向井理が思う、宮部久蔵の魅力は「ヒーローじゃないところ」『永遠の0』

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2月11日(水・祝)、14日(土)、15日(日)の3夜にわたってテレビ東京系列にて放送されるドラマスペシャル『永遠の0』は、累計販売530万部を突破した国民的ベストセラー小説「永遠の0」のドラマ化。2013年に公開された映画では登場しなかった人物やエピソードをより原作に忠実に描き、太平洋戦争の戦史に関してもテレビ東京のアーカイブ資料を用いて詳細に描くことで、映画とは違った魅力を引き出していく。この度、本作の主人公・宮部久蔵を演じる向井理が取材に応じた。

<コメントvol.1>
――宮部久蔵という人物を演じてみての感想は?

とても大変でした。演じている最中は大変だとは思っていなかったんですが、今振り返ってみるとすごく過酷でしたね。肉体的にも精神的にも追い込んでいたので、正直もうやりたくないです(笑)。そのぐらいきつかったですね。自分で自分を追い込みすぎて、あまり記憶が残っていないのですが、やれることはやりました。それが画面に出ていればいいなと思います。

――体重もかなり落とされたとお聞きしました。

クランクインした時と比べて8キロほど減量して、撮影時は59キロまで落としました。あと、睡眠時間も削りました。最後の日はクマを作ろうと徹夜で行ったんですけど、やはり体調が悪くなってしまって(笑)。幻覚を見てしまうくらいだったので、二度とやりたくないです。木更津の駐屯地でボーっとしていたらライオンが見えて、本当に“ヤバイ”と思いました。その時は、水と塩だけしか食べていなかったので……とにかく健康的じゃない生活をしていました。そのせいで体質が変わってしまったみたいで、体重が戻らないんですよね。体重が増えないって言うとすごく嫌な顔されるんですけど(笑)。

――演じる上で苦労した点は?

本作は、謎解きの要素が強いのですが、その謎を紐解く一端を担っているのは当時宮部と一緒に過ごしてきた人たちだと思っていて、その人たちがそれぞれ違う宮部像を語るので、総合的に“宮部はこういう人物だ”と視聴者に答えを出してもらうために、語る人によって“見え方”を変えるということを考えなければいけませんでした。例えば、卑怯者だと語る長谷川梅男(中尾明慶)の前では、卑怯者に映らないといけないし、宮部に憧れるが故に嫌いになっていくという景浦介山(尾上松也)の前では、そういう宮部を演じなきゃいけないので、ただ嫌われるとかかっこいいだけじゃなく、もっと複雑な何かを持ってなければならなかったんです。後に、その人が語る宮部をある意味ミスリードしたり、演じなきゃいけないということが難しかったです。この作品は、ある意味“群像劇”ですよね。宮部には汚い部分もかっこいい部分も尊敬できる部分もあるし、総じて“宮部久蔵”という人間だと思います。

――その中でも変えなかった宮部の核となる部分は?

生きることじゃないですかね。でも、それを考えると、何故特攻に行ったのかがわからなくて。だから、宮部という人を100%理解しようとは最初から思っていなかったです。

――宮部に共感できますか?

“生きていたい”というのは普通の感情だと思うので、自分では特に意識していませんでした。
現代の人はみんな宮部に共感を持つのではないでしょうか。ですが、70年前に生きていた人は、違う感情を持っていたんでしょうね。きっと、もっと戦争は身近なものだったから、戦争に関しては今の日本人とは全然違う捉え方だったんだろうなと思います。

――向井さんの思う、宮部の魅力的な部分とは?

人間的なところじゃないですかね。どうしても主人公ってヒーローっぽくなりがちですけど、宮部をヒーローだと思ったことは一度もないくらい、生々しい人物だと思いました。かっこいい言葉を言うこともありますが、やっていることは人殺しですから。人を殺しているくせに「生きていきたい」とかわけわかんないこと言っているような人間って、すごく人間らしいですよね。

vol.2へつづく⇒

■テレビ東京開局50周年特別企画 スペシャルドラマ『永遠の0』
【第1夜】2015年2月11日(水・祝)20:54~23:18
【第2夜】2015年2月14日(土)20:58~23:14
【第3夜】2015年2月15日(日)20:54~23:24

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