びに視聴者は感情移入した。初回視聴率(18.2%)から最終回(28.3%)まで10%以上も数字をあげたことがそれを物語っている。

本作で大きく知名度を上げた深田は、翌1999年の『鬼の棲家』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を果たす。そこからは、ドラマ、映画に引っ張りだこの女優となり、数々の作品で主演を務めるようになるのだが、一口で“俳優”と言っても、さまざまなタイプに分かれる。最近では、振れ幅が大きい役柄を次々にこなす役者が“カメレオン俳優”や“憑依型俳優”などと表現されることもあるが、深田の場合、自身の素材を活かした役柄で最大限の魅力を発揮するタイプの女優だと感じられる。

こう書くと役柄の幅が狭いと誤解されそうだが、深田はシリアスからコメディまで魅力的な演技をみせるレンジの広い女優だ。しかし、美しさ、透明感など、洗練されたイメージにプラスして、それを際立たせる安心感や緩やかさをミックスした“深田恭子”という人物が醸し出す雰囲気が、もはや一つの型になっていると言っても過言ではないほど、大きな個性となっている。決してタイプキャスト的な女優ではなく、ハマリ役の印象が非常に強いのだ。映画『ヤッターマン』のドロンジョや、『下妻物語』の竜ヶ崎桃子などは、深田でなければ成立しなかったと唸らされる完成度だった。

奇しくも、最新作『隣の家族は青く見える』で夫役・五十嵐大器を演じるのが、いわゆる“憑依型俳優”と言われている松山ケンイチだ。この二人は、大河ドラマ『平清盛』(NHK)で夫婦役を演じているが、現代劇、しかも深田が活発な妻、松山がやや尻に敷かれる夫というキャラクター設定で、どんな夫婦を作り上げるのか非常に興味深い。ポップでコミカルな部分がありつつも、現代社会で問題になっているテーマも内在しているという新ドラマの深田の演技にも注目だ。

(文・磯部正和)

この記事のライター

磯部正和

雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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