「バラエティに元気が出てきた」菊野編成部長が語るTBS変化の兆し

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この夏、TBSがバラエティ番組に大きく力を入れている。6月30日にスタートする「極上バラエティWeek」(以下「極バラWeek」)で深夜に7つの特別番組を放送。さらに、不定期で土日の午後帯に登場するバラエティ枠「スパニチ!!」では、6月から8月にかけて計13本を集中編成するなど、これまでにない勢いで、バラエティの新作や特別番組を放送する。

今回、TBS編成局の菊野浩樹部長にインタビューを実施。「極バラWeek」と「スパニチ!!」の狙いを聞くと、菊野氏からは「TBSのバラエティに元気が出てきた」という答えが返ってきた。その要因はどこにあるのか。「良質な企画が集まってきた」というTBSの状況や、制作者たちに見える変化の兆し。そして、今後の展望などについて、たっぷりと語っていただいた。

<インタビュー>

――「極バラWeek」では7つの特番を編成し、「スパニチ!!」では、直近に放送される「カリスマの宿題」(7月4日、14:00~)や「うしろのオーメン(仮)」(7月19日、14:00~)など13番組を、6月から8月にかけて集中的に編成されています。どうして、このタイミングでバラエティ番組に注力されているのでしょうか?

「世界のどっかにホウチ民」(毎週水曜23:53~)や「クレイジージャーニー」(毎週木曜23:53~)が話題になり、ある媒体さんには「TBS深夜が攻めている」と紹介してもらえるようになるなど、少しずつではありますが視聴率も上がり、TBSのバラエティが元気になってきています。こうして注目が集まってきている中で企画を打ち出して「TBSのバラエティは面白いですよ!」と視聴者のみなさんに伝えたいと思い編成しました。

――レギュラー化も見据えて企画を集めたとのことですが、番組を制作する方にとっては、ある意味でコンペティションのような要素もあると思います。そこにかける意気込みなどは感じられますか?

私も昨年までプロデューサーとして番組を制作していましたので、その思いはよくわかっています。10年前、当時の編成でバラエティ統括をされていた合田隆信さんが「企画工場なりあがり」という枠を深夜に作り、そこで中堅、若手のプロデューサー、ディレクターから企画募集をしました。当時、私は36歳で、プロデューサーになって1年ほどだったのですが、「なりあがり」のタイトルそのままに「ここから上がっていくぞ!」という思いで企画を提案し、あるクイズ番組のプロデューサーを担当することができました。その番組をレギュラー化することはできませんでしたが、当時の私と同じような気持ちを持っている制作陣がたくさん集まっていると感じています。

――その時は制作側でしたが、今回、選ぶ側としてどのような番組が必要だと考えていますか?

何か1つ「発明」があると良いなと思います。番組まるごとオリジナリティあふれるものにするのはとても難しいことですが、その中で1つでも2つでも、ほかにはない部分があると、注目したくなります。きっとTBSだけではなく、他局でもお題目のように言われ続けていることなのでしょうが、逆に言えば、オリジナリティのない企画が昨今のテレビ業界にあふれているということですよね。「極バラ」や「スパニチ!!」でもTBSにしかないコンテンツを意識して選びましたし、今後もそういう番組を選んでいきたいです。

――レギュラー化を考える際、放送された番組を評価する上で、視聴率は大事だと思うのですが、それ以外に重要視することは何ですか?

おっしゃる通り、まずは視聴率を見ます。ただ、視聴率は、前の番組や裏番組の状況、雨が降っているか晴れているかなど、外的要因も大きく影響するので、単純に視聴率が一番高いからこの番組が優れているとは言えません。「今回は3枠を新番組にするから、この期間の視聴率トップ3をレギュラーにします」では、誰でもできる簡単な仕事になってしまいますから(笑)。番組の作りがしっかりしているか、制作者がどれくらい汗をかいて作っているかをしっかり見なくてはいけません。

――今回、「極バラWeek」ではデータ放送を使ったプレゼント企画も実施されます。簡単にご説明いただけますか?

5分ごとに双六がふれるようになっていて、商品券総額30万円分が20名様に当たるというものです。1番組を見ただけでも参加できるのですが、参加すればするほど応募回数が増えて当選確率がアップするので、毎回挑戦していただきたいです。

――このようなテレビ放送にプラスする企画についてどのように考えられていますか?

こういったおまけ的な企画も、現代の地上波に求められている要素の1つだと思っています。例えば「ジョブチューン」でも、データ放送を使ったクイズ企画を行っていて、私の子供も放送を見ながらクイズに答えています。テレビというものを、見るだけのものから、よりインタラクティブなツールとして考えていかなくてはならない時代になったのだと思います。ただ、番組そのものが面白くないとデータ放送を楽しもうとは思っていただけないので、「クレイジージャーニー」や「ホウチ民」などで「最近、TBSが変わってきた?」「面白いことやっているね」と、若者を中心に言ってもらえるようになってきたことは良いことだと思っています。

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