トミタ栞、『るみちゃんの事象』初ドラマ初主演抜擢に「監督は“勇者”だと思います」

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木村カエラを輩出した音楽バラエティ番組『saku saku』(テレビ神奈川)の5代目MCとして大人気のアーティスト・トミタ栞さんが、連続ドラマ『るみちゃんの事象』(MBS/TBS系ネット、TBSでは毎週火曜25:11、MBSでは毎週日曜24:50)でついに演技デビュー。同作は、原克玄によるコミック『るみちゃんの事象』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)を原作とした、摩訶不思議な感性で生きている高校生・るみちゃんの日常が描かれた学園コメディドラマ。トミタさんは、演技未経験ながらドラマ初主演の座を射止めたことのほか、「るみちゃん★○(スターリング)トミタ栞」というアーティスト名で主題歌「17歳の歌」も歌っていることでも注目を集めている。

今回は、自身を「るみちゃんのキャラクターとはそこまで遠くない」と分析するトミタさんにインタビューを行い、演技に初挑戦した手応えや、「17歳の歌」の聞きどころ、共演した真野恵里菜さんとのエピソードなどを語っていただいた。

――アーティストとして活躍中のトミタさんですが、今回演技に初挑戦。しかも主演に大抜擢された時はどんなお気持ちでしたか?

歌を極めたい一方で、ずっと演技をやってみたいとも思っていました。でも、そのチャンスが来るなんて思っていなかったので、お話をいただいた時はとにかく嬉しかったです。しかも主演だなんて……。監督さんは、よく私を起用してくださいました。“勇者”だと思います(笑)。このチャンスは絶対ものにするぞ、と思いました。

――ご家族やご友人の反応はいかがでしたか?

家族は「良かったね」と言ってくれました。喜んではいると思うのですが、芸能界について詳しくないので「テレビに出るの?」くらいの感覚だと思います。友達には、「歌をリリースするよ」ということなら言いやすいですが、「ドラマに出るよ、しかも主演だよ」というのはさすがに言い出せなくて(笑)。でも、何も知らないままオンエアを見てもらい、「えっ?」と驚かせてみたいとも思っていました。

――原作のコミックは知っていましたか?

今回をきっかけに知りました。お話をいただいた日に全巻買い、台本が来るまで何度も読み返しました。普通1回読んでしまうと、笑ったページやその理由を覚えてしまっているから、次から笑えなくなる時もありますよね。でも『るみちゃん~』は、「次はあのシーンが来る」とわかっていても、毎回同じ部分で笑ってしまいました。読んでいると絶対に笑ってしまうので、電車の中では読んではいけないと思います。私は、堪えられないので普通に笑ってしまいましたが(笑)。

――るみちゃん役を演じるにあたり工夫したことなどはありますか?

私は、ドラマや映画化もされた「のだめカンタービレ」というコミックが大好きで、「のだめ~」の実写版は、再現率がとても高いので「コミックを実写化するとこうなる」というイメージトレーニングに役立ちました。『るみちゃん~』のコミックを何度も読んだ上で、「のだめ~」のコミックやドラマを見て、参考にさせていただきました。

――トミタさんも、コミックからるみちゃんが飛び出てきたかと思うほど再現率が高いですが、意識した点はどこですか?

コミックには絵と文字しか描かれていないので、読む人によってそれぞれ違うイメージで再現されると思いますが、私はるみちゃんに“イマドキの女子高生”というイメージを抱いたので、女子高生ならではのイントネーションでせりふを言ってみました。

――トミタさんとるみちゃんの共通点はありますか?

るみちゃんには「何ですか? 私、何かおかしいことしました?」というような物怖じしない部分があるのですが、そこが似ていると思います。

――では、初めてのドラマ撮影ということですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

現場は、初日からとても楽しかったです!緊張してせりふが飛んで、現場が苦痛になったらどうしよう……とか、撮影現場ってピリピリしているのかなとか、不安に思っていましたが、アットホームな現場で心配無用でした。

――親友・くみちゃん役の真野恵里菜さんは大先輩ですが、真野さんのおかげもあるのでしょうか。

真野さんには、本当にいろいろなことを教えていただきました。ドラマの現場は、音楽業界とは仕組みが全然違うので、業界用語や私の知らない言葉がたくさん飛び交っていたのですが、私がわからなさそうな表情をしていると、それを感じ取ってひとつひとつ丁寧に教えてくださいました。本番直前に「よーい」がかかると、普通は撮りたいシーンの最初のせりふから言いますよね。でも真野さんは、カメラが回っていない段階で、一個前のせりふを言ってくださいました。なので、私はその返事からスタートできるんです。まだ知らないやり方を、実践を交えて教えてくださるので、それを通して覚えていくことがたくさんありました。

――休憩中はどんな交流をしましたか?

私、家では完璧にせりふを覚えているのに、現場に入ると急に忘れてしまうこともあったので、一緒に読み合わせをしてくださいました。休憩中にもかかわらず、気にかけて下さって、本当に有り難かったです。他愛もない話もよくしていました。カットがかかった瞬間、「さっきの話なんだけど……」と休憩中に話していた話題を再開することもあり、「くみちゃんから真野さんになった」って驚いたことも(笑)。とても優しくしていただき、楽しい時間を過ごせました。

――では、初演技の手応えはいかがでしたか?

自分がどこまで演技を追及できているかもわからないし、これからもっともっと知っていくと思うのですが、現段階ではとても楽しかったというのが感想です。特に、スタートがかかる5秒前が一番好きです。本番直前なので一番緊張する時でもありますが、そのタイミングって、共演者の方のスイッチが切り替わる瞬間でもあるんです。それまで全然違う話をしていたのに、「本番行きまーす」という合図が聞こえたら急に黙り、「よーい」という合図でまた表情が変わるんです。その表情を見ることで、お芝居の世界に引き込まれてしまうんです。

――MV撮影やバラエティ番組の収録は、数多く経験されていると思いますが、そういった現場とはまた違いますか?

私はバラエティの収録の方が緊張します。例えば、るみちゃんって変顔をよくするし、顔で何かを表現することがとても多いんですね。私自身は「変顔をして」と言われるととても戸惑ってしまうんですが、るみちゃんとして変顔をしようとすると、何の抵抗もありません(笑)。

――それはどうしてですか?

「るみちゃんでいるから」と言えればカッコイイですが、きっと「るみちゃんのせいにできるから」ですね。仮に人から「何それ?」と聞かれても「いや、るみちゃんがこうやっているから、私もやっているんだよ」と、しっかりした答えが返せるからだと思います。

――クランクアップしてしばらく経ったそうですが、終わってみていかがですか?

普段の話し方がるみちゃんみたいになり、リアクションが前よりもオーバーになった気がしています。もともとテンションが高い方だから、るみちゃんは自分とそこまで遠くない役でした。なので、きちんとドラマの世界に入れていたということなのかもしれません。よく俳優の方は「役を演じることにより、その人物になりきってしまう」と言いますよね。自分はどこまでいけるかわからなかったですが、振り返ってみると「ああ、そういうことなのかな」と思っています。

――今回は「るみちゃん★○(スターリング)トミタ栞」というアーティスト名でエンディングテーマ「17歳の歌」を歌われていますね。作詞は原作の原克玄先生、作曲はトミタさんが手がけていらっしゃり、るみちゃんワールドが全開の1曲となっています。詩と曲は、どちらが先行でしたか?

私が曲を作って、それから歌詞を頂きました。曲は、ポップかつ走り抜けるような感じにしたいなと思い、カフェで鼻歌を歌いながら作りました。まずテンポを二拍にしようと決めてから、皆さんが馴染みのある、耳に残りやすいメロディをサビに入れました。「るみちゃん★○トミタ栞」だからできることをしたくて、サビの声に思いきり加工を入れて遊んでみたのが特徴です。お題があり曲を書くということが初めてだったので、とても楽しかったです。

――歌詞を読んだ感想はいかがでしたか?

正直言うと、最初は意味が分からないと思う部分もありました(笑)。「右、右」という歌詞にあるのですが、「どうしてそんなに右を主張するの? どういう意味が込められているんだろう」って疑問に思ってしまって(笑)。でも、何度も読み込むと、原作と重なることがわかったんです。コミックの一巻に、転入生のるみちゃんが教室に入るシーンがあるのですが、クラスメイトの「どこから転校してきたの?」という質問に「右の右の右の果て」と言っていて。それで「だから右なのか」と。原先生に確認したわけではないですが、そういう解釈ができることに気付きました。

――その一方で、綺麗な言葉もちりばめられていますよね。

はい。「命の輝きとか聞かせてね」というフレーズは、「るみちゃんにしてはまともなことを言いすぎじゃない?」と思いました(笑)。ですが、実はその前に「二度寝」というかなり不思議な単語があるんです。「二度寝」のあとに良いことを言っても説得力がないし、「お前が言うなよ」とつっこみたくなると思うんですが、るみちゃんってそういう部分が多々ありますよね。何回か読み、るみちゃん自身から出ている歌詞だということがわかりました。ただずれているだけではなく、捻りが入っている部分がるみちゃんらしさだと思います。

――では、高校時代のトミタさんはどのような女の子でしたか?

私には、くみちゃんのようにツッコんでくれる親友がいるのですが、先日彼女に「私たちってツッコミとボケだよね」と聞いたら「そうだよ」と言われて(笑)。るみちゃん&くみちゃんの関係性に似ているかもしれません。

――トミタさんの天然ぶりがわかるエピソードがあれば、ぜひ。

天然というか、自分では面倒くさがり屋だと思っています。やった方がいいだろうなという気持ちはあっても、面倒臭さが勝ってしまって……。母がお弁当の入れ残しを朝ご飯に出してくれるんですが、食べる時間がない時は、ラップやティッシュにパパッと包んだおかずを、鞄にサッと乗せて登校中に食べていました。漫画のように、食パンを咥えながら家を出た時もあります。あとは、ストローだけ外に出していれば良いやと思って、牛乳の紙パックをそのまま鞄に入れていたら、中身がこぼれていたこともありました(笑)。

――では最後に、次に挑戦してみたいドラマのジャンルを教えて下さい。

「東京ラブストーリー」のような王道ラブストーリーに挑戦したいです。それから、最初は良い子だけど、後半で徐々に本性が出てくる悪役も挑戦してみたいです。今回の作品をきっかけに、また機会があれば演技のお仕事も挑戦してみたいですね!

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