三浦知良と山本昌、サッカーと野球のレジェンドたちの共通点

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勝村政信皆藤愛子がMCを務めるテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週日曜11:00~)。5月21日の放送では、ドラゴンズ一筋32年、48歳10カ月のプロ野球史上最年長勝利記録を持つ野球界のレジェンド・山本昌(元中日ドラゴンズ)をゲストに招き、番組アナリストの福田正博三浦淳寛と共に“継続する力”について語り合った。

サッカーが大好きだという山本は、「Jリーグも見るし、代表の試合はこの5年くらいは全試合見ています」と語り、現役中も真夜中の2時に目覚ましで起きて見ていたと告白。現在のワールドカップ予選の状況などについても語り、福田と三浦を驚かせた。

まず番組では、そんな山本の野球選手として偉業について紹介。1984年に中日ドラゴンズに入団し、2015年まで32年間にわたり活躍。これはプロ野球選手として歴代最長で、数々の最年長記録を樹立してきた。また、3度の最多勝に輝き、先発投手にとって最高の栄誉となる沢村賞も受賞している。さらに、通算219勝のうち半分以上の140勝をベテランと言われる30歳以降に記録。40歳以降にも46勝を挙げ、長きにわたり第一線で活躍してきた。

そんな山本に、継続していくには何が必要かと尋ねると、スポーツでよく言われる「心技体」ではなく「体技心」というキーワードを上げ、何よりも大切なのは「体」だと語った。実は山本自身、小中学校時代は補欠で、自分より良い選手はたくさんいたが、体を壊すなどして辞めてしまう人が多かったと振り返り、何よりもまずは健康な体を持たないといけないと話した。

そして、体の維持の話題になると、年齢を重ねるごとに休みを取らなくしたと言い、シーズンが終わり11月に3日間の休みをとったら、それ以外は毎日野球をしていたと明かし、40歳を過ぎてからは休みを取らなくなったという。この感覚に福田も「僕は36歳で引退しましたが、30歳を過ぎてからは長く休むとその後がキツくなるからあまり休みたくないというのは理解できる」と同意した。

続いて2番目の「技」については、40歳を超えるとだんだんと体が衰えていくが、「技術を上げて、衰えと相殺するようにした」と振り返り、「例えば3ボール2ストライクでどんなボールを投げられるかが、1流と1.5流の違い」と語る。バッターから「このピッチャーはまっすぐしか来ない」と思われているよりも「何が来るかわからない」と思われている方が、ほんの少し差し込めるという。山本の代名詞といえばスクリューだが、それ以外の球も決め球となるように徹底的に磨いたことで、プレーの引き出しを多く持つことができたと言い、それが継続する力に繋がったと明かす。

一方で、「心」を最後に持ってきた理由については「自分の気持ち一つで何とでもなる」と笑う。山本は、緊張しやすい自分に対して、隣のロッカーだった立浪選手に「たまにはそんなに緊張しないで行ってくださいよ」と言われことがあるという。それを受けて、ヘラヘラしてマウンドに上がったら、結果は見事にKO。「やっぱり緊張感って必要なんだなと勉強になり、どうしたら緊張感とうまく付き合えるかを考えた」と話す。

そこで気が付いたのが「悩みや不安はプラスに変える」という考え方。32歳で初めて開幕投手に指名された際、試合3日前に肉離れのケガをしてしまった。当時、鬼よりも怖いと恐れられた星野仙一監督に正直に言えるはずもなく、テーピングをしてマウンドに登ることを決意。「もし、ファーストにベースカバーがあったら終わりだと思いながら、マウンドに上がったんです。そうしたら先発の緊張感がなくなって、いい結果がでて勝てた。不安がある時の方が良いと、逆境になるほど自分に暗示をかけるようになった」と振り返る。

そして、モチベーションの重要性については、カズこと三浦知良も以前番組に出演した際にコメント。「モチベーションを上げるとかないです。いつもあるので。今日はモチベーション上がらないとか言っている若い選手がいたら“やめたら?”って(笑)グランドに立たなくていいと思う。同じモチベーションで高くやらないと週末の試合に選んでもらえない」と語っており、山本も「まったく同じ」と賛同。

山本は「40歳超えてから「同世代です。励みになります」という声が多くなって、だったら少しでも喜んでもらいたいと思えたし、40歳を超えても契約してくれる球団があるのに、いい加減なことをしてはいけないという思いもありました。モチベーションを考えたことはないけど、常に高く保てたと思う」と振り返った。

最後に、日本がワールドカップで優勝するための提言を求められると、「私なんかがサッカーについて語るのはおこがましい」と謙遜しながらも「野球はWBCがありますが、日本はプロ野球80年の歴史の中で培ってきた特徴を出して上位に行っているので、サッカーでも日本の特徴をしっかり出して、ベスト4、優勝という目標を目指してほしい」とコメント。「長期で一貫した準備をしてほしい」と訴えた。

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