今井翼が明かすリアルな休暇と将来のビジョン「自分の人生をものにできる人になりたい」

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今井翼
今井翼

今井翼さんが“最高の自由時間”を過ごすドキュメンタリー『#休暇今井』(毎週火曜0時に最新回配信)が現在、フジテレビが運営する動画配信サービスFODで配信中です。同番組は、今井さんが「30代最後の夏にしたいこと」を自ら提案し実行する様子を、映画やドキュメンタリーなどの監督として活躍する松永大司さんが映し出します。

#1では憧れの存在である野球選手の川﨑宗則さんと対面し、#2では生まれ育った故郷・藤沢へ。そして#3ではフラメンコの師匠である佐藤浩希さんと今井さんの自宅でトーク、#4では恩師である山田洋次監督との対談が実現。さらに#5、#6では、キャンプをしながらじっくりとインタビューに答えます。これまであまり明かされることのなかった“素”の表情をたっぷりと収めた同番組に、今井さんはどのような思いで臨んだのか。お話をうかがいました。

――オファーを受ける際、ためらいなどはありませんでしたか?

初めは、ノンフィクションとフィクションを掛け合わせるようなプランを提案されたんです。でも、それよりもストレートにやったほうが僕もやりやすいし、今まで見せてこなかったプライベートに重心を置いたほうが面白いんじゃないかと思ったので、結果的にこういう内容に決まりました。

――あえてプライベートを出していく、と。

ここまでプライベートな時間をお見せすることがなかったので、30代最後に会いたい人に会いに行ったり、故郷に帰ったり、そんな僕を楽しんでいただけたらなと思いました。

――山田監督や川﨑選手という憧れの方との対談は、拝見して胸に響くものがありました。初めから、この対談が実現できると思っていましたか?

実現できるかどうかはわからなかったですけど、川﨑さんにはご快諾いただいて。山田監督も、なかなかご自身の作品に関わること以外で表に出られることはないんですけど、「今井くんだから、いいよ」と言ってくださったんです。

――それ自体が、とても嬉しいことですよね。

川﨑選手は今、栃木で自分が好きな野球を追い求めて、それを下の世代に伝えていらっしゃる。「人に喜んでもらえることが表現者としての喜び」というお話には共感しましたし、すごく刺激を受けました。山田監督は、たくさんの俳優を見てきておられるので、役者一人ひとりの本人には気付けないところを引き出してくださる方。今回あらためて聞きたいことも聞けましたし、監督の世代でないと知らないエピソードから、得ることもありました。

――山田監督との対談は、少し緊張されているようにも見えました。

監督の前ではリラックスもできるけど、芝居に関わる話になると僕にとっての恩師なので、やっぱり真剣に聞き入ってしまいますね。

――#3ではフラメンコの師匠である佐藤さんと、今井さんのご自宅で対談されています。フラメンコを長く続けていらっしゃいますが、フラメンコのどんなところに惹かれているのでしょうか?

フラメンコは、自分自身を解放することで“その人が生きてきた道が見えるところ”がおもしろいなと思って、のめり込むように15年続けてきました。僕はまだまだですけど、フラメンコにも役者と同じように経験によって熟成していく魅力を感じています。

――佐藤先生との対談は、いかがでしたか?

佐藤先生は最初から15年間、指導や、作品を通してサポートしてくださっている師匠なんですけど、すごくおもしろい方なので(笑)。自宅のリビングで誰かとお酒を飲みながら喋ることで生まれてくるものがあるのであれば、佐藤先生にお願いしたいなと。先生のおかげで、自宅で日常的に過ごす姿を出せたのかなと思います。

今井翼
今井翼

――ゲストを迎えて話すということで、聞き手としての難しさは感じましたか?

山田監督は、決して自分と“同等に”というお相手ではないので、何かを得たいという気持ちでお話をうかがって、監督の発する言葉から発見するものがありました。でも、川﨑選手は同世代ですし、佐藤先生も15年間ずっと一緒にやってきている方なので、迎え入れることに対する緊張などは特になく、ちゃんと腰を据えてお話ができましたね。

――#2では地元・藤沢を歩きながら、芸能生活と学生生活で忙しかった頃のお話をされているのも印象的でした。

もちろんこの仕事における原点回帰の場所でもあるんですけど、僕にとってはそれ以上に、子供時代を過ごした場所。大人になってからその道を歩くと、感じ方も目線も変わるけど、変わらない景色もあることに安心しました。

――実際に通っていた小学校に行くという企画は、今井さん発信だったのでしょうか?

今の時代は学校も少なくなってきているし、母校があるというだけでも嬉しいこと。その上で、当時を過ごした小学校の中に入れるというのはめったにない機会なので、変わらない壁とか、教室とかを見ることで、時間が戻ったかのような、再会を果たしたかのような感覚がありました。自分たちが育った環境で、未来を描く今の子供たちが勉強しているのかと思うと感慨深いというか、ワクワクする気持ちもありましたね。

――今回は『#休暇今井』という企画ですが、実際の休暇はどう過ごされていますか?

休みの日は家でボーッとしていることもありますし、ドライブが好きなので藤沢に行くこともあります。サービスエリアに寄ったり、湘南に行って海を眺めてしらす丼を食べて帰ってきたり。友人と過ごす時間も好きですけど、ひとりの時間と、誰かとコミュニケーション取る時間を日によって楽しむようにしています。

――プライベートにおいても、やはり藤沢は大切な場所ですか?

年々、帰る回数は増えました。僕は高校生で東京に出てきているので、今となっては東京にいる年数のほうが長いんですけど、年とともに故郷の良さを感じるし、40代、50代はしっかり働いて、還暦を過ぎたくらいでまた地元に住めたらな、なんて思いを最近抱くようになりましたね。

――今回の企画はかなり充実した休暇ですが、ふだんから充実した休日を過ごしていらっしゃいますか?

お昼にスパゲッティを作ることが好きなので、寝る前に献立をイメージして、起きてからそれを作って、食べて。大事にしているのはシエスタ(昼休憩)で、ご飯を食べたあとにソファで横になります。30分くらい横になると、また気持ちが切り替わるんです。何か仕事が控えていれば、その仕事に関連することに取り組むこともあります。そして、僕はお世話になっている方にギフトを贈る時にお手紙を添えることを大切にしているので、その手紙を書くこともありますね。夜は友達とご飯に行くこともありますし、プロ野球をやっているシーズンだったら、デリバリーを頼んで好きなベイスターズ戦を見ながら、お酒飲んだり、ご飯食べたり、という感じですかね。

――仕事を引きずることはあまりないのでしょうか?

その時々によります。忙しい時は、休み方がわからなくなってしまうこともあるんですよ。ゆっくりすればいいのに、なかなか気持ちが落ち着かないこともあって。でも、充実した期間は休日もすごく充実した一日を過ごせるような気がします。家を掃除したり、水回りを綺麗にしたりすると、気分が良くなりますからね。あとは鏡を拭くとか……。自分を映す鏡はちゃんと拭いておいたほうがいいかなって。

――番組では10代~30代のことが語られていますが、40代についてはいかがでしょう?

すごく楽しみです。10代、20代、30代とこの世界で培ってきたことを、今度は40代の男として、もっとシワを寄せる楽しみがあるので。「この時がよかったな」と思わないような人生を続けたいです。

――「シワを寄せる」というのは、映像の中で「お芝居で自分を汚していきたい」とおっしゃっていたところにも通ずるのでしょうか?

俳優は、監督に芝居を付けてもらって、なおかつ自分のイメージや経験から役を組み立てていく。芝居だからこそ様々な人格になれるし、自分の表現では見つからないことを与えてもらえたりもするので、どんどん汚してほしいと思います。

――#6のインタビューで、俳優は「死ぬまで自分の体を使って表現できる」とお話されている姿からは、覚悟が伝わってくるようでした。

続けたくても、現実は甘くないですから。今思うことと、今後50代、60代になった時に考えることは変わっているかもしれないし、その時にならないとすべてはわからない。でも、自分の人生をものにできる人になりたいですね。

(取材・撮影・文:nakamura omame)

衣装
BerBerJin

スタイリスト
渡邊奈央(Creative GUILD)

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