ラモス瑠偉が見た現在の日本代表、足りないものは…

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日本サッカー界のレジェンド・ラモス瑠偉が、5月7日に放送されたテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週日曜11:00~)にゲスト出演。番組では、その“生き様”に迫った。

ラモスが来日したのは40年前。プロサッカーリーグのない時代から、読売クラブでプロ発足のために活躍。ブラジルから日本に帰化し、Jリーグが誕生すると、ヴェルディ川崎や日本代表をけん引し、日本サッカーの躍進に大きく貢献した。

来日して間もない頃、日本リーグでラモスは1年間の出場停止になってしまった。しかし、読売クラブはラモスをクビにせず支え続けた。実は、ラモスが日本への帰化を決断したのは、日本代表のためではなく、そんな読売クラブに恩返しをするためだったと告白。そして、Jリーグが開幕すると、三浦知良や番組アナリストとしてこの日も出演している都並敏史、北澤豪らと共にヴェルディ川崎で黄金時代を築き上げる。

番組では、そんなラモスの華麗なパスやドリブル、コンビネーションなど、スーパープレーの数々をVTRで紹介。極めつけにヴェルディ川崎とサンフレッチェ広島が対戦した1994年のチャンピオンシップで放った伝説のループシュートが映し出されると、ラモスは「この人に会ってみたい(笑)」とご満悦。都並も「当時はいつも一緒にやって慣れていたけど、今改めて見ると絶対にワールドクラス」と興奮気味に語った。

そして「Jリーグへの提言」がテーマになると、ラモスは「もう一度、リーグの理念、理想を心に刻む」というキーワードを挙げる。日本リーグ時代、読売クラブと日産の選手たちは、韓国が先にプロ化する姿を見て、「これでは一生勝てない」と危機感を覚え「アジアでトップになるには韓国に勝たなければならない。それにはプロ化が必要」と話し合っていたのだという。そして、Jリーグ発足後も選手たちは「2~3年でJリーグをなくすわけにはいかないと責任感を持ってプレーしていた」と言い、後に「ドーハの悲劇」と言われることになるワールドカップ初出場をかけた一戦も「ここで失敗したらJリーグに悪影響を与えると思って戦った」と振り返った。

一方で近年の日本代表について「岡田監督はベスト4を目標に設定したのに、何で選手がそう思わないのか不思議でたまらなかった」と語り、ブラジルが地元大会の準決勝で6-0の大敗を喫したことを例に挙げ「何が起こるかわからないよ」と鼓舞。そして、4-0で勝利したものの、内容は今一つだったタイ代表とのワールドカップ予選については「あんな弱いチームに攻め込まれるなんて冗談じゃない。喜んでいたらいけない。マスコミもそうだよ。もっと厳しく言わないといけない。マスコミが選手と仲良くしたらあかん」と持論を展開。「俺たちはまだまだこんなものじゃない」と思って戦って欲しいと語り、「今の代表はふざけている。一生懸命やっていると言うが、そんなのは高校生レベルだよ」と檄を飛ばした。

そんなラモスから見て、現日本代表で戦えている選手として、長友、長谷部、山口、川島、岡崎らの名前を挙げ、「選手たちが監督の顔色を見てプレーしている」のではないか、と心配する。また、力を発揮できずにいる香川と本田についても「ちゃんと点を取ってアシストすれば誰が外そうとする?」「ピッチで見せろ」と発破をかけ、「清武が香川の10番を取ろうという気持ちになったら面白い」と期待を寄せた。

また、番組が掲げる「ワールドカップ優勝」については、「日本中が本気で優勝を目指す時に叶う。選手だけじゃない。我々もサポーターもすべてだよ」と語ったラモス。都並は「なかなか日本中が本気になれないのは、まだ時が熟していないからなのか。ラモスさんは元々ブラジルのレベルと環境を知っているから、なぜ日本はそんなに臆病になっているのか、なぜもっと戦えないのかハッキリと見えるのだと思う」とコメント。北澤も今の日本が本気でそう考えられるかは疑問があるとした上で、「最終的に行き着く先は“ここ”だというのを見ていかないと。ちょっとダメだと全てがダメだったとなってしまいがちですが、それを改善するにはこういう見方をしないと難しいですよね」と話した。

最後にラモスは「“ラモスが帰化しても代表が弱い”と言われるのは絶対に嫌だった。初めて言うけど、カズがイタリアに移籍した時には、何人かの記者が“このチームなくなったね”と言ってきた。冗談じゃないと思ったよ。カズがどうのこうじゃなくて、北澤、都並、柱谷、ビスマルク、ぺレイラ、武田がいるのに、誰にそんなこと言わせるかって。プライドがあるから」と語り、日本のサッカーの行く道を真剣な眼差しで見つめていた。

この模様は、BSジャパンで5月14日(日)26時10分から再放送。次回は「思い込み」を理解することで、様々な可能性について迫っていく。

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