沖縄を元気にする琉球ゴールデンキングスの成功戦略!エンタメにこだわったアリーナに勝村政信も感心

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沖縄を元気にする琉球ゴールデンキングスの成功戦略!エンタメにこだわったアリーナに勝村政信も感心

5月4日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、プロバスケットボール・Bリーグのクラブとして、全国から人を集める琉球ゴールデンキングスの成長戦略を紐解いていった。

様々なスポーツから日本サッカー発展のヒントを探るシリーズの今回は、沖縄県沖縄市をホームタウンとする琉球ゴールデンキングスに着目。昨シーズンはB1リーグの年間王者に輝き、今シーズンも西地区で7連覇の可能性を残すキングスは、チケット収入の面でもJリーグのトップクラブと肩を並べる10億円越えを果たし、Bリーグ最速で来場者数100万人を突破するほどの人気クラブだった。

番組では、そんなキングスの本拠地でもある沖縄市コザ地区に誕生した沖縄アリーナを取材。いかにして人々を魅了するクラブになったのかを紐解いていった。地域活性化を目的に沖縄市が建設を進めていた沖縄アリーナは、2021年に完成。実は、キングスも設計段階から深く関わっており、アリーナの内部には極上のエンターテインメント空間が広がっていた。

試合前は音楽ライブさながらのショーアップされた演出で、会場のボルテージは最高潮に。ゲームがはじまるとシュートが決まるごとに大歓声が響く。しかし、今でこそ当たり前の光景だが、この熱狂に至るまでは試行錯誤の連続だったという。クラブとアリーナの運営に携わる琉球ゴールデンキングス執行役員・沖縄アリーナ取締役の仲間陸人はクラブを通じて“文化を作る”ことを意識しながら、取り組みを進めてきたといい、「沖縄の方言で“私たち”のことを“わったー”って言うんですけど、“わったーキングス”って沖縄県の人たちに言ってもらえるような、それが長く続き、街の誇りになっていくことを意識した結果が今の人気につながっているというのを実感しています」と振り返った。

地域に愛され、文化となるクラブを目指したキングスは「沖縄をもっと元気に!」という理念を掲げ、ゴミ拾いやスタディードリルの配布など、地域貢献活動にも注力。キングスのマスコットキャラクターであるゴーディーが、各学校の校門に立って子どもたちと一緒に朝のあいさつをする“あいさつ運動”には、解説の都並敏史も「それいいわ! 親御さんも喜ぶしね。他の方からも今までいろんな話を伺ってきたりしましたけど、一番新しかったですね」と、キングスの施策を絶賛した。

そして、沖縄を元気にする拠点として3年前に建てられた沖縄アリーナにも、来場者を喜ばせるための仕掛けが髄所に施されている。沖縄市とキングスがこだわったのは、非日常空間を彩るエンターテイメント性。アリーナはどこまでも観客目線で、常に試合を見る人のことを考えた設計がされていた。

例えば、座席の幅。8,500人が収容できるキャパシティは確保しつつも、快適に試合を観戦できる座席の幅を探りながら、微調整を行っていったという。また、5階建てのアリーナは縦に伸びた“すり鉢状”になっており、どこからでも試合が見やすくなっているのも特徴の一つ。フードコートにある売店に並びながら、試合の展開をチェックすることもできる。

他にも、天井から吊り下がるNBAさながらの超大型ビジョンや、トイレの利用状況が一目瞭然のパネル、デジタルアトラクションを備えたキッズスペースなど、見やすさと過ごしやすさを追求した結果、地元のファンだけではなく、全国から大勢の人々が足を運ぶようになったのだとか。

MCの勝村政信が「すり鉢状って、音が回るのですごいんですよね」「照明が全部当たるじゃないですか。いいですね」と数々の工夫に感心すると、都並は「基本的にスポーツ選手って目立ちたがりですから、さらに盛り上がっちゃいますよ。そうなってくると良いプレーにつながる」と、きらびやかな会場が選手たちのプレーにも影響すると主張した。

また、試合当日のVIPラウンジでは結婚式を開催。その様子をビジョンに映し出し、会場全体がお祝いムードに包まれていた。勝村は「やっぱり日本の発想じゃないですもんね。沖縄って基地があったりとか、アメリカの影響が大きい」と指摘。仲間も「海外の文化を入れたチャンプルー文化。チャンプルーというのは、ミックスという意味なんですけど、そのチャンプルー文化が今、集大成となって会場で体現できているのかなと思います」と強調した。

さらに、試合のない日でも、常設のグッズショップやカフェがオープン。沖縄アリーナは試合会場でありながら、観光スポットや憩いの場としても機能していた。こうした事業展開ができるのは、キングスが指定管理者であることが大きいのだそう。例えば、Jクラブのスタジアムは、ほとんどが自治体の持ち物であるため、ホームであったとしても自由に活用ができない。しかし、キングスはグループ会社が沖縄市からアリーナの運営を任される指定管理者であるため、自由な事業展開が可能なのだという。

試合がない日には、ライブコンサートや企業系のイベントなどを開催することもでき、今年のアリーナの稼働率は現時点で7割。クラブとアリーナの売り上げは右肩上がりに伸び続け、昨シーズンは30億円を達成した。これは、サッカースタジアムに比べて収容人数は劣るものの、年間ホームゲーム数やチケット代などの要因が重なった結果としての数字。仲間は「地元に愛される球団っていうのをずっと作り続けられてきた結果として、収益にも結びついていますので、これを次はどう投資して、還元していくか。ファンの皆さんに楽しんでもらえるかっていうのは、考えていかないといけないかなと思っています」と未来を見据えていた。

次回、5月11日の放送は後半戦として、沖縄市の街に繰り出し、キングスが挑む地域活性化の取り組みに迫る。

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