三浦春馬、連続ドラマ『わたしを離さないで』で“動物的な演技”に初挑戦

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綾瀬はるかが主演を務める連続ドラマ『わたしを離さないで』(TBS系列 毎週金曜22時)。本作は、英国のベストセラー作家カズオ・イシグロが2005年に発表、同国内で100万部を超える大ヒットとなった同名小説を、舞台をイギリスから日本に置き換えてドラマ化。世間から隔離された施設・陽光学苑で“良質”な教育を受けてきた3人の子どもが、ある日、生まれながらにある使命を与えられた“特別な子ども”であると教えられる。その使命とは、病気やけがをした人間に自分の体の一部を提供すること……。自らの“本当の運命”を知った3人が絆を求め、人を愛することで生きる希望を得ようとする、愛情、友情、絶望、希望、生と愛が絡み合うヒューマンラブストーリーとなっている。

今回は、陽光学苑で、主人公の恭子(綾瀬)、美和(水川あさみ)らと共に“教育”を受けてきた友彦役の三浦春馬さんにインタビュー。役作りする上で今回挑戦していること、ドラマ後半の見どころ、そして少年時代について語っていただいた。

――原作小説や脚本を読んで、どのように感じましたか?

「生きることは常に欲求なんだ」と再確認させてくれる内容でした。その欲求によって、主人公たちが輝く瞬間もあれば、残酷なまでに傷つく時もあります。ですが、彼らは限られた時間を過ごしているため、常に真剣でひたむきなんです。その一生懸命な姿が、けなげに感じました。

――第1話をご覧になった感想は?

自分たちの運命について何も知らない子供たちが、屈託のない笑顔を見せていましたよね。僕はストーリー全体を知っているからこそ、子役の方々が見せるさりげない笑顔やじゃれ合いが切なく感じました。放送を重ねるごとに、その笑顔が視聴者の記憶によみがえり、さらに切なくさせるんだろうなと思いました。子役たちの演技も素晴らしかったですし、吉田健さんの演出もストーリーをグッと引き締めていて、とても洗練されていたなぁと思います。また、幼少時代に時間が遡る時のカットが、僕はすごく印象的で好きでした。

―――番こだわりが感じられた演出はどのあたりですか?

一番は決めづらいのですが、衣装にこだわりを持っていることはすごく感じました。当然ながら、出演者一人一人体格が違うため、スタッフの方は各々に合った衣装を探して下さるのですが、なかなかこれというものが見つからない時は、まず出演者の体格に合った衣装を用意し、そこからほつれ感や汚れ、毛玉を作ってくださるんです。僕たち出演者は、そういったスタッフさんの努力のかたまりを着させていただいているので、現場で着ていると、ふとした瞬間に「あ、こだわっているんだな。衣装も、映像の色味に繋がっているんだな」と感じます。それはやる気にもつながっていきます。ドラマの後半は、視聴者の方々に、そういったこだわりも見所にしてくれたら嬉しいです。

――三浦さん演じる友彦は、明るく優しい反面、不器用でマイペースな部分も持ち併せているキャラクターです。役作りでは、どのようなことを意識しましたか?

友彦は、主人公の恭子にとって“全てだった男”なので、大切に演じなければならないと思っています。また、ストーリーの中では、どこかホッとできる存在でもある上、彼の考え方がストーリーの分岐点にもなるので、重要な役だと思って演じています。

――友彦に共感できる部分はありますか?

僕も友彦同様に話すのが早い方ではないので、そこは共感できました。思いをより正確に伝えたいからこそ、難しい言葉を探し、そのため言葉が遅くなってしまうのかもしれませんね。また、これは第4話以降で表れてくるのですが、友彦の考え方って実はとてもポジティブなんです。例えば友彦は、自分たちがクローンだということを知りながらも「より人間らしく生きるためには何が必要か。夢や期待を捨ててはいけないんじゃないか。それを捨ててしまったら、自分たちはどうなるのか」ということを恭子に諭そうとするんです。そこが、友彦の魅力だと思います。ただ、なかなか口から出てこないため、もどかしくなってしまうみたいで……。そのもどかしさにも意味を持たせながら、視聴者の皆さんに届けていきたいです。

――原作のイシグロさんは「作品が舞台化や映像化されるごとに、ご自身が執筆中に気付けなかった登場人物の“闇”が見えてくる、彼らが新たなドアを開く」とおっしゃっていました。今回、三浦さんはどんな友彦像を出していきたいですか?

実は以前、ある本に、役者の方の「動物からヒントを得てみよう」という言葉が書いてあったんですが、それをきっかけに、今回初めて少しだけ動物的な演技に挑戦しています。例えば、舞台上に人間とサルが並んでいたら、観客はきっと全員サルを見ますよね。それは、サルが予想だにしない行動を取るから。僕は今回、友彦が劇中でよくオナラをすることから、スカンクを連想したんです。それで、先日動物園に見に行き、スカンクの動きを参考にしました。友彦の少し挙動不審な感じや、おとぼけな感じが出ていれば良いなと思っています。

――友彦はサッカーが大好きという設定ですが、三浦さんも学生時代はサッカー部に入っていたとか。今回は、どのくらいサッカーの練習をしましたか?

はい、サッカーは小学校2年生から4年生まで、中学校2年生から3年生までと計4年ほやってしいました。だけど、リフティングはあんまり自信がないので、昨年末から今年の正月にかけて、ひたすら練習を重ねていました。お正月には3回しかできなかったです(笑)。それに、僕は本番に弱いタイプで、本番前のテストでも10回も続けられなかったんですが、本番の撮影では、カットがかかるまでずっとリフティングを続けることができたんです! 嬉しくて、ちょっぴり有頂天になってしまいました(笑)。30回は超えていたと思うので、練習の成果が出て良かったと思いました。

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