――初めて中村義洋監督の現場を経験した感触はいかがでしたか?
中村組の皆さんは、ユニークでユーモアのある人たちばかりで、結束力もすごい。映画の現場というのは大変なこともあるけど、全力で楽しむという士気があり、楽しく愉快な現場でした。中村監督とは、しょっちゅうご飯の話をしていました(笑)。
――芝居の面ではいかがでしたか?
撮影に入る前に、中村監督やプロデューサーさんとじっくりお話しをさせていただいたので、作品のことはかなり理解できましたが、現場に入ると「あれ?何か違うぞ」という違和感を持ったんです。というのも、原作の吉野は、間違っているものは間違っている、正しいものは正しいと、あまり喜怒哀楽がないまま突き進んでいくキャラクターなんですね。そして、ゲイツに対して「これは裏に何かがある。本当の目的は何なのか?」と思い始めた時、彼女が一気に変わるという流れになっているんですが、映画ではその変化が序盤から出ています。原作よりも感情を表に出し、違和感を持ちながらシンブンシたちを追い続けていく流れなので、「ここまで感情を出していいのか? 出すべきなのか?」という葛藤がありました。
――その葛藤はどのように解消していかれたのでしょうか?
後半に、サイバー課の中で撮影したのですが、その時にふと「ああ、こういうことだったのか」って気付きました。違和感の正体がわかった時、一気に吉野というキャラクターが自然にスッと入ってきて、前へ進むことができました。
――主演の生田斗真さんと一緒にお芝居をされた手応えはいかがでしたか?
実は普段から生田さんとは親交がありまして、とても優しい方です。テレビなどでは一見クールな印象ですが、この作品ではその優しさがとても出ているなと思いました。生田さんの人を思いやる目が、そのままゲイツの魅力になっていると思います。また、頭の回転も早くて柔軟で、飲み込む力がとてもある方。そして、それ以上に表現するパワーがある。“すごい”と言われる人の底力を目の前で見せていただきました。
――田中圭さん、宅間孝行さんは吉野と同じ部署の刑事役で出演されていますね。
田中さんは、私が17歳の頃から仲良くさせていただいていますし、宅間さんは「SPEC」で共演させていただいたということもあり、緊張感のある現場の中でも、リラックスして撮影させていただきました。
――窪田正孝さん演じる、ネットカフェ店員を吉野が取り調べるシーンも印象的でした。
窪田さんと最初に共演したのは連続ドラマ「サマーヌード」(フジテレビ系列)でした。私の旦那さん役で、ラブラブな関係でした(笑)。なので、現場では「最近までラブラブだったのに、今回は取り調べの相手だなんて本当に面白い仕事だね」と話しました。カメラが回っていないところでは普段の窪田さんなのに、本番に入るとギュッと目つきが変わるので、高い集中力を持った俳優さんだな、という印象です。