ヴァイオリニスト五嶋龍「音楽という悪魔に乗っ取られたくなかった」

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阿川佐和子が、毎回各界で活躍する著名人とトークを展開する『サワコの朝』(MBS/TBS系ネット、毎週土曜7:30~)。6月17日は、ヴァイオリニストの五嶋龍が、音楽家として正統派の道を歩きたくなかった理由や、クラシック以外の音楽に触れた時の思い出を語った。

ヴァイオリン一家に生まれた五嶋がヴァイオリンを始めたのは3歳の頃。その後、7歳でコンサートデビューを果たした。阿川から「つらくなかったですか?」と聞かれた五嶋は「毎日つらいと思っていました。でも、それと戦わないといけない」と答え、天才少女として世界的に有名なヴァイオリニストだった姉・五嶋みどりが多くの人に賞賛される姿を見て「嫉妬していました。(自分も)評価を受けたいという気持ちから始めたところがあります」と、幼い頃に抱いていた思いを明かした。

「音楽家として正統派の道は歩きたくない」と考えた五嶋は音楽大学に進まず、ハーバード大学へ。しかも、専攻は物理学だった。「自分のやりたいことをやろうという、音楽に対しての反抗。音楽という、悪魔のようなものが自分の精神まで巻き込んでいくような感じが嫌で、絶対乗っ取られたくないと思っていました。あとは、高校の頃に“惚れた”から」と、物理を学んだ理由を説明した。

ヴァイオリン以外には、空手も身近な存在だった。祖父が師範で、母と姉も空手に縁があったという。ヴァイオリンを弾く手に支障はなかったのか心配する阿川に対して、五嶋は「勝負をするという感覚、精神力や集中力が身に付きました」と、空手を経験したことがその後のヴァイオリン人生に大きく役立ったと告白。「(ステージに立つ時)ネガティブ思考はいらない。絶対失敗しないと自分に言い聞かせて、自信をつける方向に引っ張っていくことが大切」と、多くの観客の前で演奏する時の心構えについて話した。

「記憶の中で今もきらめく1曲」は、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」。中学生のころ友達に紹介された曲で、音楽と言えば「クラシック」という環境で育った五嶋は、当時大ヒットしていたグランジロックのこの曲を初めて聴いた時に衝撃を受けたとか。また“今、心に響く曲”は、ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌“Songs My Mother Taught Me”」。母の愛が溢れ出るような曲で「自由に弾けるところが好き」だという五嶋は、スタジオでこの名曲を演奏した。

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