いよいよ22日開幕!TBS『世界陸上』近未来の視聴体験を実現した公式サイトの狙いとは?

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8月22日(土)に開幕する『世界陸上北京』。男子100m世界記録保持者のウサイン・ボルトをはじめ、各国の超人アスリートが集結する世界最高峰の大会として、8月30日(日)まで開催される。

この大会を独占放送するTBSは今回、公式サイトを大幅にリニューアル。「CYBER ATHLETICS(サイバーアスレチックス)」と銘打ち、競技動画の配信はもちろん、様々なデジタルコンテンツも展開する。世界陸上の楽しみ方がどう変わるのか、番組の片山讓治プロデューサーに聞いた。

――リニューアルに踏み切った経緯を教えてください。

今大会も、最初からずっと出演してくださっている織田裕二さん、中井美穂さんがキャスターを務め、ボルトの100m以外にも注目競技が目白押しです。TBSでは、1997年のアテネ大会から18年にわたって2年に1度の世界陸上を放送してきましたが、今回の北京大会は10回となる節目。私たちはこれまで、主に放送の中で工夫を凝らし、ノウハウを貯めてきましたが、インターネットの隆盛がめざましい昨今、視聴者の方々の楽しみ方も変化しているはずです。そこで今大会から、放送と共にインターネットでも楽しめる企画を展開していくことに決めました。世界陸上、ひいてはテレビ局のスポーツコンテンツの今後に繋げることができるようなものにしたいと思っています。

――「CYBER ATHLETICS」では、ほぼ全種目のハイライトや1日の全体ハイライトの動画を公開していくそうですが、“リアルタイム”ということで言うと、アップされるスピード感はいかがでしょうか?

基本的にはオンエア終了後ですけど、生放送では、例えば100mの準決勝と決勝がある場合は、準決勝が終わったところで、その動画をできるだけ早く出していく予定です。これまで、テレビのスポーツコンテンツは、どうしても「放送枠」が終わった後にネットに動画を公開していく、というケースも多かった。しかし今回は、放送枠にとらわれずにやっていきたいですね。ネットで100m準決勝の動画を見つけて、テレビをつけて決勝をリアルタイムで見る……というパターンがあり得るし、そういう意味でネットとテレビは敵対関係ではないし、食い合うものではないと考えています。

――サイトには、競技動画以外にも豊富なデジタルコンテンツを揃えています。まずは「BEYOND THE WR(ビヨンド ザ ワールドレコード)」「ATHLETICS ANALYZER(アスレチックス アナライザー)」について教えてください。

「BEYOND THE WR」は、ユーザーが、名前、年齢、中学生の時に足は速かったか否か、などを入力すると、100mの予測タイムが出ます。その上で、9秒58で走るボルトと対決することができます。もしボルトと一緒に走ると、実際にどれくらいの差が開くのか。世界レベルの凄さを、遊び心を持って体感できるものになっています。

「ATHLETICS ANALYZER」は、簡単に言うと“3D映像で見る競技動画”で、今回は実験段階として100mのみ導入します。複数台の固定カメラで位置情報をデータで取得し、3D映像を作成すると、例えば、ボルトの肩先から見たような、普通のカメラでは捉えることができない、ありえない視点の映像ができあがる。さらに、その3D映像に、加速度などのデータを分析したグラフィックを上乗せしていきます。コンセプトは、「今まで見えなかった視点、データを見えるようにする」ことです。また、今回は競技が行われた後でなるべく早く、同日中に公開したいですが、将来的にはリアルタイムで提供できればいいですね。未来のスポーツ中継、2020年の東京五輪を見据えた時に、これから進化していくべき分野だと思います。今の段階では生中継と同時というわけにはいきませんが、まずはサイトで、続いて放送でも出せるようになったらいいですね。

――もう1つは、ユーザー参加型の機能である「DIGEST EDITOR(ダイジェスト エディター)」です。

これは大会中、サイト上にある5秒のクリップ動画の中から4つをユーザーが自由に選んで組み合わせ、BGMを選び、自分だけの20秒ダイジェストを作って、SNSでシェアできるというもの。あらかじめ厳選した5秒のシーンをたくさん用意しておいて、まずは気軽に“繋いで編集する”ことを楽しんでいただけたらと思います。これまでのテレビ観戦が、どちらかというと受動的なものであったことに対し、視聴者あるいはユーザーが能動的にアクションを起こすことによって、スポーツの魅力が伝わるという、ネット社会ならではのケースだと思います。世界最高峰の戦いが凝縮された20秒の動画がシェアされ、「やっぱりスポーツは面白い、すごい、カッコいい」ということが拡散されていった結果、テレビの生中継を見ようと思ってくれる人が増えてくれたら嬉しいですね。

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