眞島秀和が俳優を続ける理由「『みんなで成し遂げたな!』という感覚が大好き」【連載PERSON vol.10】

公開: 更新:

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.10は、放送中の主演ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59~)で、カワイイものが大好きなイケオジ・小路三貴役を演じている眞島秀和さんが登場です。

眞島さんは、2001年に主演映画『青~chong~』でデビューして以降、数多くのドラマ、映画、ナレーションと、幅広く活躍。2018年には、ドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)で北村匠海さん演じる青年との同性カップル役が話題となり、続く『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で演じた謎多き独身貴族・武川主任役で多くの視聴者を虜にしました。

2019年には主演ドラマ『サウナーマン〜汗か涙かわからない〜』(ABCテレビ)や『偽装不倫』(日本テレビ系)などのドラマをはじめ、『劇場版 おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜』『蜜蜂と遠雷』といった映画のほか、舞台『月の獣』に主演。さらにはファースト写真集「MH」がオリコン週間写真集ランキング2位を獲得するなど、多方面から引っ張りだこ。現在はNHK大河ドラマ『麒麟がくる』にも出演中です。

陰も陽も巧みに演じ分ける名バイプレイヤーとして活躍中の眞島さんに、俳優を始めた当初の思いや転機となった作品など、俳優人生を振り返っていただきました。

――小さな頃から、テレビは良く見るタイプでしたか?

ひとりっ子ということもあって、見ていたほうかもしれないです。

――今の自分を形成しているような、影響を受けたテレビ番組はありますか?

僕は、中学生とか、高校生の頃にトレンディドラマをたくさん見ていた世代なんですよね。とくにハマっていたのは『東京ラブストーリー』。(FODで配信された)リメイク版には出させていただきましたけど、その元祖はすごく見ていました。ほかにも『愛という名のもとに』や『私の運命』とか。あの頃の作品はよく見ていたし、今も思い出したりしますね。

――それでは、いま、オススメの番組はありますか?

最近はドラマの撮影に入っていることもあって、あまりテレビを見られていないんですよ(苦笑)。ただ、具体的な番組名というよりは、どこの局にかかわらず、夜中にやっている番組が好きですね。

――夜中に見る雰囲気も含めて好き、という感じでしょうか?

それもありますね。山みたいな風景とか、動物とか……夜中に映っていると、なんとなく見入っちゃいます。

――ちょっと、お疲れ気味なのでしょうか?(笑)。

あははは(笑)。そうなんですかねぇ。でも、テレビを見て癒やされています。

はにかんだ笑顔も素敵
はにかんだ笑顔も素敵

――眞島さんが俳優になったのは「大学時代の友人が、ダンスを踊っている姿を見たのがきっかけ」という過去のインタビューを拝読しました。なぜ、ダンスではなく俳優だったのですか?

ダンスは先に友人が始めていたので、後から始めて友人に何かを教えてもらうことが悔しいな、と思ってしまったんですよね。もともとドラマや映画が好きだったので、「こういうのに出る人になってみたい」という気持ちもあって。あとは、周りに役者を目指している人がいなかったので、「これなら対等に夢を話せる」みたいな青臭い話です。

――はじめは「絶対に俳優で食べていく」という強い気持ちがあったわけではないのでしょうか?

最初は、そうかもしれないですね。

――では、何か強い気持ちに変わったきっかけが?

途中で辞めないで、最後までやってみたいと思ったんです。もちろん、若い時は食っていけるようになりたいっていうのが、ひとつ大きな目標ではありました。でも、当時は部活だったり、進学校での勉強だったり、全部が中途半端に終わったなっていう感覚があって。役者というものを、とことん辞めないでやってみようと思ったんですよね。

――俳優を続ける中で、転機になった作品はありますか?

何本かありますけど、一番の転機は30歳になる時に出演した『海峡』ですかね。この作品で初めて、役柄の若い時から初老までという人生の長い時間を演じることができたんです。あとは韓国人の役だったので、韓国でのロケもあって。本当に膨大な数のスタッフ、関係者がいる中で、その役を演じさせてもらえたということが大きかったです。

――同作への出演が、ターニングポイントになったということですか?

そうですね。当時はオーディションだったんですけど、あの作品に出られたことで、次の仕事へと繋がっていった部分もあると思っていて。30代に入っていくタイミングで『海峡』に出会えたことは、ひとつの節目になったと思っています。

――では、この世界に入ってから、影響を受けた方はいますか?

たくさんいすぎて、誰かと言われるとすごく難しいです。どの業種もそうだと思うけど、「この人はこうなんだ」「あの人はこうなんだ」と、いろんな方の振る舞いや背中を見て、吸収していくものだと思うので。

――特に印象的だった言葉はありますか?

あえてひとつ上げるとしたら、『なぜ君は絶望と闘えたのか』という作品を撮影している時に、待ち時間の雑談で(共演者の)井川比佐志さんがおっしゃっていた「先輩を尊敬して、軽蔑しなさい」という言葉。これは、すごく印象的でした。ふと思い出すたびに、とても深い言葉だなと。

――様々な捉え方ができる、重みのある言葉ですね。では眞島さんが「これだから、やめられない」と、俳優という職業に惹かれる理由はなんでしょうか?

俳優業には、表現者としての醍醐味もあると思います。でも僕は、作品作りはチームプレイだと思っていて。舞台も映像も、いろんなパートや部署にいるスタッフの「自分のベストを尽くして、作品を成立させるんだ」という思いが集まってできるんですよね。団体スポーツのチームみたいな感じで、たくさんの人が関わり合ってひとつのものを作り上げる充実感というか。「みんなで成し遂げたな!」という感覚が大好きなんです。

――最後に、俳優をするにあたって大切にしている軸、信念を聞かせてください。

先ほどと重複しますけど、“みんなで作っているんだ”ということ。どこの誰が抜けても成り立たないし、いろんな人の思いがあって、作品作りが進行している。その中で、自分が何かを求められて、参加できているということを忘れずに、全うしようと思っています。

(取材・撮影:勝浦阿津希)

PICK UP