ズルはいらない?強化ポイントは?サッカー日本代表の現状

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ズルはいらない?強化ポイントは?サッカー日本代表の現状

勝村政信皆藤愛子がMCを務めるテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)。7月28日の放送では、番組アナリストの都並敏史福田正博北澤豪と共に、ロシアワールドカップが、森保一新監督のもと動き出す日本代表や世界のサッカーに与える影響について語り合った。

3度目の挑戦をもってしても叶えることはできなかったベスト8進出。今回番組では、ツイッター(@foot_brain)などのSNSを使い「日本がベスト8に進出するためには何が必要か?」「どのポジションの強化が必要か?」などのアンケートを実施し、これを元に議論を展開した。

まず、「日本がベスト8に進出するためには何が必要か?」のアンケートからは2つのポイントが浮かび上がった。1つは「ずる賢さ」。サッカー王国ブラジルではこれを「マリーシア」と呼び、試合中の様々な駆け引きを指す言葉として用いられるが、ユーザーからは「ここぞと言う時にファール覚悟で止めるずる賢さ」、「賛否両論あるが、ポーランド戦のような戦い方ができるのなら、それを細かいところでも発揮してほしい」といったコメントが寄せられた。

これについて都並は、「ワールドカップの相手は、殴ったり、つねったり、踏んだり、色々なことをやってくるので、その時になって“何かやられた!”なんて言っても遅い」と語り、それらをあらかじめインプットした上で、いかに対処するかが重要と話した。一方、福田は「南米ではもしかしたら“賢い”に“ズル”が付くのかもしれないが、日本では教育上“ズル”はありえない」と指摘し、「頭を使って、どうやったら自分たちが有利になるか、賢く勝利に近づけるのかを考えるべき。“ズル賢い”という言葉を日本から消しましょう」と提案した。

続いて「時間の使い方」が話題になると、都並がこれこそが日本が抱える大きな問題点だと同意し、「日本は良い試合をしたけれど、2-0からの逆転は世界的にはありえない」と言って、日本と世界の差を痛感した様子。また、ベルギー戦で2-2になったきっかけが、長友のオーバーラップから得たCKで、ショートコーナーをミスして受けたカウンターだと振り返り、「強豪国では絶対にしないし、長友が上がる必要があったのか議論になる。リードしていたらディフェンスはディフェンスの仕事をするなど、各ポジションの仕事を全うするべきで、日本の選手もわかっていたはずだけど、ワールドカップの高揚感や、ベルギーにリードしているというシチュエーションなど、メンタルも含めて準備ができていなかった。我々もドーハの時に時間稼ぎの仕方をわかっていたのにできなかった。そこの経験がまだ足りていない」と自身の経験と共に日本の現状を解説した。

そして、今後レベルアップするために「どのポジションの強化が必要か?」というアンケートは「GK39%、FW36%、DF18%、MF7%」という結果に。これを見た福田は「ボックス内で仕事ができる人が足りていないのが現実」と指摘し、ハリルホジッチやオシムら日本代表監督経験者が「190cm以上のGKが必要」「GKに問題がある」と語っていたことをあげながら、「世界の中では格下の日本は、自ずとピンチも多くなる。そこでビッグセーブがないと番狂わせを起こすことは難しい」とGKの重要性も説いた。

一方、期待値が高いMFについて都並は、「ルカクみたいなパワーのあるフォワードが日本には出てこない中、キーポイントになったのは原口。彼がいたから躍進できた」と分析。「FWの選手が献身的にサイドの守備をするという無理矢理な状況があるからここまで来られた。でも原口が守備で力を使わずに前で戦えるようにするには、サイドバックがもっと強烈だったり、中盤がもっと働けたりしないと無理。中盤の守備面でのハードワークはもっと重要になってくる。MFは7%とか悠長なことを言ってはいられない」と指摘した。

さらに都並は、ポジションを強化するためには、育成年代から積極的にコンバートしていくことが重要であると主張。「背が高くて運動能力があるからとFWをやっているが、冷静に考えると本来は他のポジションに適正があるのに、勝利至上主義でFWを続けさせて結局はフェードアウトさせている選手がたくさんいる。僕もFWではダメでサイドバックになった例で、井原正巳だってユース代表にFWで入ったのが、センターバックにコンバートしてアジアの壁と呼ばれるまでになった。これは大きなヒントだと思う」と語り、「指導者も(勝敗だけでなく)育て上げられたら評価されるべきなのでは?」と育成システムの抱える問題点に言及した。

また、今大会から導入され大きな話題となったVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の話題になると、北澤は「審判も大変だったと思う。自分自身を疑わないとできないし、どっちが基準かわからなくなる」とジャッジする側も選手もVARとどう向き合えばいいのか難しさはあると指摘。また「フェアな方向にいくことは大事だが、ズルを見逃さない装置になって欲しくない。選手たちが意識してフェアプレーをするようになっていくことをゴールにした方が良い」と、テクノロジーがサッカーに与える影響の大きさについて語った。

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