岩政大樹「夢を持っているかは関係ない」意外な生き様を告白

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勝村政信皆藤愛子がMCを務めるテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週日曜11:00~)が16日に放送。新企画「俺の生き様!」で、元日本代表の岩政大樹をゲストに迎え、番組アナリストの都並敏史と共に、その生き様に迫った。

「俺の生き様!」は、一流アスリートや各界の人物から独自の人生哲学を学び、人生の糧へと繋がる気づきを得ていく企画。初回ゲストとなった岩政は、鹿島アントラーズでリーグ3連覇、2010年の南アフリカW杯を経験、現在は関東一部リーグの東京ユナイテッドで選手兼コーチとして活躍している。

山口の周防大島出身で、小学校はクラスメイトが6人、中学校も11人という小さな町で育った岩政。当時、平日は陸上部で生徒会にも関わっており、色々なことをやる中の一つとして週末のサッカーがあったという。そのような環境もあってか「人生の中でサッカー選手でなければ生きていけない人間ではいたくない」と思いながら生きてきたと語った。

そんな岩政が掲げたキーワードが「ひとつに固執しない選択」。失点シーンを考える時に「失点がありました。マークを外しました。なぜマークを外したのか……」という論理的思考は、数学の証明問題と似ており、その素養があるかないかでは、どこまで遡るか自ずと差が出てくる。これ以外にも、子どもの頃に何かに一生懸命になることで、予期せぬ形でも今に繋がってくると語った。

そして、「夢を持っているかは関係ない」という発言も飛び出した。岩政は、大学で選抜に選ばれるまでプロを意識していなかったと明かし、「大事なことは、どれだけ昨日より今日、今日より明日へと積み上げられるか。僕はプロという頂上を見ていなかったけれど、常に上手くなりたいと思っていれば、頂上が決まっていなくても良い」と話した。

その思いは、自身のブログタイトルにしている「NO PAIN,NO GAIN」(苦労なくして得られる者はいない)という言葉にも繋がっている。岩政は「ペイン」を「悪いこと」、「ゲイン」を「良いこと」に置き換え、物事を総合的に判断しているという。例えば、2007年に鹿島で初優勝し、その年の終わりに日本代表に初招集。「良いことがポンポンと起きたんです。この時はまだ相応しい人間になれていると思っていませんでした。そうしたら2ヶ月後にケガをしました。やっぱりなと思いました」と当時を振り返った。曰く、自分のレベルに対して、良いこと、悪いことが起こるので、自分のレベルを上げていけば、良いことも悪いことも右肩上がりになっていく。それは自分の毎日の取り組みで決まっていくのだという。

さらに岩政は、日本代表が強くなるために「サッカーを知るべき」と提唱。サッカーにおいて、最終的な判断は「相手が決めてくれる」と言い、都並もこれに同意。「守るディフェンスラインに対して、オフェンスはサイドに人を寄せたり、真ん中に寄せたりして、ディフェンスのポジションをアコーディオンのように伸ばすことができる。そうしてスペースができたところでスピードアップするのがサッカーを知っているチーム」と具体例を挙げ、岩政も「スピードアップをするのは、自分たちがそうしたいタイミングでするべきではない」と相手の動きを見る重要性を説いた。

また、「自分の現在地と、将来の自分が行きたい場所をしっかりと整理して考えることができる選手は伸びていく」と語り、岡崎慎司を例に挙げ「決して有名な選手ではなかったですが、清水エスパルス、ドイツ、イングランドと一つずつ階段を上っていき、その時点で自分が何をするべきか明確にしている」と「今できることを整理することの重要性」を語った。

そんな中、岩政はプロ2~3年目の時に都並から「他のディフェンスラインの選手と手を繋ぎながらディフェンスしているように見える」と言われたことがあると明かし、「他の選手が自分でガツガツやっている中、チームメイトのためにプレーするのは自分らしさでもあるし、自分の生き方でもある」とコメント。「本来プロは、競争相手でもある若手に対して色々としてあげるものではないのかもしれない」としながらも、「今になって彼らと良い関係を築けていますし、その居心地が良い。プロとしては間違っていたかもしれないですが、自分の生き方と合っている。ここ数年、鹿島、岡山、タイの選手たちが彼らの心を返してくれることがたくさんあって、それで繋がっていると感じられるのは一番大きなもの」と涙を浮かべながら語っていた。

この模様は、BSジャパンで23日26時10分から再放送。次回は、大学と地域が融合し、Jリーグを目指すクラブ・東京ユナイテッドの大いなる野望に迫っていく。

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