日本サッカー殿堂入り・プロカメラマン今井恭司と振り返る「日本サッカーの軌跡」

2017年09月10日 12:00

日本サッカー殿堂入りを果たしたプロカメラマンの今井恭司が、9月10日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京、毎週日曜11:00~)にゲスト出演。今井が撮影してきた数々の写真を元に、番組MCの勝村政信と皆藤愛子、番組アナリストの都並敏史、福田正博と共に「日本サッカーの軌跡」を辿った。

日本サッカーを撮り続けること46年。今井は、サッカーに陽の当たらない時代から5,000試合以上に足を運び、日本サッカー発展の歴史をピッチの脇からファインダー越しに見守り続けてきたサッカーカメラマンの草分け的存在。その功績が認められ、日本サッカー殿堂入りを果たした。

収録が始まると、都並が「日本サッカーリーグ時代にカメラマンさんはそんなにいなくて、現場に行くと今井さんが必ずいらっしゃる。そのくらい昔からお世話になっています。不遇の時代から現在にかけて大貢献されている方」とその偉業を称えた。一方で、今井自身は殿堂入りについて「本人が一番びっくりしています。カメラマンが殿堂入りできるとは夢にも思っていなかったですから」と朗らかな笑顔を見せた。

今でこそサッカーカメラマンとして不動の地位を築いている今井だが、実はカメラマンになった当初はサッカーを撮ろうとは考えていなかったという。当時、サッカーを撮っているカメラマンはほとんどおらず、手伝いを頼まれたことがきっかけでこの道に進むことに。観客はまばらで、サッカー雑誌が売れている時代でもなかったため、「一生やる仕事じゃない。これをやっても生活できないんじゃないかと思っていました(笑)」と正直な思いを告白。しかし、やっていくうちにどんどんサッカーにのめり込んでいったと語った。

そんな今井が都並や福田を撮り始めたのは、日本サッカーリーグ時代。福田がボールキープしている1枚が披露されると、福田は「良い姿勢ですね」と自画自賛。皆藤が「姿勢だけでも選手が誰かわかるのですか?」と質問すると、今井は「だいたいわかります」と答え、都並も「これだけでこの後何をしたいかわかるんですよ。右足のアウトで切り返してクロスを入れるか、そのふりをして前に持ち出すか……。こうして見ると、同時に視野も確保していて凄くバランスが良い」と、この1枚で表されている様々な情報を解説した。

そして「記憶に残る1枚」として、77年アルゼンチンワールドカップ予選で日本が韓国と対戦した国立競技場でのカットを紹介。釜本邦茂のオーバーヘッドキックの瞬間を収めた1枚で、今井は「この頃も日韓戦だけは観客が入った」と語り、日本サッカーが持つ潜在能力を感じたという。

続いて紹介されたのは今井が選ぶ「最高の1枚」。ジーコ率いるブラジルとプラティニ擁するフランスが対戦した86年メキシコワールドカップ準々決勝のPK戦で、ジーコが蹴った瞬間を切り取った瞬間だった。そのほか、94年アメリカワールドカップでマラドーナがギリシャ戦で得点した際に魅せたゴールパフォーマンスを紹介。この試合後にマラドーナはドーピング違反でワールドカップから追放、1年半の出場停止処分を受けることになったのだが、「この選手はやっぱり天才ですよね」と懐かしそうに語り「この瞬間にあそこにいたのですか?」と勝村たちを驚かせた。

さらに、1982年に日本代表とボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)が対戦し、都並がマラドーナとマッチアップした瞬間を収めた写真を披露。当時、代表チームとのマッチメイクが難しかった日本代表は、スター選手のいるクラブチームと試合を組むことで強化を行っていた。この時はボカと3試合が組まれ、都並は2試合目のことを振り返り、「1試合目を終えてボカの選手たちは明らかに手を抜いてきたんです。すると、センターバックの野村貢さんが50mのドリブルシュートを決めて、次に木村和司さんが凄いフリーキックを沈めて2-0でリードしたんです。そしたら、後半が始まる前に軍手を外してアップしているんですよ。“やべぇこれ本気になった?”と思ったら、そこから15分くらいの間に前からプレスをかけられて何にも出来ないで3点取られました。世界の本気をこのシリーズで初めて知ったんです。ヤバイなこれ。何だこの人たちって……」と衝撃を受けたと振り返った。

また「この選手が伸びそうと感じることはあるか?」と聞かれると、今井は「技術が高ければ高いほどワンタッチが多いので、良い写真が撮れない」と語り、「特に今はサッカー自体が早くなっているので、僕らが撮影できるようなプレーでは通用しない部分もある。撮りにくい、撮れないというくらいになった方が良い選手になると思う」とカメラマンならではの視点で分析した。

また、先人たちの金言を紹介する「GOLD!!DEN WARD」では、スティーブ・ジョブズの「素晴らしい仕事をする唯一の道は、それを好きになること」という言葉を紹介。今井は「僕も写真が好きで、カメラという道具を使って自分を表現できるということに憧れてこの職業を選びました。そうして好きな道に長くいられた。最初は違うと言われるけど、今はサッカーが大好きですからね。やっぱり好きになるということは大切だと思います」と語っていた。

【関連リンク】

この記事を共有する

Twitter Facebook