「これを飲めば勝てるよ」トップアスリートを襲う危険性

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勝村政信皆藤愛子がMCを務めるテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週日曜11:00~)。7月9日の放送では、スポーツ管理栄養士の細野恵美がゲスト出演し、アスリートの体を作る食事“スポめし”について、番組アナリストの福田正博三浦淳寛と共に語り合った。

テニスの錦織圭や、フィギュアスケートの浅田真央など、多くのトップアスリートの食事をサポートしてきた細野は、そもそもアスリートと一般人では食事の摂り方が違うという前提について紹介。近年はアスリートの理解が進み、選手自身の知識が増えてきたそうだが、間違った認識もあるという。

特にトップアスリートを襲うのが、色々な関係者などから「これを飲めば勝てるよ」とプレゼントされるサプリメントなどの存在。もちろんすべてが否定されるわけではないが、ドーピングの問題もあるので慎重になる必要があると警笛を鳴らす。これに対して福田は「良くなっていると感じられるような、お守りみたいなものが欲しくなる」と自身の経験を明かし、「正しい知識をちゃんと身につけないと危険だと思う」と同意した。

また細野は、世間を賑わせている“糖質抜きダイエット”が一部アスリートでも流行っていることについても言及。体重制限のある競技者のほか、「これ以上太ったらジーパンが入らなくなる」という考えで糖質を抜いてしまう選手がいるという。しかし、糖質の働きはアスリートにとって非常に重要。糖質を摂取すると、肝臓と筋肉にグリコーゲンという形で蓄えられるのだが、サッカーであれば、この量によって走る距離が多くなるというデータが顕著に表れており、パフォーマンスに大きく影響すると解説した。

では、アスリートにとってどれほどの糖質が必要なのか? 細野によると必要量は体重×5~10gで、体重70kgのアスリートであれば、1日に500g程度になるという。これはどんぶり茶碗でごはん5杯以上に相当するが、ごはんは3杯でも、フルーツ、オレンジジュース、ゼリー飲料などからコツコツと摂っていくことで賄えると解説した。また、糖質を摂るタイミングも重要で、運動後なるべく早く、遅くても30~45分までに摂取できると、筋肉内のグリコーゲン量を素早く回復することができると語った。

すると三浦は、子どもたちにトレーニング直後の30分以内におにぎりやオレンジジュースを摂った方が良いと伝えているが合っているかと質問。細野は「糖質を摂るという意味ではとても良い」と語り、筋肉の材料になるためのたんぱく質を考えると、おにぎりのタネは鮭やタラコなどが適していると提案。

また、日々の食事のバランスの話題になると「1週間単位」をキーワードにした食事法を提案。365日、朝昼晩の食事をバランス良くするのは、様々な会食の予定などもあり、難しいし楽しくない。そこで、「今日は、糖質中心の食事をしなくてはならないなら、明日は野菜中心にすれば良い」と、1週間で帳尻を合わせることでバランスは保てるという。

最後に、細野は「楽しく食べよう」とメッセージ。緊張やプレッシャーがあるときは、交感神経が優位になり消化は停止されている状態になるので、「しなければならない」と義務感で食べるのではなく、「したい」と楽しんで食べることが重要だと説明。「なるべく一人ではなく、家族や友達と楽しんで食べるのが消化・吸収には大切」と、副交感神経が優位になるリラックスした状態で食事をすることを勧めていた。

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