不老不死研究はここまで来た!最新の再生医療技術を専門家が徹底解説

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不老不死研究はここまで来た!最新の再生医療技術を専門家が徹底解説
不老不死研究はここまで来た!最新の再生医療技術を専門家が徹底解説

カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『不老不死研究の最前線』

▼今年1月発表!一生老けない体になれる!?『改造T細胞』

京都大学iPS細胞研究所 濱崎洋子教授は人が老いる仕組みについて解説。濱崎氏によると、人間の体が老いるのは細胞が分裂を繰り返すなかでストレスを蓄積させてしまうことが原因だという。細胞がストレスを受けるとDNAに傷が入りガン化してしまうが、ガン化した細胞の分裂を老化によって止め、体を守っているそうだ。本来であれば、老化した細胞は免疫細胞によって取り除かれるが、免疫細胞の働きも加齢によって低下する。そこで代わりに老化細胞を除去する働きを期待されているのが今年1月にアメリカのグループが発表した『改造T細胞』だ。既に白血病の治療に使われている技術を応用することで、老化細胞を認識した改造T細胞が老化細胞だけを攻撃できるそうだが、コストや安全性の面に課題も残っており、濱崎氏は改造T細胞を1つの手段として考えていくべきとした。

京都大学 iPS細胞研究所
教授 濱崎洋子

 

▼老いた脳を入れ替える!?iPS細胞で作る『脳オルガノイド』

関西医科大学 医学部 六車恵子教授は、現在の医療では再生不可能とされる『脳』にまつわる最新研究を紹介した。六車氏が長年研究をしているのは、人工で人体の部位を作成する『オルガノイド』という技術で、多能性幹細胞と呼ばれる細胞を培養することで人体の部位を作成し、人体の失われた機能を代替させることができるというものだ。この技術で脳を作ったものが『脳オルガノイド』。この多能性幹細胞は、培養条件によって大脳、中脳、小脳、海馬といった脳のさまざまな部位に変化するが、その作りやすさは部位によって異なるという。
最近では新しい治療法などを開発する際に、オルガノイドによって再現された病気の脳が用いられており、2022年には慶應義塾大学の研究チームが、アルツハイマー病の症状を引き起こす因子を発見するためにこの技術を応用した研究成果を発表。今後は実用化に向けて拒否反応の起こらない細胞や、脳のエネルギーで複雑な情報を処理する『バイオ・コンピューター』の実現が期待される。

関西医科大学 医学部
教授 六車恵子

 

▼昨年11月発表!人間の細胞で作ったロボット

「人類の医療を変えるかもしれない」と細胞から作った『生きたロボット』について解説したのは、東北大学大学院 工学研究科 ロボティクス専攻 分子ロボティクス研究室 野村慎一郎准教授。野村氏は、昨年11月にアメリカ・タフツ大学の共同研究チームが発表した、人間の気管支にある細胞から作った『アンスロボット』を紹介し、このロボットが傷ついた細胞の神経組織の一部分などを治りやすくする働きがあるとした。このアンスロボットは、細胞の動きを人間がコンピューターで計算し、異なる動きをする細胞を組み上げる設計図を作ることで、狙った方向に動くようにコントロールされているそうで、元々はカエルの卵から取り出した幹細胞を使用していたという。将来的には、このアンスロボットを体内で『飼う』ことで、白血球のように病気を発見したり分解したり、“第2の白血球”なる可能性があるそうだ。

東北大学大学院 工学研究科 ロボティクス専攻 分子ロボティクス研究室
准教授 野村慎一郎