Jクラブでもスタジアムを持てる?プロ野球の球団元社長が語ったスポーツ経営

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勝村政信皆藤愛子がMCを務めるテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:50~)。3月25日の放送では、横浜DeNAベイスターズの前社長・池田純をゲストに招いてスポーツの“経営”について語り合った。

2007年にDeNAに入社し、2011年に35歳の若さで横浜DeNAベイスターズの社長に就任した池田。就任後、2012年から観客動員数は右肩上がりを続け、ファンクラブ会員も2011年の約12倍に増やすなど、赤字だったチームを黒字経営に引き上げた。そんな池田が4つのポイントを掲げ、プロスポーツの経営について語った。

まず、池田が提言したのは「戦える組織の構築」。スポーツの経営者は「勝った負けた」「どうすれば勝てるか」「ゲームの采配」など、チームのことを考えるのではなく、その前に会社の組織を強くしなくてはならない。経営陣は予算をしっかりと考え、人事目線で人を見たり、チームに色々なシステムを導入したりすることで、結果的にチームに波及効果が生まれる。また、チームに必要以上の口出しをすることなく結果を出すことができれば、チーム側も経営側を信頼し、それに応えようとしてくれると語った。

そして、チームと会社は別で、社員のマインドを変える重要性についても言及。例えば、シーズンが終わり選手がオフになると、会社も一緒に休みになっていたという。しかしそれでは、優勝したり、大きな国際試合で勝ったりした際に、アピールの機会を逃してしまう。さらに、次のシーズンに向けた動き出しも遅くなるので、会社は裏でずっと動き続けてなくてはいけないと話した。

2つ目にポイントとして挙げたのは「徹底的なデータ収集と分析」。来場客の種別や行動などをデータ化し分析。すると、球団社員でさえも見えていなかった実際に来てくれている客層をしっかり掴むことができ、その人たちにターゲットを絞ったイベントを提案することができるようになったという。

そして、3つ目のポイントは「スタジアムの一体経営化」。球団とスタジアムが別々の会社が経営していたため、自分たちの試合を見に来てくれた観客に対して、自分たちのおもてなしをすることが難しかった。そこでスタジアムを買収し、経営会社を一体化。これによって、飲食を自由に行えるようにするなど、ファンサービスを充実させた。

Jリーグクラブの資金力でスタジアムの買収は可能かという話題になると、経営がしっかり成り立つことさえ示せれば、資金は誰かが貸してくれる。また、それによって自分たちが応援している球団が良くなっていくのであれば、親会社もスポンサーも喜ぶので、一体経営は可能だと語った。

最後のポイントとして挙げたのは「野球を超えたエンタテインメントの提供」。来場者に100%楽しんで貰うため、ベイスターズは、イニング間のイベントを積極的に導入し、トイレタイムをなくすくらいに盛り上げているという。それによって、イニング間にも価値が生まれ、そこにスポンサーを付けることができる。サッカーでも試合前やハーフタイムなどを上手く使うことで、これまで以上に価値を高めることができると提案した。

番組の終盤になると池田は、これからスポーツ経営できる人が増えれば、その人材がメジャー、マイナー問わず、色々なスポーツを行き来することが増え、それがスポーツ文化に繋がっていくと提言。「プロスポーツを発端に、スポーツ経営の概念が広がっていくことで、日本はもっと元気になると思う」と、今の日本にとってのスポーツ経営の重要性について語った。

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