『吉田類の酒場放浪記』まだ中野坂上にもあった小さな店 天ぷら職人歴40年の主が営む「天ふね」

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酒場詩人・吉田類が、酒場という聖地へ酒を求め、肴を求めさまよう番組『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS、毎週月曜21:00)。8月10日放送回では、東京・中野坂上の天ぷら屋「天ふね」を訪問した。

高層ビルを横目に夜の住宅街に迷い込むと、まばゆい光に照らされた小さな戸建て風の店に突き当たる。大きく「天ふね」と書かれた暖簾をくぐると、5坪のこぢんまりとした敷地に、カウンターとテーブル席、そして二階には座敷が。昼は天ぷら定食などを供する、この界隈のサラリーマンが憩うランチ処だが、夜は常連客が天ぷらや一品料理を肴に酒を酌み交わしている。

青森県出身の店主は、新宿の老舗で26年間修行し、その後、この店を始めて15年。天ぷら職人歴40年の大ベテランだ。豊富な具材が書かれたお品書きは、めったに味わえない天ぷらとの出会いをもたらしてくれる。好みの具材を選んで注文すると、店主が明るい青森弁で応え、目の前で揚げてくれる。

まず、吉田はウーロンハイで乾杯。生しらすのお通しと、店主の故郷・深浦港から直送している水だこの刺身に舌鼓。続いて「はまぐり姿揚げ」を注文。はまぐりの身を一度はがし、再び貝殻に乗せて揚げたもので、殻があるために衣の中身がよく蒸されて、柔らかく仕上がるのだそう。吉田は「こりゃもう、はまぐりの域を超えてますね。入っているしいたけのスライスも絶妙に効いています。こんな味わいは初めて」と絶賛。これを肴に飲むのは、青森の地酒「桃川 金松 本醸造」で、「懐の深い酒なので、どれでも合わせられる」と吉田。この流れで、店主が考案したという、温泉玉子を油揚げの中に入れて揚げた「黄金袋」も堪能した。

次に吉田は、東京都東村山市の酒蔵で作られた「新宿 本醸造」を楽しみながら、10数年来のアルバイト店員で“裏女将”と言われている友美さんが作った、青森の郷土料理・ホタテの貝焼き味噌のアレンジ料理「ホタテたまごみそ貝焼き」を肴に。「味噌があいますね~」と大きくうなずいた吉田。「楽しいお店でしたね。近代的なビルの間にあって、家庭的。親戚のおうちにお邪魔したような。こういう店が東京にあるから、おもしろい。もう1つ、別の親戚を訪ねて帰りたいと思います」と締めて、路地裏に消えていった。

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