桐山漣、無口な殺し屋役で「……」こそ最大の見どころ

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『サクラ大戦シリーズ』や『魔神英雄伝ワタルシリーズ』などを手掛けたマルチクリエイター・広井王子の原案による完全オリジナルドラマ『コードネームミラージュ』が、テレビ東京ほかにて4月7日(金)25時23分からスタート。ハイスピードかつスタイリッシュなアクション、そして最新CGを駆使したAIカー&ガジェットと映像で、視聴者を魅了。物語の核となるアクションシーンには近接格闘術とガンアクションを取り入れた、今までに見たことがないスタイリッシュなアクションが繰り広げられる。

物語の登場人物は、過去の怪我の影響で、人並み外れた身体能力を持つ一方で一部の感情と記憶を失ったトップエージェント“ミラージュ”こと森山真一役に桐山漣。警察庁のキャリア組という表の顔を持ち、裏でK13(警察内特殊部隊)の責任者を務める御崎蔵人役に要潤。K13のエージェントで、天才ハッカーとしてゲームに興じるように任務に臨む“ドブネズミ”こと木暮美佳子役に佐野ひなこ。K13が対峙することになる、裏社会にも精通する不動産王・鯨岡憐次郎役に武田真治など、個性的な面々が揃っている。

今回、本作で主演を務める桐山さんにインタビュー。主人公なのに「まったくしゃべらない」というミラージュを演じてみての感想や、作品の印象、そして「これまでやってきたこととは違う」というアクションシーンについてもたっぷり語っていただいた。

――作品の印象を聞かせてください。

日本のドラマっぽくないというか、日本の「アクションドラマ」や「刑事もの」というカテゴリーに入らないようなテイストの作品だと思いました。洋画を意識しながら作られている。また、これだけ主人公がしゃべらない作品って邦画ではなかなか見られないですよね。さらに、完全オリジナルストーリーで2クールにわたり全25話あるのですが、僕らのお芝居で先々のストーリーが変わっていきます。今、原作ものの作品がとても多いこの時代で、なかなかこういうタッチのドラマは出会えないので、すごく貴重であり、夢のある、可能性に満ちた作品と出会えたと感じました。

――完全オリジナルストーリーでの役作りで苦労された点は?

原作ものよりも、オリジナルの方が苦労がないんです。原作は役に寄せなければいけないし、原作にはファンの方もいらっしゃるので、難しいと思っています。だから、今作は「ミラージュってこうだよね」というものがない。もちろん、台本を読んだ印象も十人十色だと思うのですが、作品に入る前に監督・プロデューサーの皆さんとディスカッションしました。僕も含め、皆さんのこの作品にかける思いが本当に強いので、色々と話し合いながらミラージュ像を作ってこられたというのが本当に良かったです。だんだん1つになれてきていると感じているので、これからもっともっとスタッフキャストが良いチームとなって、この作品を作っていけるとワクワクしています。楽しみながら撮影に臨めています。

――桐山さんが思うミラージュ像とは?

ミラージュは過去を失っていて、感情が欠落している、物静かな主人公です。萩原聖人さん演じる鐘ヶ淵豊というミラージュの兄貴的存在がいて、ミッション中は寡黙なミラージュが、彼といる時だけオフモードになって、しゃべるようになるんです。先日、1日中ずっと萩原さんとのシーンを撮る日がありまして、これまではしゃべらないで殺してばっかりいるシーンを撮影していたので(笑)。しゃべらないときはマイクも付けてもらえないんですよ。実はクラインクインしてから二か月目にして、やっとマイクを付けてもらえたので、久しぶりで懐かしい気持ちになりました。……ようするに何が言いたいかというと(笑)、ミラージュの鐘ヶ淵に対する弟感がそのシーンのやり取りで見えるので、ミラージュの“ギャップ”みたいなものが、作品の幅の広さに繋がっていくと思っています。

――アクションシーンで苦労された点は?

撮影に入る1か月前からアクション監督の園村健介さんに徹底的に指導してもらったのですが、教え方が本当に丁寧で助かりました。できないことがあったとしたら、できるまで何回も練習させるのではなく、体のどこをどう使えばできるようになるのかを教えてくださるんですよ。大変だったのは、本当に基礎の基礎からの稽古で、すごく地味だったことですかね(笑)。ここ近年『新宿スワン』や『曇天に笑う』などに出演させていただき、アクションに携わることが多かったのですが、そういう今までやったことを一旦全部捨てて、ゼロからスタートする気持ちで稽古をやらせてもらいました。稽古ではよく「背中をつかえ」と言われましたね。「表面でパンチするのではなく、背中の筋肉を使って打ち込め」とか……本当にこれまでやってきたこととは違うファイトスタイルでやらせてもらったので、自分でも動きながら「身体が軽いぞ」と実感するほど、手応えを感じながら撮影に臨めました。これからもっとアクションシーンが増えていきますので、ミラージュと共に自分のアクションスキルも上げて成長していきたいなと思います。

――ミラージュと桐山さんの似ているところはありますか?

第1話で、ミラージュが「人間が嫌いだな」と言われるシーンがありましたが、僕は人間は苦手ではないです(笑)。似ているところと言えば、後々「ネクタイ」について触れられるのですが、ミラージュは1・2話ではネクタイを外していて、3話でつけさせられるんです。それは、鐘ヶ淵に怒られたからなんですよ。なぜネクタイをつけないで怒られたのかというと、このネクタイは特殊な素材でできていて、光に反応して消えることができるんです。だから任務の時はつけなければいけないのですが、ミラージュはネクタイが嫌いらしくて……。そして、僕もネクタイが大っ嫌いなんですよ。できるだけつけたくない。なんか首元がこうギュっと詰まるような感覚が苦手で、だからタートルネックもあまり好きじゃないです。ミラージュと似ているところは、ネクタイが苦手なところです(笑)。

――ミラージュならではの撮影エピソードを教えてください。

実は、キャストの皆さんとお会いできていないんですよね。僕は一人で任務することが多くて、佐野さんも一人でハッキングしているし、要さんも部屋で一人オペレーションしている……。3月10日に記者会見があったのですが、佐野さんとまともに話したのはそれが初めてでした。撮影の時は、録音された佐野さんの声が現場から聞こえてくるだけだったので……。それぞれが孤独と向き合いながら別空間で戦っているので、皆さんと一緒の画面に映ることを楽しみにしながら演じています(笑)。

また、カーアクションも多数登場するのですが、僕自身が運転しています。「けん引撮影かな?(後ろの車を引っ張って撮影しているのかな?)」と思われそうなカットでも、僕がOKをもらえるギリギリラインを狙いながらカーアクションをしているので、そこも注目していただきたいですね。普段はちゃんと安全運転ですよ(笑)。アクションシーンにおいても吹き替えカットがほとんどないので……「きちんとやってるよ!」ということを(記事に)書いてほしいです(笑)。

――しゃべらないミラージュを、動きでどうアプローチしようと考えていますか?

しゃべらないときの「……」という感情こそ、今回僕がこの作品で出していかなければいけない最大のカット、撮影シーンだと思っています。しゃべらない中にも、このミラージュの抱えている過去や気持ちがあって。そういう人間が人を殺す時にどんな思いで殺すのか、殺した後の顔はどんなもなのかを考えて演じています。それがないと、単なる殺人マシーンになってしまうので。ミラージュなりに何のために生きているのか、何を持って生きていくか。多分、すごく孤独を抱えて生きていると思うのですが、そういったミラージュの持つ寂しさだったり、孤独な部分だったりをきちんと目、立ち姿、雰囲気を意識しながら演じさせてもらっています。そこを見てもらいです。

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