小栗旬「本気になれない」若手俳優・堀家一希、先輩からの“ビンタ”に感謝

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小栗旬西島秀俊の共演が話題のアクションエンタテイメント作品『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系列、毎週火曜21:00~)の第3話が放送され、その中で、若手俳優の堀家一希が物語の鍵を握るテロリスト役を好演。堀家がインタビューに応じ、小栗との共演や、テレビドラマで初めて挑んだ大役への思いを語った。

このドラマは、『SP』シリーズや『BORDER』などで知られる直木賞受賞作家の金城一紀が、5年以上前から構想してきたアクションエンタテイメント作品。元自衛隊員の稲見朗(小栗)と元公安の田丸三郎(西島)らが所属する特捜班が様々な葛藤を抱えながら、謎のテロリスト集団“平成維新軍”を始めとした規格外の敵に立ち向かっていく姿が描かれる。

堀家は、岡山出身の19歳で、俳優を目指して上京。子どもの頃にお笑い芸人に憧れ、その後、映画『ザ・マジックアワー』(2008年・三谷幸喜監督)で名優・西田敏行の姿を見て「芝居でも面白い事ができる」と知り俳優を目指すようになったという。そんな彼が、いくつかの舞台やドラマなどへの出演を経て、注目作『CRISIS』の第3話に出演。稲見と田丸と拳を交える平成維新軍の青年・藤崎正一という大役に抜擢された。

出演のきっかけはオーディションで、その時の事を振り返り「やっちゃったんです」と笑顔を見せた堀家。審査会場で殺陣の振りを教えられ実践した際に、誤って相手役に拳を当ててしまったのだという。「その後も審査が続いたのですが、その事で頭がいっぱいになってしまって落ちたなと思っていました」と当時の心境を告白。しかし、結果は合格。事務所のサッカーチームの試合後、スタッフたちと食事をしている時に合格の連絡が来ると「みんなが“おめでとう”と言って喜んでくれて、色々なものを食べさせられました。本当にものすごく嬉しかったです」と語った。

こうして掴んだ『CRISIS』の出演。第3話は、平成維新軍の正一と弟・誠二、そして大畑譲の3人が、与党の政調会長・浜尾徹を殺害。その後も、野党の元幹事長・黒須一雄らの殺害を企て、特捜班はそれを阻止するために動き出すという物語が展開された。

堀家は第3話について「台本を読み進めていくと、僕が演じた正一たちの背景が描かれてきて、彼らがテロを起こす事になっていくことに共感できる、とても切ない作品だと思いました」とコメント。正一たちは、父親の死を目撃という過去を背負っており、「自分がされたらと考えていくと、だんだん気持ちが解ってきて、正一たちなりの正義を持ってテロに荷担していくという事を納得して演じられました」と語った。

そんな正一を演じる上で意識したのが“日常の風景”だという。堀家は、マンションの一室で正一をはじめとする青年テロリスト3人が弁当を食べるシーンを例に挙げ、「彼らはちゃんと“いただきます”と言って食べ始めて、なんでもない事で笑い合える。日常を生きる普通の子たちという事を伝えられたら、後半に活きてくると思いました」とコメント。終盤、ターゲットの黒須議員を前にしながら葛藤し、銃の引き金を引けない正一の優しさにも触れ「そんな普通の子たちがテロに加わる側になってしまうというところが、この作品が持つ面白さであり、テーマだと思います」と話した。

青年たちの心理が緻密に描かれる一方で、本作の見どころとしてアクションを外す事はできない。物語の冒頭、白昼に浜尾議員を襲撃し、報道陣の前で射殺するシーンについては「しっかりと計画を練った上でやっている事だから、できる限りスムーズに進行して欲しい」と演出された事を明かし、終盤に小栗と西島を相手に繰り広げた激しい殺陣についても「パンチの出し方にも色々とあって、正一はボクサーみたいに打てるわけではなく、かといって下手なわけではない。絶妙なバランスを取るのが難しかったです」と語った。

また、本番の撮影を前に「小栗さんと西島さんにケガをさせてはいけないという緊張が大きかった」という堀家に対して、小栗から「手を抜かれたらこっちも本気になれない」と助言されたという。この言葉を受けて堀家は過度の緊張から解き放たれ「本当に殴り殺す勢いでやる事ができました。緊張はあったのですが力を抜いて楽しめました」とコメント。待機中にも緊張する堀家を気遣って小栗が「緊張してるの?」と話しかけてくれて、西島もフランクに接してくれたと舞台裏を明かし「とても居やすい環境を作ってくれて有り難かったです」と振り返った。

さらに、第3話のクライマックスでは、小栗と西島を相手にして銃を向け合うシーンを披露。そのシーンは堀家の顔がアップで映るカットで、小栗と西島はその場にいる必要がないにも拘わらず芝居に付き合ってくれたのだという。「僕が演じやすいようにと、ずっとそこに立って僕の芝居にお付き合いしてくださったんです。俳優として先輩として尊敬しました」と語った。

また、そのシーンは堀家が涙を流しながら「この国の大人は、都合の悪いものを見ないし聞こうとしない。深く考えようともしない。だから、俺たちが銃を取って立ち上がらなくちゃいけないんだ」と語る、平成維新軍の“存在理由”に触れる重要なシーン。しかし、涙を流せずにNGを出す堀家に対して、小栗が「集中するのにビンタしてあげようか?」と語りかけ、その言葉に堀家もお願い。「現場はカメラの位置とかを調整していたので、突然僕がビンタされたみたいになってザワつきました(笑) でも、すごく集中はできました。それに、NGを出してギスギスさせてしまっているかなと思ったのですが、小栗さんのそういう振る舞いなどもあり、皆さんずっと笑顔でいてくれて、すごく優しいなって。僕自身すごく励まされました」と、先輩俳優たちの気遣いに感謝の思いを語った。

濃厚な緊張に包まれたシーンの裏側で行われた、先輩俳優と後輩俳優の濃密なコミュニケーションから生まれたこのシーンの先、藤崎兄弟がお互いの額に銃を突き付け「この国の未来のために」と叫ぶと同時に発砲。2人が絶命するという衝撃のラストを迎えた。

一つの大きな役を全うし、今後どのような役に挑みたいかを聞くと「池松壮亮さんに憧れていて、サイコパス的な怖い芝居が好きなんです」とはにかむ堀家。「そういう部分も思い切りさらけ出すような芝居に挑戦したい」と自身の未来を見つめていた。

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