ユニクロ、ニトリにも目を付けていた…日本一のカリスマ投資家が明かす“秘訣”

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作家の村上龍が第一線で活躍する経済人を迎え、ニュースでは伝えない経済の“今”に迫る『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列、毎週木曜22:00~)。2月16日は、レオス・キャピタルワークスの社長兼CIO・藤野英人が、企業や日本経済を元気にする投資術について語った。

誰も予想しなかった“トランプ相場”が吹き荒れ、この波に乗ろうと多くのにわか投資家が投資セミナーに参加。だが、そんな流行の相場には見向きもせず、驚異的なリターンを上げる投資のカリスマがいる。その男は、独自の哲学で勝ち続けてきた日本一のファンドマネージャー・藤野英人。レオス・キャピタルワークスの社長兼CIOである彼は、自身の会社で販売している「ひふみ投信」で多くの企業を元気にし、投資家たちの生活にも潤いを与えてきた。

“投資信託”とは「ファンド」とも呼ばれ、個人投資家がファンドマネージャーという投資のプロに運用を託す金融商品のこと。藤野が運用する投資信託の純資産総額は、2013年に121億円、14年に250億円、15年に533億円、そして16年に1155億円と、まさに倍々ゲームで増加。日本株ファンド全体で純資産総額の伸び率1位を記録している。「ひふみ投信」は、証券会社、銀行、ネットなどで購入可能。投資信託であるがゆえに元本保証はないが、これまでの実績を背景に大人気。下がる相場でも下がりにくい点が特徴で、そこからまた上がっていくため、他とは違うパフォーマンスを見せている。

■無名の会社は“宝の山”
多くの投資信託が、日経平均などを基準にした手堅い運用成績を目指す中、驚異的な運用実績をたたき出す「ひふみ投信」。現在、約130社に投資しているが大企業ばかりではない。その秘密は「無名会社」への投資にある。

藤野は、年間100社以上も自ら全国行脚し、将来の成長を期待できる中小企業を発掘。投資を行い、莫大な利益を得てきた。富山の田んぼの真ん中にある薬箱の印刷会社や秋田の研磨技術を持つ自動車塗装会社、広島の革新的な豆腐屋さんなど、独自の嗅覚で企業を品定め。九州でチェーン展開をしている「コインランドリー WASHハウス」の本社を訪問した際も、商談中の社長の一挙手一投足を観察。また、毎回名刺にも注目しているようで、藤野は「(名刺は)その会社の個性を表します。どういうロゴなのか、何が書いてあるのか。裏にたくさん“思い”とかが書いてある会社もある」と、経営者の理念や考え方を感じ取ることができるらしい。

■あの有名社長たちは若い頃から大物だった!?
これまでに、6000社もの企業の経営者たちに会ってきた藤野。その出会いの中には、当時はまだ中国地方の中小企業にすぎなかった柳井正(ユニクロ)をはじめ、現在では人気企業に成長した会社のトップの顔がズラリ。ソフトバンク社長・孫正義とは上場したばかりの頃に会ったそうだが、足の開き方にびっくりしたとか。何と、孫社長の足は藤野が「股関節が柔らかいな」と思うぐらい大きく開いていたという。「話がパワフルで本当に力を入れて話すから足を大きく開いていたんでしょうね」と、懐かしそうに振り返った。また、かつては北海道の家具屋さんにすぎなかった「ニトリ」の社長・似鳥昭雄は、藤野いわく「いい意味で大言壮語」と、若い頃から大物の片鱗が見え隠れしていたようだ。

北海道から沖縄まで、まだまだ一般的に知られていない企業はたくさん存在する。藤野は「そういう会社を見つけて、たくさん投資をして。その会社が伸びていくお手伝いをしたいし、それによって多くの人が喜んでいく“循環”を作りたい」と、投資運用にかける熱い思いを語った。

■「藤野流」成長しない会社の見分け方
・晴れているのに、傘立てに傘がいっぱい
これは片付ける人がいない証拠。誰かが率先して片付ければきれいになるのに、そのまま放置している。つまり、会社で起きていることを「自分ごと」と考えていない人が多いということらしい。

・玄関に入る時、スリッパに履き替える
この件に関して藤野は「公私混同」とバッサリ。靴を脱いだり、サンダル履きにするということは、家のように過ごしたい気持ちがあるから。「その姿勢が、そういうところで見えてくる」と、藤野は鋭く指摘した。

・社長の自伝を手渡しする
藤野の過去の経験上、社長自身が自分で書いた自伝を渡すことがたまにあったとか。しかし、自伝をもらった会社で、その後成功したケースはほとんどないという。その理由について藤野は「経営者が“今”を生きていない」と分析。「過去の業績や、やったことを話したいというのは終わった人。“今”を生きている人は、今やっていること、将来したいことを語りたくてしょうがないんです。成功するとは限らないけど、過去のことばかり話す人が成功することはまずない」と力強く説明した。

この日は他に「投資より貯金」と考える人が多い日本人の清貧の思想に着目。日本人に“正しい”投資観を持ってもらうため奔走する藤野の活動に密着した。

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