佐藤浩市がナビゲート、TBS特番で米軍戦闘機のガンカメラが捉えた「機銃掃射」空襲のカラー映像を公開

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2015年、戦後70年という節目の年を迎える日本。TBSでは、第二次世界大戦中に米軍の戦闘機の翼などに設置されていた“ガンカメラ”で捉えたカラーの銃撃映像を、3月9日(月)に放送される大型報道特番『戦後70年 千の証言スペシャル 私の街も戦場だった』(TBS系列、21:00~23:04)で公開する。

東京大空襲や広島・長崎の原爆投下映像は紹介される機会が多いが、小型戦闘機による低空の空襲映像はあまり残っておらず、触れる機会が少ないのが現状だ。しかし今、米軍が機銃掃射をする様子をガンカメラでとらえた空襲映像が多数発見されている。ガンカメラとは、兵士の戦果の証明や射撃チェック、上官の射撃指導のため戦闘機の翼などに設置された、機銃の引き金を引くと同時に録画が開始される仕組みのカメラだ。そこで調査に乗り出したのは、日本の若き研究者たち。地域ごとに整理されて残されているわけではないため、映像に映る地域の特定が困難な中、写真との照合や自身の経験則をもとに、鹿児島県薩摩川内市の小学校、宮崎県都城市など、120市町村以上で空襲があったことを証明。フィルムの劣化などで褪せた色味を補正し、当時の様子がリアルにわかるよう甦らせた。その映像からは、空襲にあったのは都市部だけではなく、日本の記録に残っていない、地方の村も含む日本全土だということが明らかに。今回は、16時間にも及ぶ全国の空襲映像の中から、初公開となる千葉県鴨川市、岩手県盛岡駅への空襲をはじめ、貴重な映像の数々が公開される。ガンカメラの映像に着目した特番は今回が初で、逃げ惑う人々が認識できる映像も3カットほどあるという。

番組全体の進行を務めるのは佐藤浩市。大型報道番組のナビゲーターは初となる佐藤は、「戦争の犠牲になるのは結局一般人。それを語りたい」という思いからオファーを引き受けたという。ナビゲーションを通し、大規模な空襲の影に隠れていた、機銃掃射を中心とする空襲の実態、その映像からわかる連合軍の思惑や日本軍の驚くべき行為、そして日本全土が空襲に巻き込まれていった様子を伝えていく。

また、連合軍がターゲットにしていたのは、多くの人々が乗っていた日本の重要な輸送路。その中でも単独の列車が狙われた最悪の空襲が、高尾山のふもとにある「湯の花トンネル列車銃撃事件」だ。食料の買い出しに行く人々、疎開に出る人々などで満員の電車がトンネルに入る手前で銃撃を受け、60人以上が犠牲となったといわれている。番組では、疎開のため姉と共に電車に乗っていた黒柳美恵子さん(当時13歳)の経験を、杉咲花、福田麻由子らでドラマ化。また、ドキュメンタリー部分では、佐藤も取材に赴いて犠牲者の遺族や目撃者の証言に耳を傾ける。

さらに番組は、2014年から関係資料を調査し、当時湯の花トンネルで列車を銃撃した元パイロットを特定、本人に会いにアメリカへと旅立つ。元パイロットの自宅では、彼が妻に綴った282枚もの手紙を発見。市井の人々を狙うこととなった元パイロットの同僚にも取材を試み、これまでほとんど明かしたことがなかったという事実や胸中を聞き出す。そこから見えてくる、彼らにとっての苦しみとは。

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