セルジオ越後、日本代表の“回帰”に「成長しているか疑問」

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サッカー解説者のセルジオ越後が、9月17日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京、毎週日曜11:00~)にゲスト出演。番組MCの勝村政信皆藤愛子、番組アナリストの都並敏史と共に、日本代表のワールドカップ最終予選を総括した。

最終予選でオーストラリアに勝利し、6大会連続のワールドカップ出場を決めた日本代表。番組では、日本サッカーが進化しているのかを検証するため、最終予選の様々なデータを元に議論を展開した。

まずテーマとなったのは先発メンバーの数。4年前の最終予選では19人だったのに対し、今回は27人に増加した。これに対しては、井手口陽介や浅野拓麿、昌子源といった若手が登場するきっかけになったこともあり肯定的な意見は多い。しかし、セルジオは「申し訳ないけれど、期待外れが多かった」と、本田圭佑や香川真司が所属クラブで満足にプレーできていないにもかかわらず選出し続けていることを問題視。都並も「起用は評価していない」と言い切り、UAE戦でA代表初選出にして初スタメンに抜擢された大島僚太の例を挙げ「いきなりプレッシャーのかかるところで出すのは日本人には合わない」と持論を述べた。

また、試合から見えるパフォーマンスの見極めについてセルジオは指摘。公式戦の交代枠が3人なのに対して、親善試合では交代枠を6人にするなど変更が可能なのだが、この問題点として「強い相手でなければパフォーマンスを誤魔化すことができる」と、3人交代とはまったく負荷が違うため錯覚してしまう危険性があると唱えた。

さらに、日本代表のマッチメイクの悪さにも言及。ブラジルワールドカップの結果や内容を省みて、当初はアギーレ監督が招聘されたが、この時は、ブラジルやウルグアイといった強豪国と対戦し、力の差を知ることができた。しかし、ハリルホジッチ監督が就任してからは強豪国とのマッチメイクはなく、「強くないところと6人交代でやって上手くいっていると思っているけど、世界と戦えるかを試さないままに来ている」と指摘。都並も「涼しくて前からプレスをかけていけばハーフラインでデュエルが増えるが、ブラジルにそれをやったらチンチンにされる。だからもっと下がったところでデュエルすることになる。ファールをしてもダメだし、質の高いものが必要になっていくが、そこは未知数」と、強国との対戦の必要性を説いていた。

続いて、オーストラリア戦でのハリルホジッチ監督の采配が話題になると、都並は「オーストラリアを分析してメンバーを選び、戦術に当てはめ、相手も戦術を変えることなくまともに戦ってくれた。気候を含めてハマッたゲーム。ハリルホジッチ監督がやりたいと思っているベースとなるものが示された」と分析。ロシアの本大会を見据え、「ザッケローニ監督が予選を突破した時よりも期待を持っている」と評価した。

一方のセルジオは、アンカーとダブルボランチを置いたシステムについて「相手をリスペクトして、守ってカウンターというサッカーを徹底した。ハッキリ言えば弱いチームが強いチームとやる時の戦術」と分析。このシステムを選択することについては、ワールドカップで勝つための手段としては仕方ないと感じている様子だが、「岡田監督は南アフリカワールドカップでそれをやって叩かれた。面白くないからって。それでザッケローニ監督を呼んだのが前回。もう一回戻ったということ。これでは成長しているか疑問符がつく」と語った。

さらにセルジオは、サポーターの間でも話題になる海外組と国内組の違いについて、「一時期、差をつけている時期があったけれど、現在は差が全くない。むしろ国内組のコンディションが良ければ海外組より役に立っていた」と発言。吉田麻也の「大切なのは自分たちのチームでしっかり試合に出ること」「チームでも代表でも良いパフォーマンスを出せるようにやりたい」という言葉の重要性に触れ、「代表に来てレベルアップはない。Jリーグでも海外でも、そこでどれだけできているかが(代表へ向けての)査定になる」と、クラブでの活躍なくして、代表入りはあり得ないと提言。「試合に出られていない選手が代表に選ばれるのは日本だけ。蓋を開けてみたら、今野泰幸と井手口に救われている」と最終予選を振り返った。

9月24日の放送は引き続きセルジオ越後がBRAINとして出演し、戦術ボードを使いながら、最終予選の戦い方を徹底分析。さらに、本大会で必要になる日本代表メンバーについて考えていく。

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